YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

ローラーロッカーアームを使ってみた

2018年04月22日 | YB125SP改造

 急に暑くなってびっくりだねー。
猛暑になってしまうとバイクいじりが辛くなるので、昨日は朝か
ら隠し持っていたネタを実行したのだ。

以前、タオバオで見つけて買っておいたYBR系エンジン用の
「ローラーロッカーアーム」。検索用語「YBR125静音摇臂」
id=528068611751   id=542527578537

 普通のロッカーアームはカムとの接触・摺動面が板状のパドル
形だけど、これはベアリングを介して摺動するので摺動ロスが
少ないらしい。
中国ホンダのCBF125や昨今のカブ・グロム系で正式採用された
低燃費・静音を目的とした仕様で、中国ヤマハのYS125などブル
ーコアエンジンにも採用されているが、なぜかYBR系エンジン用
が売られていたのだ。
何か他車種で載せているのか調べてみたけど出所は不明である。

パーツクリーナーで掃除してからエンジンオイル漬けにし、
ベアリングを回して浸透させておいたよ。

 詳しい取付解説は無理なので、今回YB125SPで発覚した難所
と対策だけを羅列してみる。

YBRのサービスマニュアルやパーツカタログを熟読し、構造を
理解すれば出来るレベルで、既にエンジンを分解・組み立てし
たりの経験があれば尚よし。
旧型セロー225エンジンのヘッド関係をいじった経験があれば、
似た構造なので簡単だと思うよ。

まず、邪魔ものを全て外す。

マフラー、キャブレター、キャニスター、上部エンジンハンガー。

とにかく圧縮上死点を出す。

我がYB号はローターカバーを旧型YBR用に交換しているので、
サービスホールを開ければローターナットを固定できるのだ。
カムチェーンを介して固定されたカムスプロケットのボルトを
緩める。

今回新たに工夫した印。

組む時に最初に掛ける箇所にも印を付けてみたら、すごく早くて
簡単に正しい位置を決める事が出来た。

事前に用意した冶具。

以前、カムシャフトのベアリングを抜くために作ったベアリング
プーラーをロッカーアームシャフト抜きに転用してみる事にした。

ところが作った冶具をどこかへポイと仕舞ったの最後に、行方不
明になったのだ。w

結局、急ごしらえの抜き冶具を使う。

水道管の継手を40mmに切って、M6・80mmの長ボルトとワッ
シャーを適当に組み合わせた物。
これで吸気側は簡単に抜く事ができたよ。

問題は排気側のこの部分。

ヘッド固定ボルトが邪魔をして、そのまま抜けなのだ。

該当箇所のボルトを抜こうとすると・・・

上部のフレームに当たって抜けきれない。

先人の教えを参考に、工夫して抜く事ができたよ。

この様に、ヘッドを固定しているボルトを全部ゆるめてから、
ヘッドを少し持ち上げて(ダウエルピンから外れる程度)、
斜めにしながらボルトを抜く。
上部に配線ハーネスもあるので、これも少し避けながらやれば
できるはず。

やっと抜けたから、いよいよ排気側のロッカーアームシャフト
を抜く。



段差があったので冶具の筒の一部を削って真っ直ぐ抜けるように
工夫しておいた。

追記:後日別の治具でシャフトを抜く方法を実行してみた。

L字鋼材を渡しても使えた。

この方法でも抜ける。
シャフトは完全に抜かなくてもロッカーアームは自重で外れる
から、この方法でも作業は可能だと分かったよ。

 ただし、スパナの操作回数が多いので疲れるから、鉄鋼材の
スチール・フラットバーで踏ん張り板を作って方が楽だと思う。

これならナットをグルグル回す事が出来て作業が早くなる。

さて、シャフトが抜けたのでロッカーアームをヘッドから抜こう
としてみたけど、今度はバルブスプリングが邪魔をして抜けない。

カムシャフトの穴から抜いてみる事にしたよ。
カムシャフトは丁度M8のボルト穴があるので、既に抜いたヘッド
固定ボルトを仮にねじ込んで真っ直ぐ引いてみたところ、スポっと
抜けてくれた。これは簡単。

大穴が開いたおかげで、ここから取り出す事ができた。
ちょっと知恵の輪みたいになるけどね。
ロッカーアームのタペットアジャスターボルトとナットを事前に
外しておくと更にやりやすい。

取り外した純正ロッカーアームと比較。

採寸比較した結果、問題は無さそうだった。

ローラーロッカーアームの取付は逆順番。

ロッカーアームシャフトはM6ボルトをねじ込んでからハンマー
で少しずつ叩き入れる。
六角穴付きボルト2か所を仮に固定しておくとやりやすい。

シャフトは意外と奥まで入るのだ。

ドン突き(突き当り)まで入れる。

無事にローラーロッカーアームが付いたよ。

後は他の部品をどんどん元に戻す。

参考トルク値
ヘッド固定ボルト 22Nm
ヘッド固定M6六角穴付ボルト 10Nm
タペットアジャスターナット 8Nm
カムシャフトリテーナ キャップボルト 10Nm
カムスプロケット固定ボルト 20Nm
カムチェーンテンショナー固定ボルト 10Nm(フタは8Nm)
エンジンハンガー 38Nm

 タペット隙間調整はCBF125の例も参考に、YBR系標準でも
問題ない事を確認したよ。

タペット隙間
IN 0.1mm(標準0.08~0.12) (CBF125は0.08)
OUT 0.12mm(標準0.10~0.14) (CBF125は 0.12)

  タペット隙間調整後の様子。
 吸気側。

気になったのがロッカーアームとタペット間が少し狭く見える
事だが・・・

カムシャフトを回して押し状態にしてみたところ、問題無く
アジャスタースクリューのみの接触状態で開閉する事を確認した。

 排気側。

こっちは見た目は普通で動作も問題無しだったよ。

タペット隙間調整が終わったら何度もマグネットローターを反時
計回りに回して引っかかりや衝突が起きないかチェックする。

大丈夫だったら最後の確認として「CDIのコネクタをいったん
抜いて」からセルモーターを回してみる。
カンカンとか衝突異音が起きなければ大丈夫なはずだ。
CDIのコネクタを忘れずにはめる。

キャブレター他を積んでから始動してみた。

一発でエンジンがかかり、異音も起きない。
なぜかアイドリングが約300回転高くなった。
これは後で摺動ロスが減った証拠だと分かった。

暖気をしながら聴診器(サウンドスコープ)で各所の音に聞き耳
を立ててみたけど、異常な音は発生していないので成功だと思う。
軽くその辺を一周してみたけど異常な動作は起きなかった。

 さて一夜明けて、本格的な試走をしてきたよ。
信号の少ない田舎の国道をメインに枝道や快走路を徘徊してきた。

山奥は新緑が眩しい季節になったね。

約240㎞ほど徘徊してきて、帰りにガソリンを入れる。

結果、燃費は49㎞/lって好成績をマークした。
出発直前に入れた時の燃費は46㎞/lだったので、一応燃費向上
となったようだ。

ローラーロッカーアームの感触

・3千回転からの粘りマシマシで5速でも加速する。
・7.5千回転以上は1JP型CDI特性に邪魔されて少しダルイ。
・エンブレが軽くなったのでギアチェンジが楽。曲がり角、3速で
 回れる事がある。
・主に低回転での摺動ロスが減ったおかげか、町中で4速・5速を
 多用しても粘り強く走る。
・5速5~7千回転での定速走行時のエンジン音は少し静かになって
 長時間でも耳が疲れにくい。
・トコトコ低燃費路線に合うだろうが高回転を好む人には不向き。
・始動直後のアイドリングが低くても不安定にならない。

 交換の苦労の割りに激的な性能向上とはならないけれど、昨今
の流行りの通り、細かい積み重ねが低燃費や環境対策になってる
実情を見ると、こんな部品でも使える事は確かなようだ。
売り文句に「静音」と書いてあるのも、その通りだった。
道路事情もあるだろうが、比較的平地で信号が少ない地域などでは
省エネに役立つだろう。
実は先人が一人居て燃費は向上したらしいし、耐久試験みたいに
往復600㎞以上を走りきっていた。

【後日談 追記】
ローラーロッカーアームは少し高回転が苦手と思い込んでいたけ
れど、ずいぶん経ってから旧型YBR用CDIの5VL-11型と組み合わ
せてみたところ、苦手な感じが解消された。

純正CDIの1JP型だと7000回転付近から回転上昇が緩やかに
なって少し五月蠅かったけれど、欧二(国二)型直流CDIに
換えた途端、9000回転までストレス無しで回るようになった。
ローラーロッカーアームと5VL-11型CDIの相性は良いみたい。

最初からローラーロッカーアーム仕様に設計された中国ホンダの
CBF125をちょっと調べみてみた。

カムシャフトの山(カムプロファイル)を比較してみると、YBR
の急峻な下り形状に対してCBFは滑らかだ。山の形もなだらかで
尖がっていない。
想像ではYBRのカムプロファイルのままローラーロッカーアーム
を使うと閉じ始めの部分で高回転だと密着せずに飛び越える現象
(ジャンピング)が起きるんじゃないのかな?と思い込んでたが、
CDI変更で不安は消えた。

 ワンカムOHVエンジンのCG/CGL125用で人気の改造用ローラ
ーロッカーアームもあるけれど、なぜかCG系だと高回転まで回る。

CG系は普通のスリッパー式だけれどカム山がなだらかなので、
ローラーロッカーアームに変えてもあまり影響しないみたい。

ローラーロッカーアーム仕様であるYS125/150はどうか?

やはりカム山がなだらかで尖っていない。

 YB/YBRにローラーロッカーアームは極低回転域から約6500
回転までは極めて円滑でロスが低くなった分、トルク増しになる
のは見逃せない。
純正CDIはキャブトンマフラーなどで低音ドコドコサウンドを楽
しみながら流すようなSR400的運用方法ならば、けっこう合って
ると思う。
省燃費も含めて早めのシフトアップや安全速度走行が好きならば
良い部品だ。
高回転で回すのが大好きとかなら旧型CDIの5VL-11【欧二 直流】
を一緒に使ったり、ハイカムの方が改造効果は有利だと思うよ。

 今回はローラーロッカーアームを交換する目的というよりか、
一度エンジンを下ろさなくても腰上を分解整備できるか検証して
みたかった狙いがある。今後、なにかのきっかけでシリンダーや
ピストンを整備する時に慌てないようにね。w

以上、謎のローラーロッカーアーム体験記でした。