知識重視型の詰め込み教育を否定し、経験から学ぶことに比重を置き、
「自分で考える力」を養い、「情操豊かな人間性」を育てることが「ゆとり教育」でした。
しかし、知識が豊かでなくては、
いくら考えても適切な判断や優れたアイデアは生れません。
それはどんなにスペックの高いコンピュータであっても、
データを入力しなければ、ただの箱に過ぎないのと同じです。
また、知識のないところに豊かな情操は育ちません。
「美しいもの、優れたものに接して感動する、情感豊かな心」というものは、
道徳や芸術、宗教などの社会的価値観が身についていなければ育ちません。
豊かな知識を持たない感情は、本能で生きる動物と同じです。
経験から何かを学ぶのも、考える力を養うのも、豊かな情操を育てるのも、
その子供に基礎力がなければ何も生み出すことはできません。
個々では「社会に出て何の役に立つのか」と思われるような知識でも、
それが頭の中で増えれば増えるほど、それぞれがつながりを持ち始めます。
そうなって初めて自分で考え、自分で答えを出せることができるようになります。
子供時代は情報(知識)をインプットする時代です。
そして成長するに従って、アウトプットする割合が多くなってきます。
そのとき、いかにより良い判断や発想がアウトプットできるかは、
それまでに、いかに質のすぐれた知識を、
いかにたくさん身につけていたかに左右されます。
誤解を恐れずに言うなら、
子供の教育は、知識詰め込み型で良いのです。
子供の脳は、それを受け入れるだけの素地があります。
「1」しかインプットできなかった子供は、「1」しかアウトプットできません。
「10」をインプットした子供は、「8」でも、「9」でもアウトプットできます。
「知識重視がオチコボレを生む」といって、
すべての子供たちに「1」しか教えないのは、
子供たちのことを思いやっているようで、
子供たちの生きる知恵の源を断ち、逆に不幸にしています。
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