YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

初期型YBR125K KGの点火回路研究

2018年04月02日 | YBR電装系

 4月になっちまったぞ!
エイプリルフールも去って嘘も書けなくなったから、溜め込んで
たネタをいよいよ放出してみるよ。

これ、ご存知YBR125K型(KG型)の初代モデルで爆発的に売れ
た年式。(2009年くらいから2013年まで生産されたモデル)
実は数名から始動困難になってプラグが点火しなくなったとか、
正常に動くけれどメーター内の故障警告灯が点灯して消えないとか、
ビッグキャブ化したいけれどキャブレターにセンサーがあるために、
CDIが正常動作するか不明とか、色々相談が舞い込むようになった。
年式からそろそろ何等かの不具合でも起きやすいのかな?

この型式はキャブレターにTPSとキャブヒーターが標準装備されて
いるので、左側から見れば確認できる。
現行のK・KGにこれらは無い。

CDIはこんな形。

無印YBRなどと違って大きくて、シート下の後方に設置されて
いるので見た事があるオーナーも居るだろう。

 無印YBR系は2005年式サービスマニュアルがネット上に公開
されているけれど、K型はまったく無くて俺自身は謎の仕様と
して傍観するしかなかったわけだが、近年中国の情報サイトで
初期型Kの点火回路図が掲載されていたのだ。

だが、 よ・・・読めネェー・・・って放置してたのだ。w

 昨年オフ会で「研究用に使ってください」とK型の電装ハーネ
スを進呈してくださった方がおり、それと図面を組み合わせれば
机上で解析できるのではないかと思い立って実行してみた。

見やすいように描いてみたよ。

「小さくて読めない!」って?
ハイ、大きな図のリンク。


この図があれば配線コネクタの端子や繋がるスイッチ類、電源
電圧などをチェックして、不具合箇所を発見するのに役立つだろう。

実体配線図も描いてみたよ。
これで色々な確認や修理がやりやすくなるはず。

 さて、ついでに面白い事を思いついたのだ。




バツ印の個所を使わないで、コネクタを6Pメス用に取り換えれば
無印YBR系の6ピン直流CDIに換装する事ができるはず。
これでTPSに依存しない動作のCDIが使えるわけだ。



YBR系は点火回路や部品がほとんど共通なので、これにしてしま
えば警告灯異常問題やビッグキャブ化問題は解決するのだ。

【CDIを無印型に変える方法】

6Pメスコネクタを用意する。 タオバオid=548769046713

無印CDIを輸入するついでに買えば良いと思うよ。
配線付きだけれど、欲しいのはハウジングだけなので、端子ごと
抜き取ってしまえば済むのだ。

CDIコネクタの補修用端子 で調査ずみで、

6P【防水】黒色メス端子側カプラーキットRFWシリーズ
F090WP-RFW/6P090WPK-FERFW-BK-F

と言うワードで検索すれば通販サイトでも国産品を扱っている。

【作業方法】

 車体からCDIとコネクタを丁寧に抜いてその場で入れ替え作業。
特にCDIからコネクタを抜く時はロックレバーを押しながら、真っ
直ぐ抜かないと端子疲労の原因になるので注意。

抜けたらハサミやニッパーで5㎝ほど保護チューブを切り取る。
配線を切らないように!w

リテーナーを外す。

精密ドライバーで引っ掛けて手前に引けば外れる。

抜きたい箇所の配線の根元を指先で摘まむ。



端子のロックベロを少し上に持ち上げて、配線を引っ張ると抜け
始めるだろう。

こんな感じで抜けるのだ。

次に用意した6Pメスコネクタのハウジングに端子を挿入する。
写真のコネクタハウジングは補修用に保存していた旧型無印YBR
のハーネスから拝借した物なので、単なる色違い。

端子には上下方向に指定があるので端子の窓を上にしてこんな方
向で各穴へ挿入すればロック機構が働くのだ。

ハウジングのロック機構の位置と配線色の位置に注意する事。
間違えて違う色を刺すと大故障を起こすのだ。

初期型Kの配線を無印型CDIに適応させるためのピンアサイン

この配置に1本ずつ丁寧に繋ぎ変えれば済むのだ。
たった6本なので、落ち着いて作業すれば良いだけだよ。
純正配置色と良く対比させながら作業と確認を。

ただし黒と黒(青)が大変見分けにくいから、慎重に観察して
間違えないようにしてください。
緑(黄)も、うっかり緑(白)と見間違えしやすい。

純正コネクタは最後にこんな場所だけ配線が余るはず。

しつこく確認しよう。

入れかえたら最低でも電源配線チェック。

テスターで直流電圧を測りながら、ここの端子間を測定しつつ、
メインキーをON/OFFして12Vが正しい極性で来ているかを
確認するのだ。
ついでにキルスイッチもON/OFFして電圧の有無を確認する。

大丈夫だったらリテーナーを装着。

 以上で改造は終わりなので、用意した無印CDIに差し込んで
エンジンをかけてみよう。
無事に動いて、キルスイッチも動作するなら配線改造は成功でき
たわけだ。

 余ったコネクタ類は保護処理しておく。

ビニールの小袋を被せて束線バンドで縛ればよい。
こうしておくと後々純正CDIに戻す事情がある時に、再使用が可能
なのだ。
出来れば余ったコネクタをハーネス本体にでも結束バンドで固定
して振動対策するとなお良い。

 社外キャブレターに換装し、TPSを使わなくなった時も同じ。

もちろん純正キャブレターのままなら、そのままコネクタを装着
していても構わない。
CDI変更で電気的な動作はしていないだけなのだ。

CDIのタオバオ(チャイナマート)入手の参考
id=528084470778 「欧二 直流」
色々な店で売られているが数百円程度の安い物は特性が不安だっ
たり不良率が高いので、このレベルの店の物が良い。


【ちょっとした疑問】

 今回いろいろな資料で確認していたら、旧型YBRと現行YBRは
マグネットローターに違いがある事を発見したよ。

点火タイミングを計るチップの長さに違いがある。

調べた結果、発電コイルであるステーターの極数による違いが
あるようだ。

旧型YBR(2006年式~2009年式)の直流CDI仕様は8極で、
チップ長は短い。

現行型は12極で2011年式無印YBRから採用されてる記憶がある。

チップ長は長い。
たぶん極数に対するローター内の磁石の配列や極数の差の関係で、
チップ長が違うんだろうけど、本当の所はどうなのか不明なのだ。

 さて無印直流CDIに換装するメリットは何と言ってもTPSを使わ
ない回路のおかげで、ビッグキャブ化が簡単になる事。
そして、点火時期特性が高回転まで使える「5VL-10や5VL-11」
型CDIも使う事が可能。 これはかなりオイシイと思うよ。

マグネットローターのチップ長の影響に関しては、すでに現行
YBRやK型、中国版XTZ125Eで数名実証されてて好評だから
心配する事は無いと思う。

追記:2019年8月8日現在
この記事を参考に旧型YBR125Kのレストアをしていた

読者様がCDI変更を実施して正常に動作したとの事。
5VL-11型CDIの進角特性により、想像以上に高回転まで回ると
との感想を得た。
これでTPSに依存されないからビッグキャブ化も容易になるはずだ。
調子の乗って回しすぎて壊さないように願う。w


 以上、長文であったが初期型YBR125KのCDI変更のお話でした。

*本記事中の図面等を営利目的で添付書類等にそのまま転載する事を
固くお断りします。
無償公開・情報共有による非正規輸入車の維持管理のお手伝いが
目的で、細かい図面を苦労しながら描いている事をご理解ください。
内容を元に独自に書き直す分には構いません。
もっと見やすい図面でも無償公開していただけるなら、お願いしたい
くらいです。w