空飛ぶ自由人・2

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映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

2023年05月20日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

この映画がアメリカで記録的な大ヒットしている、
と聞いて嬉しかったが、
ゴールデンウイークに合わせて、
日本では遅れて公開され、同様にヒットしていると知っても、
まあ、子供向けだろう、と観る気はなかった。
しかし、ネットのレビューがやたらにいいのと、
やはり、日本発の世界的キャラクターだから、観ておこうかと、
“愛国的”な動機で、遅まきながら観にいった。

ブルックリンで配管修理の仕事を始めたマリオとルイージ。
全財産をはたいてテレビCMを打ってみたが、
思うに任せない。
そこへ、道路下の水道管が破裂した、
という知らせにかけつけて、
修理の実績を残そうとするが、
異世界へのワープ土管に入り込んでしまい、
二人は離ればなれになってしまう。
マリオはルイージを救い出そうとやっきになるが、
一方、大魔王クッパ率いるカメ一族に侵略されて
キノコ王国は危機に瀕しており、
マリオはピーチ姫と一緒に敵に立ち向かう・・・

というわけで、日常から異世界に入り込む、という展開は、
「不思議の国のアリス」「オズの魔法使い」と同じ、
伝統的な作劇術。

で、その異世界がゲームの世界観そのものとなっており、
ゲームに親しんだ人にとっては、涙が出るほど懐かしい。
コインやブロック、キノコを食べての巨大化、花を手に入れての火炎投下、
無敵となる輝く星など、ゲームで作られたキャラクターが跳梁する。
ドンキーコングやマリオカートも出て来る。
目に映るものが、
いつかゲームで見たもの、というのは、ワクワクする。

ゲーム「スーパーマリオブラザーズ」に親しんだ世代が
現在は親となり、子供を連れて観にいく、
というのがヒットの要因だったのだろう。
ただ、大人が観てつまらなかったら、
子供だけ行かせる、となるはずだが、
大人が観ても満足する作りになっているのがミソ。
徹頭徹尾ゲームの世界で、
それをすさまじいスピードで展開する。

任天堂がディズニーやピクサーと組むのではなく、
イルミネーション・スタジオと組んだ
というのも成功の要因の一つ。
ディズニーやピクサーだと、
プラスワンの要素を付け加えただろうが、
イルミネーションは、ゲームの世界を尊重し、
それで貫いた。
「物語が弱くて、テーマがない」という批判があるそうだが、
そんなことははじめから求めていないのだ。
ただ、マリオの配管工としての仕事はうまくいっておらず、
父親に認めてもらえないばかりか、
弟のルイージを巻き込んだことを非難されている、
という設定で、
ブルックリンを救って、
最後に父親に認めてもらえるという展開は、
隠れたテーマと言えるかもしれない。

CG映像は完璧で、
ゲームをしているような感覚に襲われる。
ゲームの雰囲気を壊さないままに、
その世界を高次元のビジュアルで再現。
スピード感と立体感が素晴らしい。
音楽も素敵。

監督はアーロン・ホーヴァスマイケル・ジェレニック。
当然、ゲームの生みの親、宮本茂(現任天堂代表取締役フェロー) が
製作に関わっている。

5月15日の時点で全世界の累計興行収入が1600億円を超え、
日本でも興行収入80億円を突破とは恐れ入る。

なお、私は年齢的にはゲームをする世代ではないのだが、
発売された1985年当時(もう38年も前だ)、
「スーパーマリオブラザーズ」は遊んでいる。
ROMカセット、ディスク版の両方で。
豊かな世界観、仕掛けの多様さ、遊び心に驚倒した。
他には「バイオハザード」「サイレント・ヒル」などか。
いずれも攻略本が頼りの遊び方だった。
子供の頃、これらのゲームに出会っていたら、
もっと熱中しただろうと、惜しまれてならない。

5段階評価の「3.5」

拡大上映中。