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京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

遊び心で春を待つ

2009年01月31日 | 今日も生かされて
知人に便りを出そうと思い、便せん・葉書を買いに鳩居堂へと出向いた。
季節のものが探せてお気に入りの店の一つ。
店内の展示コーナーでは、香炉の上に伏籠(ふせご)をかぶせて、その上に衣を打ち掛けてある。
香が薫きしめられた衣を身につけた王朝人、こんな春の気配すら感じる日はどこへと通ったのだろう。誰を待ったのだろう……。

  うちにほうふせごのしたのうづみ火に
   春の心やまづかよふらん  
          藤原定歌

伏籠の下の香呂・うづみ火に、春のあたたかさ、ふと、ほのかに漂ういい香りを感じ取る。

今春中学校を卒業する5番目の娘を持つ知人に向けて、香りをたきしめて封書にした。どことなく楽しい気持ちに、甘い香りを添えて、ちょっとした遊び心。届いてほしい。

実質このひと月がもっとも寒い時期だが、日脚も伸びている。
睦月から如月へ……春を待つ。

姫の声がない。“お友達”と枕を並べていることだろう。
雨音だけが聞こえるような静かな夜。ちょっぴり、「ほっ!」

  (展示物ではありません。香炉と伏籠)
コメント (8)
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