くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

不当要求ではないけれど・・・正義感クレーマー

2010-03-28 22:15:00 | 総務のお仕事(反社対応)

「あなたの会社は、こんな商売のやり方をするのかね」

身なりの整った70歳くらいの男性が、会社にやってきて言いました。
差し出された名刺には、「〇〇立〇〇小学校校長」と書かれ、
手書きで自宅住所と電話番号が書かれています。

ご本人が言うには、
「すでに退職しているが、素性を示すものがないので」
というこでした。

会社では数日前に、地域の住戸に「アナログ放送終了にともなう、
電波障害対策施設からの配信の終了のお知らせ」を配布したばかりでした。
社宅のマンションが、近隣のテレビ受信障害の原因になっているため、
会社ではテレビの共同受信施設を設置し、近隣住戸に配信しているのです。

その男性は、当社が「配信終了のお知らせ」を配布したすぐあとに、
大手ケーブルテレビ会社のチラシが投函されていたため、
当社とケーブルテレビ会社が結託して商売していると思ったようでした。

もちろんそのような事実はありませんので、
そのことを丁寧に説明すると、男性は納得したようでした。
しかし、今度はそれとは別の要求が始まりました。

それは、アナログ放送の終了後は共同受信施設を改修し、
 引き続き地上デジタル波を配信すべきではないか、というものでした。

事前の電波調査では、地上デジタル波の受信障害は確認されず、
各戸でアンテナを設置すれば、視聴が可能であることが判明しています。
また、社宅建設時の補償対象はアナログ波であり、
それが廃止されて地上デジタル波に代わるのは、
国の施策に起因する後発事象であるという法的見解もあります。

男性はそのことを充分に理解しながら、なおも持論を展開します。
「地域にはお年寄りだけの家も多く、地上デジタル化に対応できない」
「お知らせには、『近くの電気店へ相談してください』と書いてあるが、
 今時、そんな地元の電気店なんかあるわけがない」
「御社はこの地域に社屋を構えて何十年も商売しているのだから、
 地元への貢献としてそのくらいはやるべきではないか」などなど・・・。

そして、「自分が地域の代表者になっても構わない」とさえ言います。

会社にいろいろな要求やクレームを申し入れてくる人々のなかで、
もっとも厄介なのが、このような自分なりの正義感で行動する人々です。

「人や社会のため」と言いながら、
実は金品の要求が目的というクレーマーは掃いて捨てるほどいます。
しかし、今回のような、本気で「人や社会のために」と言う人がときどき現れます。

彼らはお金や損得で行動しません。
そして彼らは正義感で行動しているので、どんな説明も説得も通用しません。
自分の信じる正義に反するものは、たとえ法律であっても納得しません。
今回の男性の申し入れも、相手と同じ目線に立って見れば、
充分に理解のできる言い分です。

しかしながら、サラリーマンの立場から見れば、
権利・義務関係や会計処理、税法上の見解などさまざまな観点から、
「はい、わかりました」と簡単に言うことができないのも事実です。

このような場合は、まず相手の目線に立ち、理解を示したうえで、
こちらの立場・見解を根気強く説明するしかありません。
真っ向から相手の正義感を否定してしまっては、
相手は立場をなくし、振りあげた拳をおろすことができなくなってしまいます。

不当要求とは言えないだけに、とても気を遣う作業です。






 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿