くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」

2011-07-31 19:07:00 | 書籍の紹介
外国で人気があるのは、マンガやアニメ、日本食や日本製品だけではありません。

英国BBCが世界16カ国を対象に調査する「世界に良い影響を与えている国」では、
日本が三年連続トップになり(2011年は4位)、
米国旅行会社が世界4万軒のホテルを対象に調査する「ベストツーリスト」でも、
日本人旅行者は三年連続で1位(最優良観光客)に選ばれています。
また、ビザ(入国許可証)なしで入国できる国が一番多いのも日本人だそうです。

また、欧米と対立することの多いイスラム諸国とも、
日本は敵対することなく、友好な関係を保っています。

それはなぜでしょうか。
残念ながら、この本にはその答えは記されていません。
率直に言って、タイトルに期待をして読むと、大きな肩すかしを喰らいます。

 竹田恒泰 著 / PHP研究所 刊

「日本人の気質や文化を培ったものは何か?」
それがこの本の主題であり、それは「天皇制である」というのが著者の答えです。

憲法改正や死刑制度存廃などと同じように、
さまざまな考え方や意見のある天皇制ですが、
「なるほど、そういう見方もあるのか」と気づかされます。

諸外国では、国王は国民を直接統治し、
統治者が変われば、国家そのものが変わりました。

日本の天皇制は、鎌倉幕府が開かれて以降、明治維新までの670年間、
征夷大将軍という官職で政権を武士に委ね、武家社会による統治が続きました。
その間、統治者たる将軍が交代しても、常にその上には朝廷があり、
天皇は畏敬される存在として連綿と続いてきました。

天皇の住まいであった京都御所には、高い城壁も、深い堀も築かれていません。
それを見ても、日本の天皇が西欧や中国の王や皇帝とは異なる存在であったことを示しています。

古代にまで遡れば2000年以上にわたって続いてきた天皇制が、
われわれ日本人に与えてきた影響は、現代社会で教育を受け、
さまざまな価値観の多様性を知った私たちには、
想像もできないほど大きなものがあったに違いありません。

現代の日本社会に天皇制が必要か否かを論ずる前に、
明治維新から敗戦に至るまでの天皇制を近視眼的に見るのではなく、
長い日本の歴史と文化の中で、天皇制が日本人に与えてきた影響について、
中立の立場で考えてみる必要があると思った一冊でした。



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