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「 『羅生門』から新たな歴史が始まった。
1950年8月26日の劇場公開以降、
日本映画の水準の高さを
世界に知らしめた傑作『羅生門』。
企画から撮影、宣伝公開、世界展開にいたるまで
色褪せることのないその魅力を多角的に徹底解剖。
これまでにない規模でその全貌に迫る。
掲載図版はオールカラー。
世界初紹介の資料、多数収録 !
◆第1章企画と脚本
のちに名脚本家となる橋本忍が
デビュー前に書いたシナリオが、
映画『羅生門』になるまでには多くの変転があった。
芥川龍之介作品への着目から始まったアイディアが
映画の企画となり、
ひとつの映画シナリオへと結実するまでを
橋本忍による「羅生門物語」や
黒澤自身による創作ノート・メモ、
またプロデューサーの本木荘二郎による
企画シナリオなどを中心に紹介。
映画『羅生門』の誕生に迫る。
◆第2章美術
『羅生門』は、
2つだけのセットとロケーションという
一見安上がりな企画であったが、
羅生門のセットは
撮影準備中に黒澤明のイメージが膨らんで、
通常の予算を上回る巨大なものとなった。
本章では製作時から話題となっていた
映画美術に焦点を当てる。
◆第3章撮影と録音
太陽に向けられたキャメラや
近隣の水道を止まらせるほど大量の水を使った
雨のシーンなど、
『羅生門』の撮影は多くのエピソードに彩られている。
本章では、撮影の宮川一夫、
スクリプターの野上照代の撮影台本を使った
新しいデジタル展示の試みやスナップ写真、
また野上照代・紅谷愃一の
最新インタビューを交えながら、
『羅生門』の撮影の秘密に迫る。
◆第4章音楽
『羅生門』前後の黒澤作品の音楽を手掛けた早坂文雄は、
優れた作曲家というだけではなく、
黒澤監督の創作活動にも影響を与えた盟友であった。
有名なボレロ形式のテーマの楽譜スケッチなど、
早世した天才作曲家が残した貴重な資料を通じて、
映画の構成を活かした早坂独自の創作術に迫る。
◆第5章演技
三船敏郎と志村喬の撮影台本を中心に、
限られた登場人物と複雑な構成を持つ
『羅生門』を成功させた俳優たちの多大な貢献に着目。
京マチ子旧蔵の写真アルバムや
スタジオ撮影のスチル写真も収録。
◆第6章宣伝と公開
初公開からヴェネチア国際映画祭受賞後の凱旋上映や
リバイバル公開など、国内上映の軌跡を紹介。
特に劇場公開オリジナルポスターや
公開直前に開催された特別試写会など、
金獅子賞受賞前の『羅生門』を伝える貴重な資料は必見。
◆第7章評価と世界への影響
1951年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞は、
世界が日本映画を“発見"したと同時に、
日本映画界が世界に通用する
自らの実力に気づくきっかけとなった。
本章では、ヴェネチア映画祭出品の経緯とともに、
受賞後の反響と現在まで続くその影響を
アメリカを中心に多角的に紹介する。
また、各国で制作された
『羅生門』の貴重な海外版ポスターや宣伝材料を収録。
『羅生門』の卓越した国際性に光を当てる。
収録ポスター制作国(*国名は制作当時)
アメリカ、イギリス、イタリア、
西ドイツ、スウェーデン、
ポーランド、チェコスロヴァキア
【目次】
ごあいさつForeword
作品情報
図版
第1章企画と脚本
第2章美術
第3章撮影と録音
第4章音楽
第5章演技
第6章宣伝と公開
第7章評価と世界への影響
黒澤明『羅生門』の空間と構成北村匡平
IT-One Quest開発の経緯株式会社アイ・ティー・ワン
図版一覧 」(内容)
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