YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

フォークオイルシール交換 2

2014年04月26日 | YBR125整備

正常な左フォークはオイル抜きで放置しながら、待機時間に右側フォークの分解をやってみた。
まだオイルも抜いていない状態でトップボルトを少し緩めただけ。

最大の難所はフォークボトムのM10キャップボルトが手持ちの工具で抜けるかどうか?

前もって用意した対辺8mmのヘキサレンチを切断したストレートヘキサレンチにソケットを付けて、スピ
ナーハンドルで回そうと試みる。

期待半分に普通の工具構成で回そうとしてみたが…

アウターチューブを足で踏んづけて固定してもフォークが供回りして不安定で、まったく緩む気配が感じ
られない
いろいろな力加減でやってみたけれどダメだった。

どうしよう・・・どうしよう・・・

簡易万力が有るのを思い出し、ボトムに噛ませてフォーク本体を回りにくくさせてみた。
スピナーハンドルも長い柄の物に交換。

この状態でしっかり押さえながらエイ!っと回したらバキって音が鳴って…

無事に緩んでくれたよ。
もう一人押さえてくれる助手でも居るか、ちゃんとした作業台に万力を固定してから行えば、もっと楽に
できただろうなw
なおボトムボルトを抜く時にインパクトレンチを使えばこんなに苦労しなくて済む。

やっと緩んだのでそのままボルトを抜いてみた。
ボトムに密閉用の銅ワッシャーが張り付いてたからピンセットで救出。

外したついでに寸法を測っておく。
もしもナメた時に代替品を探す貴重な資料になるからね。
ここは多分高張力ボルトを使ってる思うので、ホムセンの安ボルトではなくメーカー純正品を使いたい。
SR400やSRV250の物が同寸のようなので、外せたものの不幸にしてナメてしまってた時は代替品として
覚えておけばいい。
銅ワッシャ(銅パッキン)の寸法から察すると、ブレーキホースのバンジョーボルトのクラッシュワッシャー
と同寸で汎用品を使うことができる。

なおフォーク内を分解した後でボルトを回そうとすると、ダンパーロッドが供回りして抜けない可能
が高いから非分解のまま緩めたのだ。

中のスプリングが押さえになって、供回りしにくくなるのを利用した作業順番なんだ。

まだオイルは入ったままなので下から排出。

けっこう汚れていて丁度いい交換時期だったよ。

このままインナーフォークを引っ張るとスポッとアウターチューブから抜ける。
構造的にボトムボルトがダンパーロッドを介して抜けどめになってるのだ。

ダンパーロッドの先端にアルミ製のロックピースがある。
見かけなければアウターチューブ内に残ってるはずだから、逆さまにして取り出そう。

やっと分離できのでアウターフォークのダストシールとCリングを外し、オイルシール本体や内部を観察して
みたけど特に目立ったキズは無い。
YBRはコストカットのためかスライドメタルが無い構造だった。

いよいよオイルシールを外すよ。

キズ防止用に自転車の古タイヤを切った当てゴムをはさみ、タイヤレバーを使ってテコの原理で少しずつ
抜く。
徐々に回しながら栓抜きの要領で均等に抜くのが良い。
同時にレバーの先端でフォーク本体の壁にキズを付けないように、微妙な差し込み位置を探しながら
作業しなけばならない。
この作業が一番気を使って時間がかっかった。 ふぅ・・・

無事に抜けた漏れオイルシールをポイして、用意した新品オイルシールにシリコングリスを薄く塗布する。

外周と内側に塗った。
BW'S100用オイルシール「4VP-F3145-00」

次に登場するのが特殊工具の…水道管の蓋。

耐衝撃塩ビ管用継手の止水用キャップ「HIキャップ(25ミリ)」約80円也でホムセンの水道管
売り場で見つけられる。

ところが実際に当ててみるとアウターフォークの穴より微妙に太くて入らない。
しかたないのでグラインダーと棒ヤスリで外周を削る追加工をした。
後で調べたらキャップだけが根本で1mm太く、他の継手関係はそのまま使えそうなので、皆さんはキャップに
こだわらずに使いやすい物で行うと良いと思うよ、


入ったよ♪

オイルシールリップの上下方向を間違えずに装着し、ハンマーで少しずつたたきながら打ち込む。


奥行きの加減はCリングの溝が出る程度で、一番奥の突き当りまで打ち込む事はしない。

打ち込みすぎると次回交換時に引っ掛ける隙間が無くなって具合が悪いからだ。

全周のわたり均一に圧入し、Cリングストッパーを装着。

さらにダストシールも手で圧入しておくと後が楽だ。

いよいよインナーフォークを挿入。

ダンパーロッドの先端にアルミのロックピースを付け、アウターフォークを逆さまにし下から慎重に
差し込む。

上から銅ワッシャー(今回は再使用)、ボトムボルトを入れて仮止めする。

増し締めは寝かせて単純な工具構成で行った。

密閉は銅ワッシャーの潰れで確保してるので、バカみたいに強く閉め込む必要は無い。
固くなってからキュっと増し締めするだけで十分だ。
もしも緩んだとしてもアクスルシャフトに突き当って脱落する事は無く、せいぜいオイル漏れで異常を知ら
せてくれる程度である。w

残りはフォークオイル交換と同じ作業。
正常な左側フォークと同じように立ててトップボルトを外し、内部部品をすべて取り出した。
インナーフォーク内に残ってるオイルを排出させて暇つぶしに新品オイルの準備。
今度は新品オイルの投入だ。(今回用意したのはスズキのG10。安かったのでw)

まずインナーフォークを一番下まで押し込んでからフォークオイルをメスシリンダーで測って160cc入れる。
左右それぞれ同じ量で構わない。
そしてインナーフォークをゆっくりと何回か上下させて底に溜まった気泡を上昇させる。
次に一番下まで押し込んでから立ててしばらく放置。

気泡が抜けるまでの時間が必要なんだな。
暇つぶしにトップボルトのサビ落としや、散乱した工具を整理したり次の準備でもすると良い。

最後の仕上げは油面調整。

用意したのがホースに付けた油差しと割り箸と輪ゴムによるT字型の位置決め治具でテープで止めてる。
ホース先端とTの柄の距離が油面距離になる。

サービスマニュアル指定は156mmだが、読者のG氏がお世話になってたバイク屋のメカさん情報
では142mmとの事。
俺の今までのセッティングはスペシャルブレンドオイル(G10+G15)を150mm。
今回は久しぶりに粘度G-10だけでやってみたい。
だが過去に156mm+G10で少しフニャフニャした感触がして気に入らなかったから、今回は指定よりも
11mm上げて145mmを試した。
こうすれば密閉された内部空気量が減って踏ん張り方が硬い方向へと変わるだろう。

気泡が抜けたであろうフォークが一番下まで下がってるか再確認し、油面治具を差し込んで油差しを1回
握って離すと、ポンプ同様に余分なオイルが吸い上げて設定した145mmの油面が一発で出せる。

油面調整が済んだら今度はインナーフォークをゆっくり伸ばし、抜き取ってた部品を順番通り、元の方向
通りに入れてトップボルトを仮止めする。

ここは後で増し締めするので適当に硬くなったらOK。

やっと左右のフォークが完成したからブラケットに装着する。
純正位置はフォークトップとアッパーブラケットが面位置なので、金尺で平面を出せばいい。

平面を確保しながらロアーブラケットのボルトを締める。

次に仮締めしてたトップボルトを高ナット+レンチで本締めする。

ここもOリングで密閉されてるのでバカ締めする必要はない。
硬くなったらストップで十分だ。

トップボルト本締めが終わったらアッパーブラケットのボルトを締める。

ここを壊す人が居るらしいので、上下ブラケット共に締め過ぎに注意してください。
オフロード車の整備テクのうち、わざとロアー側を若干緩めにして転倒時にフォークをたわみやすくして
インナーチューブの曲がり破損を防ぐ裏技があるくらいだ。

最後にアクスルシャフトが素直に通るか確認し、異常なたわみの有無をチェックする。

これでやっとフォークが組み上がったから、外した部品類やタイヤを元通りに組み上げて完成。

朝一から始めるつもりが家の用事に阻まれて開始時間が遅れたのと、途中の難所でアタフタして手間取
ったり、ネタ用に撮影したりで結局フォーク整備しかできなかった。
そんなわけで力つきて予定してたステムベアリングの確認整備は後日気合が入った日に実行する
事に変更。

「もうゴールしてもいいよね?」

見てもわかるようにフォークオイルシールの交換は結構面倒で手間暇がかかり、お店に修理依頼すると
意外と高額になる内容。
YBRはまだ単純な構造だから少しは安くあがるだろうが、フルカウルのSSだと数万はいくだろうな。
インナーフォークの軽い掃除を怠らず、俺みたいに酷使しなければオイルシール漏れはめったに起きない
と思うけど、YBRは車重に対してフォーク径が若干細く、片側ブレーキ機構によりブレーキング時に右側の
ヨレが大きくなるのがオイルシールへの負担になってると想像する。
他のYBR乗りさんの漏れ話も、ブレーキ側右フォークという例が多い。

軽く試走した結果、漏れはピタリと止まった。
純正指定じゃない台湾ヤマハのオイルシールでもまったく問題なく装着できたのが大きな収穫だった。
国内正規販売でKN企画も販売してる入手性の高いフォークオイルシールが使える事を証明できた。


フォークオイルシール交換 1

2014年04月26日 | YBR125整備

サンドペーパー式応急処置でフォークオイルシールの漏れをざんざん誤魔化してきたYBR号。
さすがに4回も行ってて、いよいよ限界を超えてまた漏れだしたw
今回はやっと重い腰を上げて交換する事にしたよ。

実験的にフォークオイルシールの代替品として購入しておいた台湾ヤマハBW'S100用オイル
シール「4VP-F3145-00」
使ってみようと思う。

簡単に作業内容を書いてみるけど、我がブログは初心者向けの丁寧な解説書ではないので、手つき
や指定トルクや回転方向などをかなり
省略してたりサービスマニュアルと違う方法で行うため、未経験
者は単なる読み物として、整備経験者
はヒントとして眺めていただければ幸いです。

いきなり本題。
メインスタンドで車体を立ててからメーターケーブルを外す。

ゴムキャップをずらせば固定リングが見えるので左回転させればいい。

ブレーキキャリパーを外す。

12mmのフランジボルトは意外と硬い。(車載工具や片口スパナじゃ太刀打ちできない)

アクスルシャフトを抜いてタイヤを外して荷台に縛り付ける。

後方重心がさらに増して前に倒れにくい。
さらにフロントフェンダーとYAMAHAエンブレムも外しておく。 

フォークトップのゴムのフタをめくって外したらサビてたw
あとでサビとりをしよう・・・

アッパーブラケットのボルトを緩める。(抜かない)
これでフォークトップの締め付けが解除される。(これを忘れてトップボルトを壊す人が
新米整備士でも居たとの記事を見たことがある。構造をよく理解しよう)

トップキャップボルトを対辺14mm長さ30mmの高ナットとレンチで軽く緩める。

ロアーブラケットがまだ固定されてるので万力のように使える技なのだ。

ロアーブラケットのボルトを緩める。

これでフォークが自由になるから慎重にブラケットから抜く取る。

地面に直置きするとキズだらけになるので、敷物を敷いてあげることをおすすめします。
ついでにインナーフォークの掃除や点サビ除去をやっておいた。

ちょっとインナーフォークの簡易的曲がり確認を行おう。

金尺があるなら当ててみると、曲がってる時はどこかに隙間が出来るはず。
幸い俺のフォークは隙間なく、曲がっていないのが確認できた。
数カ所外周を確認してみても問題なし。ヨカッタヨカッタ

いよいよフォークを分解。
まずオイル漏れを起こしていない正常な左側フォークから。

フォークトップボルトは前もって緩めてあるので簡単に回るはずだ。
スプリングの反発力による部品の飛び出しと落下をさせないように気をつけよう。

当然ですがフォークボトムを地面に直置きしちゃダメ。
無駄にキズ付けないようにキズ防止の配慮くらいはしておくと良い。

抜き取った内部部品の構成と順番。

オイルまみれなので拭きとってから並べてみた。
特に注目しておくのはスプリングの密度で上側が密巻きになってるから、組み戻しは同じ方向にしておく。

古いフォークオイルを廃油受けに排出。

フォークをクチュクチュと伸縮させて出しきろう。

オイル粘性の影響で短時間では出し切れない。

逆さまに立ててしばらく放置しておく。
気温が高い季節は15分くらいで済むけれど真冬は30分以上放置かな。
左右共にオイル漏れを起こしていないフォークなら同じ作業で進めて構わない。

放置時間は暇なのでロアーブラケットを見てみたらサビを発見。

ロアー側は鉄製なのでしかたがないね。

暇つぶしに真ちゅうブラシにスプレーオイルを吹いてサビ落とし。

どうせ暇なので徹底的に落としたら、かなりきれいになった。w
ついでにブレーキキャリパの掃除やパッドの残量確認なども行うと良い。

ここまでは普通のフォークオイル交換作業と同じだ。

問題は漏れている右側フォークのオイルシール交換…
画像が多いので次回へつづく