DV加害者更生プログラム(既婚、未婚、問わず)

DVをしているのではないか、悩んでいる方に心理テスト、グループエンカウンター等を用いて更生の道をお手伝いします

お前が俺を怒らせた

2016-08-26 08:04:52 | 【DV加害者更生教育プログラム】
50代Rさん男性
 DV加害者の主張の中に、「お前が私を怒らせるようなことをするから・・・・。」とか、
「お前の考えが間違えているのに、俺の意見を聞こうとしないから・・・・。」などがあります。

基本的にそれらがDVの免罪符には成らないのは当然ですが、原因はパートナー側に
あるという感情は残ったままだと思います。

「お前が変われば俺は暴力や暴言をしないで済む。」と本気で思っているなら、その延長で
俺が変われば、「お前が俺を怒らせる行動や発言をしなくなる。」と考えられないでしょうか。

自分がパートナーに「変われ。」と要求するのであれば、同じ様にパートナーが自分に
「変わって下さい。」要求しても良いはずです。
だとすれば、相手を変えさせるよりも、自分が変わる方が簡単だと思いませんか。

私は朝出かけるときにパートナーと争いになることが度々ありました。
時間に余裕がなく出かけるときに、遅れて起きてきた妻が追加で出た分のゴミを出す様に
要求するのです。短時間で済むことですが、時間に余裕がなくイライラが出ます。
「今頃起きてきて。」と文句を言えば、相手はモタモタとしてくるので衝突します。

私が変えたことは、20分早く行動することです。
私が出かけてしまえばゴミ出しを自分でしなければならないので、妻も早く起きてきます。
妻の機嫌は多少悪いですが、私は時間に余裕があるのでイライラを妻にぶつけずに
済みます。

「追加分くらい、次に回せ。」とか、「少し早く起きろ。」と言うのは相手に対する要求なので
対応するかは相手次第です。しかし、自分が早く行動するのは自分の決断だけで済みます。
長時間残業が続く中での20分早起きは辛いですが、相手に頼らず自分で出来ることです。
(「朝起きてこない妻の方が問題」と思う方もいるでしょう。でも、「夫の出勤時には
妻は送り出すべき。」と思っている方がいましたら、性差別であることに気がついてください。)

次に考え方の違いによるDVの件です。
「お前の考えが間違えている。」と思っていれば、理屈で説得できるはずです。
説得のスキルを上げれば暴力や暴言はいりません。
そもそも、相手の考え方が間違っていない可能性もあることに気がつく場合もあります。

これも自分を変えることで解決可能なことです。
上の考えでは、自分が譲歩ばかりすると思われる方もいると思います。
でも、夫婦関係が良好になればその方が良いと思いませんか。
そのうちに、パートナーも譲歩してきます。
最初の一手を自分が出すだけです。

リエゾンでは、加害者プログラムだけでなく、相手との関係性改善の方法も指導してくれます。
パートナーからDVだと指摘され、納得できない方は参加してみませんか。


リエゾンからのコメント

リエゾンに来る男性の多くは、俺が本当に悪いのか?と思っています。
学んでいくうちにすべて自分の問題であることに気がついていくのです。
対人関係には方法、やり方があります。その事を知っている、知らないとでは雲泥の差なのです。
この記事の男性Rさんは自分なりに学んだことを生活に反映させています。妻は全く気がついていないでしょう。ただ気がつくとすれば、何か争うことが減っているな。というものではないでしょうか。コミュニケーションには、やり方があります。ただでさえ、夫婦はゲームをしがちです。どちらが悪い悪くない、に終始して進展しません。学ぶことから抜け出せる道があります。Rさんは交流分析と加害者プログラムを学び、カウンセリングは必要ありませんでした。

補足;夫婦が行うゲームとは主導権争いのゲームとも言えます。交流分析で心理ゲームとは、繰り返し同じ相手と行われる嫌な感情を伴う、濃密なストローク交換であるといいます。ゲームの特徴のひとつに抜け出せなくなる、やめられないという事が起きます。

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DV加害者にカウンセリングは必要か2

2016-08-19 00:11:27 | 【DV加害者更生教育プログラム】
前回、次の記事の内容でカウンセリングを必要な人かをどう見分けるかを書くことをお約束していました。
そこでいくつかのタイプを提示しましょう。なお、リエゾンで行われているカウンセリングは倉成央先生監修のインナーチェンジングセラピー(感情消化型の再決断療法。注1)を指します。


「1」大人とは思えないほど子どもっぽい考えで自分優先。難しい話になると怒り出したり、逃げ出したり、妻をお母さんとしかみておらず自由を奪う。今さえ楽しければ良くて、大事な事が決まらない。すぐ感情的になり、嗜癖に走りやすい。ギャンブル、お酒、たばこ、薬物等にはまると止められない。周りが険悪な雰囲気になるとその場を取り直そうとする。
 この方は加害者プログラムだけでは難しいと思われます。カウンセリングが必要でしょう。

「2」親に対してとても良い息子である。親の顔色を伺っており、妻の気持ちはまるで聞こうとはしない。実家のために妻が奉仕するのは当然という考えで、妻がどんなに奉仕しても感謝の気持ちがなく召使いのように扱う。ジャンダー意識が強く子ども達にも怖い父親である。子ども達はいつもビクビクしている。妻はもう少し家族を大切にしてほしいと思っているが、本人は充分大切にしていると思っている。
 この方は加害者プログラムだけで改善は難しいと思われます。カウンセリングが必要でしょう。

「3」何かというとすぐ手が出る。怒鳴る、ものを投げる、壊す、怖がらせる。親から大変厳しい躾を受けてきた。我慢を沢山してきた。結果を出すことでしか認められなかったので、ものの価値基準が学歴や、資産、仕事の内容、に偏る。努力をしないものをゴミ扱い。妻に対しても能力を比べたり、馬鹿にしたり、人間としてみていない。
 この方は、加害者プログラムだけでは改善は難しいでしょう。カウンセリングが必要です。

以下はカウンセリングが必要ないと思われるタイプです。

「4」ジェンダー意識が大変強く、男たるもの、女たるもの、こうあるべきという考えが強い。妻にもそれを要求し、周りが思い通りにならないと不機嫌になる。夫と夫の親との関係は、妻が気になるほどはっきり親に自分の意見を言う。子ども時代は甘えられて育っている。子どもに対して男の子は女の子は、に拘りそういう躾をする。妻の考えをまるで認めず、従属物のように思っていて、妻の自由がない。
 この方は加害者プログラムのみで改善の可能性が大きいです。カウンセリングの必要性はないでしょう。

「5」 夫婦喧嘩が絶えず、言葉でお互いをなじり合う。いかに相手を傷つけるかを目的にしている。お互いにゲームになっていて降りられない。別れる気はなく、バトルの毎日。

どちらも相手を怖がっていないなら、加害者プログラムのみで改善されるでしょう。子どもが巻き込まれて被害に遭っている(両親の感情のはけ口)のなら両親にカウンセリングの必要性があります。

以上予想される禁止令から見たカウンセリングの必要性でしたが、あくまでも予想ですので実際はもっと細かな背景の聴取が大切になります。

加害者プログラムでは、事例に基づき妻、夫の立場や気持ちを考えて行きます。裏面に隠された気持ちの機微などを読み解いて行きます。学んでいくうちに自分の行動言動の原因、妻がなぜこう言ったのか、あの行動だったのかを自然に感じられるようになります。(グループワークで行います)
感情消化型の再決断カウンセリングでは、生育歴のどこで自分を諦めたり卑下したり、無力感を感じたのかを考えて行きます。この時々に禁止令を幼児決断していますから、カウンセリング時に再決断をしていきます。自分を変えるのは 自分しかできません。(個人面談で行います。)
どちらにしても自分を変えたい、変わりたいと思うことがなくては変わることはできません。
裁判対策で来ている人には変わることができないのです。
すべては自分次第なのです。

注1。感情消化型の再決断療法…倉成央先生が再決断療法の弱い部分を補うために考案、実践された。インナーチェンジングセラピーとも言う。多くの実績、効果がある上に、愛着の問題にも対応可能である。
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DV加害者にカウンセリングは必要か?

2016-08-10 10:42:13 | 【DV加害者更生教育プログラム】
 人によってはカウンセリングが必要です。DV行動をしてしまうには訳があります。その訳は認知の歪みだったり、不安な思い、記憶があることだったりします。

DV行動をしてしまう男性(女性)の多くは親子関係に下記のような不安な記憶が存在します。


・家族みんなが父さんの一挙手一投足に気を遣ってビクビクしていた。
・お父さんが何か気に入らないことがあると怒鳴る、物を投げた、壊した。
・お母さんがお父さんに言えない分を子どもに感情をぶつけていた。
・夫婦仲が悪く、いつもお母さんにお父さんの悪口を聞かされていた。
・兄弟で比較をされたと感じた。
・子育てを嫌がっていて、子どもを邪魔に思っているようだった。
・親の感情のはけ口だった。
・結果を出しても完全じゃないと認めてもらえなかった。
・頑張っても認めてもらえず、馬鹿にされた。
・成績ばかりに固執して子どもの努力を見てくれなかった。
・やりたいことを禁止され、親の望む事しか許されなかった。
・子どもらしさを許されず、小さな大人(大人としての対応)を要求された。
・感情を出すことを許されなかった。
・親が代わりに考えてしまい、自分で決めることを許されなかった。
など枚挙に暇がありませんが、いくつか当てはまるのではないでしょうか。

こんなことどの家でも当たり前でしょ、と感じる残念な家だったか、そんなこと本当に起きるの?と感じる幸運な家だったかは、分かりません。
ただ、こんなこと本当に起きるの?と感じるのでしたら、あなたの育った家庭は理性的な親に恵まれたということです。多くの親は理性的ではありません。
その残念な家庭だった事が子どもにどんな状態を起こすかも想像もしないでいます。

安全基地という言葉を知っていますか?
DVをしてしまう人には安全基地が存在しなかったのです。

大体はお母さんがその役割をします。1歳から3歳の子どもたちは湧き上がってくる好奇心を携えて冒険に出ます。この時期の子はよちよち歩きながら小さな虫を追いかけたり、捕まえたり、口に入れようとしたり、興味のあることにまっしぐらです。この時期に子どもらしさと、安心感を備えて、母子分離をして自立の一歩を踏み出しています。人見知りも母子分離のひとつです。

冒険ができるには条件があります。それは安全基地があることです。
冒険に出ては振り返り、お母さんがいて安心して、また冒険に出て、振り返り安心して、冒険に出る、この作業が子どもを自然に母親から距離のとれる子にするのです。自立の一歩を踏み出しているのです。

でも多くのDVをする男性のお母さんは安心な状態ではありませんでした。夫婦の状態は悪く険悪です。お母さんは心を痛めて悲しんでいます。それを子どもは感じてしまうので抑圧となり心に不安を押し込めて行きます
お母さんが家庭の中で不安定だと子どもは心配でお母さんから離れることができません。つまり冒険ができない子どもになります。人見知りもない子どもだったりします。
好奇心も、子どもらしさも、母子分離もすべて未解消のまま、不安を押し込めたまま、大きくなっていくのです。
この不安の存在がDV行動と形を変えていきます。

この不安の体験の貯金はその後も続くことでしょう。お母さんが不安定なことは簡単に変わるとは思えないからです。その貯金は膨大な量となることでしょう。

カウンセリングではこの押し込めた不安を引き出し消化させていきます。

だからDV行動をしてしまう、止められない人にはカウンセリングが必要なのです。

それではどのようなカウンセリングが必要なのでしょうか。

私たちは生まれてからずっと親の顔色を見て期待に応えようとします。
生き延びるためですが、子どもたちは大変健気で素直です。
でも親は感情に任せて子育てをしてしまいます。

0歳~3歳 非言語によるメッセージが子どもに伝わります。(禁止令といいます)
近づかないで、うるさいなぁ、産まなきゃよかった、などです。
これらの思いはじんわりと子どもに伝わります。
そして子どもは無意識下で決断します。
「ぼくはいないほうがいいんだ。」「ぼくの存在は大切じゃないんだ。」
というメッセージです。

3歳~12歳 言語によるメッセージが子どもに伝わります。(ドライバーといいます)
早くしなさい、結果を出しなさい、真面目にやりなさい、親のためになりなさい、弱音を吐いてはいけない、などです。
この言葉に子どもは駆り立てられていきます。
「早くしなきゃダメ。」「結果を出さなきゃダメ。」「楽しくやったらダメ。」「人さま優先。」「辛くても弱音を言ってはダメ」
こうして言葉に駆り立てられて行くのです。

非言語によるメッセージと言語によるメッセージのダブルで子どもに縛りが掛かります。

この縛りは感情の抑圧ですから、ため込んだ感情がいずれ時と場所と相手を選んで飛び出してきます。これがDV行動になる人、子どもへの虐待になる人、老人虐待になる人、鬱などの病気となる人、癌のように体にでる人、過食、摂食障害、自傷行動、希死念慮(死にたい衝動)、無力感、引きこもり、など様々な形となって噴出するのです。本人は無意識下で始まりますから止められません。

以上の理由から縛りや抑圧を解いていくカウンセリングが必要となります。このカウンセリングは再決断療法といいます。傾聴カウンセリングでは縛りが解けないのです。

これが加害者プログラムにカウンセリング(感情消化型)が必要な理由となります。
認知の歪み(男尊女卑など)を解消するだけで良くなる人も勿論います。カウンセリングが必要のない人もいます。でも、一瞬にして手が出てしまう、暴言が止まらなくなる、自分が自分でなくなる等、こうなってしまう人には、そこを見つめていかない限り暴言は止みません。DV行動をしてしまう人にはカウンセリング、再決断が必要なのです。

次回の記事にはカウンセリングを必要な人をどう見分けるかを書くことにしましょう。
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