「《お笑いのキムタク》を黙らせちゃうなんて、タイチはホント空気読めないよねぇ」
他の1人――今度は背が低くて少し太りぎみの少年が、まだ変声期のこない高い声で言ってきた。
「空気?何のことだ?」
「え?分かんないの?卓巳は、タイチが1人でつまんなそうにしてるのが嫌なんだよ。みんなが笑ってた方が楽しいから。
でも、タイチは何でかよく分かんないけど、1人だけムスっとしてるじゃん?だから盛り上げようと…」
「それならそうと言ってくれよ」
「いや、それはちょっと恥ずかしいじゃん…」
「つまんないところで意地張るんだな。まぁ、いいけど。じゃあ、オレが悪かった。もうちょっと楽しくするよう努力するよ」
「じゃあ、ってなんだよ。じゃあ、って」
「あぁ、ただの口グセだから気にするな。ははは」
タイチは、笑ってそう切り返すが、正直、笑えない……
そこに、この男が復活する。
「はっはっは。タイチの口グセは、小さい『あ』じゃないか?『まぁ』とか『あぁ』とかさ」
あっはっはは……
たしかにそうだ、とそこに集うみんなが笑った。
さすが、このグループのムードメーカーだ。あ、いや、このクラスの――か。
タイチが率いる、というわけではないが、このグループはタイチを中心に集まった勢力だった。
…タイチは気づいてないが。
小・中・高、全国どこのクラスにも勢力図はある。
大まかに別けると、イジメをする勢力・イジメられる勢力・中立勢力の3つになる。
タイチ達のグループは、イジメられるグループにあたるが、中立派の人間も何人か居た。
タイチも、その1人である。
中学2年という彼らの年齢での人付き合いは、だいたいが、次のような変遷をたどってきたものである。
まず(近所付き合いや幼稚園は除いて)、小学校6年間で、友人関係はそれなりに確立される。
小さい頃は、無邪気なためか友達が作りやすかったりするので、同級生のほとんどと友達になる。
次に、中学校は公立の場合、小学校が数校集まった、いわば寄せ集めのようなものである。
当然、入学当初は母校が同じ者どうしで集まる。
だが、次第に打ち解けあって、2年になる頃には小学校時代の友人関係を基盤に、友達の輪が広がる。
しかし、タイチは違っていた。
どういうわけか、彼のグループには彼と同じ母校の者はいない。
顔が醜いわけでもなく、性格が極端に悪いわけでもない。
どう見たって、普通の少年なのだが。
そんな彼に、――中1当時孤独だった、しかし、ちっとも寂しげな素振りを見せない彼に、
1人、また1人と興味本位で近づいていき、今では10人を超えるグループとなっていた。
ある者は、転勤族で友達がおらず、孤独な彼に同情してもらいたくて近づき。
またある者は、人を差別しない自由な彼に惹かれて近づき・・・。
特異な例として、ムスっとしている彼を見るに見かねてグループに入った《お笑いのキムタク》なんてのもいるが。
まぁしかし、彼はこのグループの重要な存在だ。卓巳は、そのルックスと笑いのセンスで、学校中の人気者である。
そんな彼がいることで、グループ間でのイザコザは、全くと言っていいほどなかった。
他の1人――今度は背が低くて少し太りぎみの少年が、まだ変声期のこない高い声で言ってきた。
「空気?何のことだ?」
「え?分かんないの?卓巳は、タイチが1人でつまんなそうにしてるのが嫌なんだよ。みんなが笑ってた方が楽しいから。
でも、タイチは何でかよく分かんないけど、1人だけムスっとしてるじゃん?だから盛り上げようと…」
「それならそうと言ってくれよ」
「いや、それはちょっと恥ずかしいじゃん…」
「つまんないところで意地張るんだな。まぁ、いいけど。じゃあ、オレが悪かった。もうちょっと楽しくするよう努力するよ」
「じゃあ、ってなんだよ。じゃあ、って」
「あぁ、ただの口グセだから気にするな。ははは」
タイチは、笑ってそう切り返すが、正直、笑えない……
そこに、この男が復活する。
「はっはっは。タイチの口グセは、小さい『あ』じゃないか?『まぁ』とか『あぁ』とかさ」
あっはっはは……
たしかにそうだ、とそこに集うみんなが笑った。
さすが、このグループのムードメーカーだ。あ、いや、このクラスの――か。
タイチが率いる、というわけではないが、このグループはタイチを中心に集まった勢力だった。
…タイチは気づいてないが。
小・中・高、全国どこのクラスにも勢力図はある。
大まかに別けると、イジメをする勢力・イジメられる勢力・中立勢力の3つになる。
タイチ達のグループは、イジメられるグループにあたるが、中立派の人間も何人か居た。
タイチも、その1人である。
中学2年という彼らの年齢での人付き合いは、だいたいが、次のような変遷をたどってきたものである。
まず(近所付き合いや幼稚園は除いて)、小学校6年間で、友人関係はそれなりに確立される。
小さい頃は、無邪気なためか友達が作りやすかったりするので、同級生のほとんどと友達になる。
次に、中学校は公立の場合、小学校が数校集まった、いわば寄せ集めのようなものである。
当然、入学当初は母校が同じ者どうしで集まる。
だが、次第に打ち解けあって、2年になる頃には小学校時代の友人関係を基盤に、友達の輪が広がる。
しかし、タイチは違っていた。
どういうわけか、彼のグループには彼と同じ母校の者はいない。
顔が醜いわけでもなく、性格が極端に悪いわけでもない。
どう見たって、普通の少年なのだが。
そんな彼に、――中1当時孤独だった、しかし、ちっとも寂しげな素振りを見せない彼に、
1人、また1人と興味本位で近づいていき、今では10人を超えるグループとなっていた。
ある者は、転勤族で友達がおらず、孤独な彼に同情してもらいたくて近づき。
またある者は、人を差別しない自由な彼に惹かれて近づき・・・。
特異な例として、ムスっとしている彼を見るに見かねてグループに入った《お笑いのキムタク》なんてのもいるが。
まぁしかし、彼はこのグループの重要な存在だ。卓巳は、そのルックスと笑いのセンスで、学校中の人気者である。
そんな彼がいることで、グループ間でのイザコザは、全くと言っていいほどなかった。
文章自体は、第2話の途中まで出来上がっていますので、遅くても週1くらいのペースで更新できたらな、と思っています。
乞う御期待!
(…と、自分を追い詰めてみる・苦笑)