DV加害者更生プログラム(既婚、未婚、問わず)

DVをしているのではないか、悩んでいる方に心理テスト、グループエンカウンター等を用いて更生の道をお手伝いします

ストロークについて

2012-07-28 23:25:22 | 交流分析
                 e-Mail:liaison-chofu@mail.goo.ne.jp


 ストロークについて書きます。 
 ストロークとは、人から人へのやり取りをいいます。
 ストロークは、存在認知(私は生きていていいのだ)
 にもなります。
 心の力を強める(やる気の出る)働きのある 
プラスのストロークと
 心の力を弱める(やる気を失せる)働きのある
マイナスのストロークに大きく分かれます。

 プラスには、愛情を注ぐ、誉める、なでる、
       信頼する、共感する、微笑む、
       挨拶をする、握手をする、などがあります。
 
 マイナスには、たたく、蹴る、つねる、いやなことを言う、
       怒鳴る、にらむ、相手の気持ちを無視する
       虐待、差別、比較、偏見、DVを受ける、などがあります。


 ストロークを一切出さない、ノーストローク
 というのもあります。

このプラスとマイナスには、ある法則が存在します。
 貯金の法則 というものです。
プラスを多く受けたとき、プラスの貯金が
たまり、マイナスを多く受けたとき
マイナスの貯金が貯まるというものです。

これらは相殺しあいますので、普通の家庭では
心の状態が、ちょっとプラスが多い家庭、
ちょっとマイナスが多い家庭という風に
なります。

 ここで注意しなければならないのは、
プラスもマイナスも、受け手が決めるというものです。

送り手が、誉めたつもりだったとしても、
受け手が、嫌味にとっていたら、そのストロークは
マイナスとして貯金されてしまいます。

最近の報道で、いじめた側が、遊んでいたつもりだった、
 からかっていただけだ、と聞きますが、
これは交流分析の観点からも通じません。

決めるのは、受け手側だからです。
 受け手がいじめられたと感じたら、
 マイナスとして、心の力を弱めることになります。

プラスを多く受けて育った子は、自己肯定感が育ちます。
 何か、失敗したときに、この失敗を次にいかそう、と考える
 気持ちの切り替えのできる子になるといわれています。

ああ、愛されてるな、信頼されてるな、大事に思われてるな、と
日々感じて、子どもは自分を肯定していきます。

 プラスのストロークの中に大人の皆さんが苦手な分野があります。

それは、共感です。

 これから出かけようとしている時に
 転んで服を汚してしまった子どもに。

プラスのストロークでは、
 「痛かったね。大丈夫?」となりますが、
 これがなかなか言えない。

 「何やってんの!この出際に!」ということが
 多い。
 
  これは、(人の弱みや痛みよりも予定が優先)
  というメッセージを言葉を使わず
  子どもに届けることになります。

 たとえば、学校の宿題をできなくて持ってきた
 子どもに

 「お母さん(お父さん)、わからないんだけど…」

 プラスのストロークでは
 「もうここをやってるんだね。進むのが早いから
  大変だね。」となるが これもなかなか言えない。

 「え~、まだこんなところもわからないの!ばっかじゃない!」
 と言ってしまったりする。

これも、「自分よりできない人は馬鹿にしていい。」
 というメッセージを言葉を使わずに子どもに届ける
 ことになります。

 こんな相談を子どもから受けたことがあります。

 「宿題を終わらせたら、遊んでいいっていうから、
  頑張って、超スピードで終わらせたら、
  早すぎるじゃない、他のワークプリントでも
  やりなさいって、次の課題がでてくるんだ。
  どうしたらいいんだろう?」
 だって。がっくりきちゃうよね。
 これは、どんなメッセージを届けているか
 わかるだろうか。

  一つ。約束は気分次第で破ってもいい。
  二つ。一生懸命やっても、だらだらやっても
     結果は同じ。それなら、だらだらやった方が
     得策。

  大人の皆さんにお願いしたいことは
  子どもに達成感を感じさせてあげてほしいのです。

  次を出したくなる気持ちをちょっとこらえて、
  「ずいぶん早く終わらせたね。やればできるじゃない。」

  と言ってあげてほしいのです。もちろん次の課題はなしですよ。

 DV加害者更生プログラムに、配偶者に対して共感を持つという分野が
 ありますが、どういうわけか、妻に対して共感できない、したくない、
 この能力自体、妻に対しては使うものではないと信じて疑わない、
 そういう夫ばかりで、最後までハードルの高い、苦手な、というか
 欠損している部分だといっても、過言ではありません。

 共感能力の低さはDVのグレーゾーンの人たちにも当てはまります。
 
 小さい子どもの手を引いているお母さんを、振り返りもせず、
 どんどん歩いて行ってしまうお父さんがいます。
 このお父さんは 妻はしっかりと自分の後ろをくっついて
 付いてくるものだ。と信じているので、小さい子の歩くスピードに
 配慮ができない。その子の手を引いている妻の大変さに
 思いが至らない、つまり共感できないのです。
 遅れようものなら、怒り出します。
 そんなひどいこと、本当なの?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
 本当なんですよ。付いてこられない相手が悪いと思っていますから。

  妻が具合が悪いと、不機嫌になる夫がいます。
 これは、結婚、家庭というものは、自分(夫)のケアをするもの
 してもらうところと信じて疑わないので、自分のケアに
 滞りが出ることが許せないのです。妻はいつも元気でいること
 自己管理をちゃんとするのは当たり前、病気なんて怠慢なんです。
 俺だって、会社を休むなんてありえないだろ!ちゃんと自己管理をして
 頑張っているからだ!という言い分です。
 つわりで苦しんでいても、そんなもの気が緩んでいるのだ、と決めつけ
 妻の、体調の悪さ、苦しさ、などを思いやれません。
つわりの時に多く使われる言葉に
  「気持ち悪いな!」というのもあります。つわりは体調管理と
 責めきれないので、別の言い分が出てくるのです。
 気持ちが悪くなっているのは妻側なのに、
 逆に夫から「気持ち悪い!」と責められてしまうのです。
 そんなひどいこと本当~?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、
 本当なんですよ。相手の自己管理(おれのケア)がなってないって思っているんですから。
 妻が具合が悪いことは腹の立つ出来事になります。

 この気持ちの出し方をされたら完全にマイナスのストロークです。
 だって、具合が悪い時、怒られるのですから。
 なんてどんなに悲しい体験になるのでしょう…
 具合が悪いという事実を、隠す、頑張る、ということになります。
 人として間違った行動を覚えていることにもなるのです。
 

 マイナスのストロークに、比較というものがあります。
 これは、親が子どもにつかいやすいものです。
 なぜなら、比較をすることによって、発奮させよう、悔しがらせて
 頑張らせようという心理が働いたり、できないわが子に、
 イライラが募り、比較をすることによって罰を与えているのです。
 簡単にいうと、感情をぶつけているわけです。
 
 さあ、比較は思い通りに子どもが発奮するかというと、
 その逆になってしまいます。兄弟間の比較なんて、よく行われる比較です。
 お兄ちゃんは通知表良かったけど、あなたは駄目ねぇ。
 マイナスのストロークですから
 やる気が失せます。
  私たちも夫から(妻から)
  隣の奥さんって、いつもおしゃれに気を使っていてきれいだよな。
  料理もおいしいみたいだな。
  (隣のだんなさんって、スタイルも若い時のままで
   気を付けているみたいね。子どもの面倒も
   よく見ていて偉いわね。)
 と、言われた時、やる気は確実に失せる方にいきます。
 この言葉を聞いて、やる気を起こす人はまあ、少ないと
 思われます。(負けず嫌いさんは、頑張っちゃうかもしれませんが…)

 子どもの心にたまるマイナスに、DVを目撃する、というのがあります。
 みなさんの多くは、DVとは(多くは男性から女性に)
 殴ったり、蹴ったり、身体的にダメージを与えることだと
 考えがちですが、DVにはいろいろな種類があるのです。
 上記の、身体的なDV、のほかに

  馬鹿、死ね、飯がまずい、醜い、お前の親は最低だな、などの
  言葉による精神的なDV

  望まないのに無理にSEXを強いる、見たくないと言っているのに
  ポルノなどのDVDなどを見せる、などの 性的なDV

  生活費を少ししか、若しくは全く渡さない、
  妻(専業主婦)の自由になるお金がまるでない状態
  パートの妻だけが家でも外でも必死に働いている状態
   (子どもは大変不安な状態に置かれます)
  などの経済的なDV

   というのもあります。

  これらの状態が家の中にあるということは
  子どもの心に着実にマイナスの貯金を貯め続けて
  行くことになります。
 
 では、マイナスがプラスを上回ると、どんなことが
  起こるのでしょうか?
   虐待の起こる家庭の場合、ほとんどプラスが
  もらえません。マイナス一色となります。
  子どもはマイナスの貯金しかできなくなります。
  
  マイナスがプラスをどんどん上回るとき
  子どもの心の中に、ある変化が起きます。
  自分の頭の中から自然に、ある声が聞こえるように
  なります。

  「お前なんかだめだ。何やってもうまくなんかいかない。」
  「私なんか、誰にも好かれていない。私なんか、いなくてもいい。」
  「自分なんか大っ嫌いだ!」

  頭の中でこの声が自然に聞こえるようになるということは
  マイナスの貯金を自分自らするようになるということなんです。

  その貯金は止まらなくなります。自分でダメだダメだとチャンチャン貯める
  ようになるので加速度的にマイナスが貯まるようになります。

  そうなると、自分から危ない場所に寄り、自分から危うい友達を作り、
  自暴自棄の状況が起きていきます。そして、心も体も斜めを向くように
  なっていくのです。誰からの言葉もその子に入らなくなっていきます。
  斜めを向いてしまった子は、ある考えが自分をとらえて離れなくなっていきます。
  その考えとは、自殺です。でも、一人でなんか寂しく死にはしません。
  自分の死を引き換えに社会への仕返しを同時に行うのです。
  人を殺して死刑にしてもらおう、という自殺の仕方です。

  ノーストロークを受けた子は、自分だけを殺してしまう方向へ向かいますが、
  マイナスの貯金により、斜めを向いてしまった子は、自分の命をかけた
  復讐劇を行います。
  本来、ストロークというのは、人が生きていくために
  どうしても必要なもので、幸いにプラスのストロークが
  もらえれば、それにこしたことはないのですが、
  世の中はそんなにうまくはいきません。
  プラスをもらえないとわかった子は、どんなストロークでも
  良いからもらおうとあがきます。
  腐ったストロークでも、その子には価値のあるものになります。
  だって、マイナスといえども、「存在していて、いいんだよ。」
  っていうメッセージなのですから。マイナスの言葉、
  たとえば、お前なんかいなくていい、と言っても
  「存在認知」になるのか、不思議に思われる方も
  いると思います。変な言い方になりますが、
  そこにいるから、汚い言葉もかけられるわけです。
  その存在があってこそ、ひどいこともできるということです。
  マイナスはノーストロークよりまだましということになります。  

  小さい子どもが、お母さん達の井戸端会議中に、悪さをして関心を引こう
  としたりするのも、これにあたります。

  子どもにとって「無視」されることは、何にも代えがたい
  つらいことなのです。お母さんが自分のこと
  関心がないとき、悪いことをしてでも、ストロークが
  ほしくなるのです。
  
  いえ、子どもだけではありません。大人も無視を
  受けたとき、何としてもストロークを得ようと
  相手にゲームを仕掛けるという行動にでます。
  ゲームについての詳しい説明は、またの時に。
  ただ、ゲームを仕掛けられない相手の場合
  会社内での上司などのいじめなど、逆らえない状況の時
  うつを起こしたり病気になってしまいます。
  次回は、この無視という行為がどんなに恐ろしいものかを、
  伝えたいと思います。








 
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ノーストローク

2012-07-28 02:25:19 | 交流分析
                    e-Mail:liaison-chofu@mail.goo.ne.jp

  
  ノーストロークとは、いわゆる無視のことです。
  この無視は人の心に大変なダメージを与えます。
  無視がどのような効果があるか、人はその昔から実験という形で
  試してきています。

  古くは恐怖の実験で有名な1200年代に活躍した
  フリードリヒ2世(神聖ローマ皇帝)です。
  彼は多言語の中で育ち、自分もバイリンガルでもありました。そこで、
  人が 一番最初に話す言葉はなんだろう?と疑問を持ったのです。

    孤児院から赤ちゃんを集め(20数名といわれています)看護士に条件を付けて
  育てさせました。
  その条件とは、赤ちゃんの目を見ない、泣き声がしても、関わらない、
  声をかけない、抱っこをしない、など、衣食住はちゃんとさせても、
  他はまるっきりの無視でした。

  さあ、赤ちゃんたちは、何語を話したのでしょうか?
 
  答えは、残念なことに何語も話さずに全員が
  死んでしまったのでした。
  人は、いくら衣食住があっても、ストロークなしには
  生きられないのです。

  まだまだ残酷な実験は続くのです。

 アメリカの小児科医である、ルネ・スピッツ博士は
   
  スイスで第二次世界大戦後に、孤児になった55人の乳児を対象に、
  幼い時期に施設へ入ることによって、  
  母性が得られない状況(ホスピタリズム)について研究したのでした。

  Aグループ 食事時に抱っこや頬ずりを行う。

  Bグループ 食事時にノーストローク、食事を与えるだけ。
        抱っこなし、ふれあいなし。

  Aグループは、身長体重、順調に育つ。
 
  Bグループは、言葉、身体的にも遅れる。

  さあ、どうなのでしょう。フリードリヒ2世の時は
  すべての赤ちゃんが死んでしまいました。

  この赤ちゃんたちは生き延びることができたのでしょうか?
 
  答えは、27人が2年以内に病気で死亡し、残った乳児も
  17人が成人前に亡くなっているということです。

  11人は成人後も生き続けましたが、その多くには
  知的障害や情緒障害がみられたと言われています。

  ストロークが、いかに人が生きるにあたって
  なくてはならないものであることが
  多くの可哀想な赤ちゃんたちの犠牲によって
  証明されたのです。

  親の多くはこの無視のダメージの大きさを
  知らずにいます。

  親自ら、子どもを無視したり、
  困ったことは、いじめの起きている現場に
  逃げるなと子どもの背中を押す親がいることです。

  集団から無視を受けるような現場は、子どもの
  生きる力を奪っていきます。

  子どもたちは学校の中で、一日の大半を過ごします。
  私は、集団シカトを受けることは、心の殺人現場と思っています。
  もしそんな状況にわが子が陥ったら、親は頑張れと背中を押すのではなく、
  どうか抱きしめて、「逃げよう!」と言ってあげてほしいのです。
  選択肢はこれから一緒に考えればいいのです。立ち向かうだけが
  方法ではないのです。

  ノーストロークの現場からは、どうか逃げてください。
  どうぞ親は、知っておいてください。

  ノーストロークの場所を作らないこと、がもっとも
  大事なことであることは、言うまでもありません。

次回は、ノーストロークが、虐待のネグレクトに匹敵するという
  説明をしたいと思います。









 
  
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