つい昨日まで真っ赤な葉でおおわれていたようなドウダンツツジ。
すべての葉を落とした枝々の先に、よく見ると、もう赤みを帯びた小さな芽が鋭く伸びようとしている。競い合うかのようにびっしりとついた芽は、身の引き締まる、凛とした生命力を感じさせてくれている。
昼間、抱きかかえ、手先を温め、そこに人の輪を作ったが、灰をかけられて、しんとした暗い本堂の片隅に並んでいる火鉢。
その中の一つにいつまでも赤い炭火が浮かび上がる。ちらちらと、のびたりちぢんだり……揺らめくほのかな明かり。
水を張ったバケツで一気に消し去る。ジューーッ!!すさまじい灰煙とともに。
露骨さを嫌い、表は常に「きよら」に「ほのか」に保ったという王朝人。「ほの明かり」の美を、今、優雅だ、エレガンスだなんてうっとりともしていられない。
暗闇にちらつく赤い火も、魔力と化す。文化財防火デーの今日。ひたすら火の用心!!
「冬はつとめて。……いと寒きに火などおこして炭もてわたるも、いとつきづきし。」
炭をおこす、頬に火のほのかなぬくもりが伝わる。炭の臭いが鼻をつく。歩く足の冷たさを実感する。冬の光景として「につかわしい」……と。
この厳しい冬の早朝を、快感と受け止めるには、訓練が必要だ。心の用意と。
すべての葉を落とした枝々の先に、よく見ると、もう赤みを帯びた小さな芽が鋭く伸びようとしている。競い合うかのようにびっしりとついた芽は、身の引き締まる、凛とした生命力を感じさせてくれている。
昼間、抱きかかえ、手先を温め、そこに人の輪を作ったが、灰をかけられて、しんとした暗い本堂の片隅に並んでいる火鉢。
その中の一つにいつまでも赤い炭火が浮かび上がる。ちらちらと、のびたりちぢんだり……揺らめくほのかな明かり。
水を張ったバケツで一気に消し去る。ジューーッ!!すさまじい灰煙とともに。
露骨さを嫌い、表は常に「きよら」に「ほのか」に保ったという王朝人。「ほの明かり」の美を、今、優雅だ、エレガンスだなんてうっとりともしていられない。
暗闇にちらつく赤い火も、魔力と化す。文化財防火デーの今日。ひたすら火の用心!!
「冬はつとめて。……いと寒きに火などおこして炭もてわたるも、いとつきづきし。」
炭をおこす、頬に火のほのかなぬくもりが伝わる。炭の臭いが鼻をつく。歩く足の冷たさを実感する。冬の光景として「につかわしい」……と。
この厳しい冬の早朝を、快感と受け止めるには、訓練が必要だ。心の用意と。