陽差しに恵まれて、あたたかな二月の終わり。
ああ、いいおてんき!! そんな喜びの裏で、娘家族が住むブリスベンでは、火曜日(22日)から降り続く雨で甚大な被害が出ていることが頭をかすめる。
ブリスベン川の桟橋が流され、クリーク(細い川)があちこちで氾濫して道路が冠水。屋根しか見えない家々。子供たちは明日も休校が続く。夫も職場から帰宅をと指示が出たという。止まない激しい雨。車で5分ほどのマーケットに行くのも怖くて、夫の運転で冷蔵庫の空っぽを満たすべく出かけていた。
明日は着くだろうと勝手に日数を数えていた郵便物だが、道路事情が悪くて無理かもしれない。
こちらではもったいないほどの青い空が広がった。
背に陽を受けて松林を見ながら腰を掛けていると、雀より小ぶりな鳥がしきりに動き回るのが視界に入った。
白っぽい筋が見えることもあり、木肌を上下するし、幹回りを移動し、窪みに姿を隠した。雀の動きとは異なる。松葉で姿は見えないが、上の方ではカツカツカツカツ音を立てている。
ギィー、ギィーって鳴いて。これほど特徴をつかんでいるのに、悲しいかな名前がわからない。
そこへ、「良いお天気ですねぇ」と声をかけてくるご婦人が現れた。双眼鏡を取り出し、私と同じ方向を覗き始めた。リュックを背負い、バードウオッチングのベテランさん風情だ。
「なんという鳥ですか」と尋ねてみれば「コゲラ」と返ってきた。「キツツキ科で、一番小さい鳥です」とか教えられた。
ああ、これがコゲラ! 繰り返し木を突っつく音がしていた訳が分かって、「なるほど!」と合点、得心の瞬間だ。
「なるほど」は少し遅れてやってくる、とどなたかが言われていたっけな。
85歳には見えない若々しさで、それから1時間の日向ぼっことお喋りを共にした。
公園の主みたいなお方だった。いろいろ教えていただいたお礼とともに、「またお会いしたいですわ」と言って別れた。好い日でした。