[映画紹介]
中国で製作されたCGアニメ。
出稼ぎに行った両親の帰りを待つ少年チュンは、
獅子舞バトルで屈強な男たちを倒した、
同じ名前の少女チュンから、獅子頭を譲り受ける。
チュンは友達ののマオとワン公と共に、
獅子舞バトル競技全国大会を目指すことを決意する。
それこそが、社会の底辺からの脱出を意味したからだ。
飲んだくれの元獅子舞選手チアンに弟子入りした3人は、
チアンの妻アジェンに励まされながら猛特訓を続ける。
しかし、父親が出稼ぎ先で事故に遇い、
意識不明の状態で戻って来た。
その治療費を稼ぐために、
チュンは都会に出て働かなければならなくなる。
大都会での辛い境遇は、
チュンの獅子舞への情熱を崩すものだった。
より賃金の高い職場を求めて移動する時、
獅子舞バトル競技大会の場に遭遇したチュンは・・・
日本の獅子舞のルーツと言う中国の獅子舞は、
獅子頭を操る者と後足を務める者と太鼓を打つ者との3人で1組。
演技と玉争奪戦と高い柵の上での到達競技とで争う。
まず、中国のCGアニメの技術の高さに驚かされる。
そのスピード感、美しい造形、見事な自然描写。
2年ほど前に「白蛇」 (2021) という作品を観た時も驚いたが、
あれは中米合作。
今度のは純粋に中国製だ。
話そのものは、競技優勝を目指す訓練と
その障害との闘いで新味はないが、
背景に中国の貧富の違いや社会格差があり、
それとの闘いが物語を前に進める。
都会での苛酷な出稼ぎ生活の描写は
中国の現状を表し、胸が痛い。
とにかくチュンをはじめとする3人の仲間と師匠の
絆が深く、胸を打つ。
感情移入は映画を面白くさせる重大な要素だ。
最後のくだりは、感動を誘う。
難点は、登場人物の「顔」で、
ゲームの登場人物並み。
もう少し好感の持てる顔にはならなかったのか。
中国公開時に空前の大ヒットを飛ばし、
2021年度公開作品の映画満足度ランキング第一位を獲得。
日本では、2022年4月に、
「雄獅少年 少年とそらに舞う獅子」という題名で
字幕版で公開されたが、
今度は日本語吹き替え版で再登場。
監督はソン・ハイポン。
5段階評価の「4」。
新宿バルト9他で上映中。
私が観た時、観客は3人だった。
もっと沢山の人に観てほしい。
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