秘書検定 28*『立ち居振る舞い』 (10)会釈

2014-06-06 | 秘書検定
 記憶を辿りますと、私が初めて「えしゃく」という言葉を耳にしたのは、小学校に入学して間もない頃でした。

もちろん「会釈」という漢字など知らないまま、「廊下で先生とすれ違ったら会釈をしましょう」と習ったものです。

このように「会釈」とは、立場が上の方と行き会った際に、下の者が無言で行なうお辞儀であり、

応接室にお茶を運ぶ際などは、ノックをして「失礼いたします」と声を掛けてから、会釈をして入室します。

秘書検定の面接試験では「廊下ですれ違う」という設定がありませんので、無言で会釈をする場面はなく、

入退室など、いずれの場合も必ず 「失礼いたします」と言葉を発してから会釈 を行ないます。(分離礼

 それでは、面接試験の順を追って、会釈のタイミング を見て参りましょう。


準1級】 入室着席 ⇒ 挨拶 ⇒ 報告 ⇒ 状況対応 ⇒ 退室

1  係員に続いて入室後、面接官に聞こえる声で   「失礼いたします」 会釈

2  着席を促されたら、自分だけに聞こえる声で    「失礼いたします」 会釈

3  面接官の前に立ち、「報告」を始める前に      「失礼いたします」 会釈

4   退室時、ドアの所で面接官の方に向き直り    「失礼いたします」 会釈


1級】 入室 ⇒ 挨拶 ⇒ 着席報告着席 ⇒ 応対 ⇒ 着席 ⇒ コメント ⇒ 退室

1  係員に続いて入室後、面接官に聞こえる声で   「失礼いたします」 会釈

2  着席を促されたら、自分だけに聞こえる声で    「失礼いたします」 会釈

3  面接官の前に立ち、「報告」を始める前に      「失礼いたします」 会釈

4  着席を促されたら、自分だけに聞こえる声で    「失礼いたします」 会釈

5  退室時、ドアの所で面接官の方に向き直り     「失礼いたします」 会釈


チェック項目

・ 歩きながら~、座りながら~、ではなく、体を止めて行なっている

・ 「失礼いたします」の言葉は、面接官の目を見て、明るくにこやかに言っている

・ 手の位置と指もお忘れなく

男性】ズボン横の縫い目に指を揃える。

女性】指を揃えて体の前で手を重ねる。 

指は自然と丸くなってしまいますので、ピンと伸ばした状態をキープ しましょう。


 冒頭で、「秘書検定の面接試験では『廊下ですれ違う』という設定がありません」と申しましたが、

面接試験の会場が近づきますと、スーツに身を包んだ、いかにも「それらしい」方を多く見かけますし、

会場 のエレベーターや化粧室 で出会う方は、ほぼ間違いなく関係者でしょう。

受験者はもちろんのこと、面接官も係の方も、試験に際して緊張しているのは誰しも同じです。

にこやかな笑顔で会釈を交わして、双方の気持ちを和らげてみませんか?

受付の方や、控え室で隣り合わせた方など、しようと思えば会釈をする機会はいくらでもあります。

試験直前のリハーサルとして、笑顔や手の組み方やお辞儀などの総仕上げにもなりそうです。


 さて、これは私が行なったことですが、係の方が面接室のドアを開けて押さえて下さったとき、

私は「おそれいります」と係の方に会釈をして、その後で面接官に「失礼いたします」と申し上げました。

名簿や番号札の作成 、受付、暗記時間の計測 、誘導のタイミング、そしてドアを開ける瞬間

おそらく上の方からは「受験者のお手本になるように」と言われているでしょうし、試験が滞りなく進むよう、

係の方々は、おそらくご自分が受験したとき以上に緊張していらっしゃることでしょう。

その思いが伝わって来たものですから、ごく自然に言葉が口をついて出て来たといった感じです。

後になって気がついたのですが、その時、面接官の方々は私の様子に注目していらしたはず。

まるで自動ドアのように、係の方に目もくれず入室してしまうのに比べますと、にこやかに会釈する姿は、

それが合格につながったとは申しませんが、秘書らしいイメージに映ったかも知れません。


 挨拶をすると、相手も自分も、そして周囲まで心地よくなるものです。

角度は浅くても、心を込めて「会釈」を行ないましょう。




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