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六本木に行けば必ず立ち寄る青山ブックセンター。
京都の書店でいえば、恵文社一乗寺店に似ているか ?
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2007年に亡くなった
哲学者の池田晶子さんの特設コーナーも、、、、
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下は、その池田晶子さんの「2001年哲学の旅」と
その内容紹介。
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2001年哲学の旅―コンプリート・ガイドブック |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
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「 見かけは軽いノリの本である。装丁も旅行ガイドブックそのもの。
帯には「哲学は誰にでも出来ます!」、「己の“知”に目覚める一冊」とあり、
その傍らで著者の最高の笑顔がポーズを取る。
哲学と聞けばやや構えてしまう御仁もその世界に引き込む工夫が施されている。
実際にページを開くと、カラフルな写真や絵も豊富に、
哲学の聖地巡礼紀行が始まる。
ニーチェのピラミッド、ヴィトゲンシュタインで村興し…、
そして後半のギリシャ・トルコの巡礼へとつながっていく。
また、全編に70カット以上ものスタイリッシュな著者のポートレートがちりばめられている。
しかし、見た目のきらびやかさに惑わされてはいけない。
間に挟まれた現地レポートや哲学者、
科学者らとのインタビューは真摯かつ辛辣である。
とりわけガダマー教授とのインタビューは重い。
著者はこのハイデガー直系の碩学(せきがく)を相手に
一歩も引き下がることなく「存在論」を交わす。
ここに「ただ者ではないぞ」という宣言がなされるのである。
議論の中身は禅問答のようで必ずしもわかりやすくはないが、
引っかかるものはある。
そしてついには碩学に「存在とは何か」を吐かせるのである。
つづいて、第一線の物理学者、医科学者を相手に、
その研究の最前線から、存在と無、
そして死の認識と哲学的意義を俯瞰(ふかん)する。
バリバリの哲学者(藤沢令夫、永井均)との対談も盛りこんである。
それらの間に、哲学史簡易年表、大哲学者の名言集、
人名録、そして「この哲学者のどこが凄いか」という
哲学者の系譜がコンパクトにまとめられている。
最終項は、「様々な対話」と称して、「汝自身を知れ」、
「なぜ人を殺すのは悪いのか?」、「哲学99の謎」、
「Dr.池田のお悩み相談室」、「池田晶子思う、故に池田晶子なり!」と続く。
全体的に軟らかい見かけであるが、中身は硬派である。
しかも、冒頭にある「誰にでも哲学できます!」の言を裏切らない工夫も見事だ。
哲学の歴史と「今」が絶妙に説かれ、
まるごと哲学入門かつ池田晶子入門にもなっており、侮れない。(澤田哲生)」
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