京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

ちらちら、ほのかに赤い…

2009年01月26日 | 日々の暮らしの中で
つい昨日まで真っ赤な葉でおおわれていたようなドウダンツツジ。
すべての葉を落とした枝々の先に、よく見ると、もう赤みを帯びた小さな芽が鋭く伸びようとしている。競い合うかのようにびっしりとついた芽は、身の引き締まる、凛とした生命力を感じさせてくれている。

昼間、抱きかかえ、手先を温め、そこに人の輪を作ったが、灰をかけられて、しんとした暗い本堂の片隅に並んでいる火鉢。
その中の一つにいつまでも赤い炭火が浮かび上がる。ちらちらと、のびたりちぢんだり……揺らめくほのかな明かり。
水を張ったバケツで一気に消し去る。ジューーッ!!すさまじい灰煙とともに。

露骨さを嫌い、表は常に「きよら」に「ほのか」に保ったという王朝人。「ほの明かり」の美を、今、優雅だ、エレガンスだなんてうっとりともしていられない。
暗闇にちらつく赤い火も、魔力と化す。文化財防火デーの今日。ひたすら火の用心!!

「冬はつとめて。……いと寒きに火などおこして炭もてわたるも、いとつきづきし。」
炭をおこす、頬に火のほのかなぬくもりが伝わる。炭の臭いが鼻をつく。歩く足の冷たさを実感する。冬の光景として「につかわしい」……と。

この厳しい冬の早朝を、快感と受け止めるには、訓練が必要だ。心の用意と。


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6 コメント

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ありがとうございます (rabbit125cc)
2009-01-27 21:11:13
 背中を丸めてブログを読んでいましたが、このブログを読んで冬を寒さを楽しむ余裕が生まれ背筋がピシッとしました。田舎に住んでいて草木に囲まれながらその事に目がいかない自分の余裕のなさ^^;早速庭の木々の観察しに、愛犬を連れて裏の山を散策しました。枯れたような木もしっかりと固い芽や蕾を付けていて、まるで春がもうすぐそこまできているかのようでした。おかげでいつもより長めの散歩に、愛犬もご機嫌でした。

 寒い日がまだまだ続きますが、ご自愛ください^^
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清少納言も (matsu)
2009-01-27 22:58:13
「冬はつとめて・・・」と清少納言はおっしゃいますが、こちらの冬は朝早いのは苦手です。今は高3の孫を送りますので仕方なく7時には起きますが。
keiさんには笑われそうですね。お寺さんはお早いですから。

「火鉢に火をおこす」なんだか清少納言のころと同じ体験をされてるみたいです。足の冷たさも炭の香りも
同じだったかもしれませんね。
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稟とした生命力… (yattaro-)
2009-01-27 23:28:48
ドウダンツツジの芽吹きと言い、風が通る広ーい畳の部屋で暖を取る唯一の器具、昔からの火鉢の行列。
全てが目に見えるようです。

ほの明かりの美を尊ぶ優雅さを持つべきところを、文化財保護という現実にかき消されてしまう…。
これも一家の主婦・実質的火元責任者の責務ですね。
「水を張ったバケツで一気に消し去る。ジューーッ!!すさまじい灰煙とともに。」
溜飲を下げましたか。お疲れ様。
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すぐそこまで…、rabbit125ccさん (kei)
2009-01-27 23:46:55
火の気のない所は、半端な寒さではありません。
丸くなってあったかくしてる方が、本当のところは心地よいのですが、仕方ありません。

お若いから、さすが余裕が出るのも早いものですね!
たくさんの方の話し相手に…、開店休業とも行きません、お風邪など召されませんように。

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同じ…、matsuさん (kei)
2009-01-27 23:57:36

何事かある時だけの火鉢ですが、炭のにおい、どんなものだったのでしょう。
体験だけは同じような…、昔の方がもっと厳しい朝でしたでしょうが。
芯まで冷えて硬直しそうですよ!

凍てついた道路、お気を付け下さい。
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夏こそ天下…yattaro-さん (kei)
2009-01-28 00:09:21
「風が通る広ーい畳の部屋」
夏を想像してください。動きたくなくなるほどですから。
何人来ても大丈夫、一度是非お昼寝にでも…?

そのかわり凍え死にそうな冬です。
溜飲…、灰だらけ?というか、もっのすごい煙を浴びて、もう!なんやのー!ってところですが。寒い寒い。
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