オレらしいよね。。 . . . 本文を読む
「ねぇ、わたしのこと、どう思ってる?」
「どうって言われてもなぁ……」
「嫌い?」
「嫌いじゃないよ」
「じゃあ好きなんだ?」
「その二択しかないのかよ」
「じゃ、じゃあ……フツウ?」
「好きでも嫌いでもフツウでもないさ」
「え……?」
「だいっ嫌いだ!」
そう言って、彼はわたしをギュッと抱きしめてくれた。
「もぅ……わたしもだいっ嫌い!」
心臓の鼓動(おと)が聞こえるくらい、彼の胸に頭を埋め . . . 本文を読む
最近、なんだか面倒になって処方された薬を飲んでおらず、結構な量が余っていた。
数えてみれば全部で100錠ぴったりあった。
数える必要はあまりなかったのだけれど、少しは必要性があると思ったのだ。
今日は病院の診察日。
いつものように髭もそらず、歯磨きだけちゃちゃっと済ませて家を出た。
バスに乗り、揺られながら薬のことを考える。
一応は持って来たが、どうしよう。前に余ったときは、新しく薬 . . . 本文を読む
僕は思う。
故に僕あり。
この物語りはフィクションであり、登場するすべての事象は、実在する人物・団体・組織などとは、なんら関係ありません。
という前置きをして。
さぁ、語ろう。
通行人の少ない街角。
すっかり暗くなった空、夕闇。
僕はただ一人きりで、ただ妄想に浸っていた。
それが。
その妄想が、
まさか全世界に向けて発信されるなどとは、知る由もなしに……。
日の暮れた街頭 . . . 本文を読む
疫幽儚(えきゆらはかな)の真実
霊(たま)の記憶から、ほとんどすべての謎が解けた。
どうやら私は、もうすぐ疫幽儚として生き返るらしい。
そのリハビリのために健介の魂の半分を私の体に込め、一日様子を見ている最中なのだ。
『そのとおり。はじめまして、健介の父の石動鉋(いするぎかんな)です』
いつの間にか闇の中にいた私に、健介のお父さんは思念波とやらでそう言った。
は、はじめまして . . . 本文を読む