くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

ストリートビューを使った反社対応

2011-09-26 22:40:41 | 総務のお仕事(反社対応)
「社長に会わせてもらいたい」 と言って、二人組の年配男性が来社しました。
要件は、「仕事のことで大事な話しがある」 としか言わなかったとのことでした。

もちろんアポなしですから、受付嬢は名刺だけ受け取り、
警備員は乗ってきた車のナンバーを控えてお引取りを願いました。

早速、秘書室から総務へ反社会的組織の関連企業か否かの調査要請です。

インターネットで会社名や代表者を検索しても何も出てきませんが、
名刺の会社所在地と建物名は、実在するものだということがわかりました。

グーグルのストリートビューを使って、名刺に記載された建物の前まで行ってびっくり!
なんとそこは、場末の古ぼけた三階建ての安アパートでした。

(怪しい・・・ここで疑心暗鬼に)

さらにインターネットで商業登記簿の情報を入手します。
資本金10万円、発行株式2株!
登記されている会社の目的業務は、
10万円の資本金で開業できるような業務ではありません。
つまり、実体を伴わない会社であると推測できます。

(こりゃ完全にダミー会社や!)

最後に暴追を推進する警察の外郭団体に照会すると、
会社も代表者も反社会的勢力との関係は確認できない(記録がない)とのことでした。
ただし、反社関連企業は警察が指定・公表しても、
名を変え、代表者を替えて 「もぐら叩き」状態ですから油断はできません。

インターネットの検索もさることながら、
ストリートビューが使えるようになってから、
反社対応の仕事もずいぶんと便利になりました。
現地に足を運ばなくても、東京に居ながらにして、
大阪や福岡から来たという会社の所在地を確認することができます。

ストリービューには、地図だけでは決してわからない情報がいっぱいです。
ちゃんとした会社は、それなりの場所に、それなりの事務所を構えているものです。


引退の本気度やいかに(3)

2011-08-26 23:59:59 | 総務のお仕事(反社対応)
島田紳助が暴力団幹部と交際するようになったきっかけが明らかにされました。

記者会見では、トラブルを解決してくれたお礼に、
「いくらかの謝礼を支払わなければいけないのではないか」
と島田が考えていたところ、その暴力団幹部から、
「自分は組織の人間だからそんなことをしてはいけない。
 理不尽だと思ったから助けただけ。男は心と心でつながっていればいい」
などと言われ、島田が心酔してしまったというものです。

暴力団が何の見返りもなしに、何かをしてくれるということなどありえません。
「カネになる」あるいは「あとで利用できる」といった思惑があるからこそ恩を売るのです。

「義理や人情、筋を通すなどというのは、任侠映画の中だけのこと」
「現実の組織の人間は、妬みや嫉みだらけで、頭にあるのはカネのことばかり」
とは、ある逮捕された暴力団員が取調べにあたった刑事に言った言葉です。

最初は「いい人」「優しい人」「物分りの良い人」を演じて接近し、
後戻りできないような関係になったところで骨までしゃぶりつくすというのが、
反社会的組織の常套手段です。

一般人には、もともと「暴力団は怖い」という意識があります。
いわゆる印象の初期値が低いため、最初の悪印象は、ささいなことでもプラスに転じます。
「思っていたほど悪い人ではない」「暴力団の中にも親切な人がいる」
そう思わせ、洗脳することが彼らの最初の作戦なのです。

そうであるにもかかわらず記者会見で、
「暴力団の中にもいい人がいる」と美談に仕立てて紹介するあたりは、
島田紳助は暴力団の広報担当者なのかと思ってしまいます。

全国の世間知らずな少年少女への影響を考えると、
島田紳助の罪は、芸能界引退どころか、万死に値します。


引退の本気度やいかに(2)

2011-08-24 22:40:59 | 総務のお仕事(反社対応)
島田紳助の引退の記者会見から一日。
昨夜は曖昧模糊としていた事実関係も、具体的な内容が報道され始めています。

繰り返し報道される記者会見を見ていると、
彼は本気で反省して引退を決意したのだろうかと疑問を感じます。

「最低の終わり方」と自虐的に自分を卑下しつつ、
「自分の美学を通させてもらった」と自己の思想信条を美化しています。
それが謝罪の言葉を一層薄っぺらいものに感じさせます。

また、引退を「後悔していない」などと言えるのも、
芸能界から退いても、生活には何ら困らない裏づけがあればこそです。

引退が死活問題になるようなタレントであれば、
「もう二度としませんから、芸能界で仕事をさせてください」
と涙を流してでも謝罪するところでしょう。

昨夜の記者会見に、そんな胡散臭さ、白々しさを感じさせられるのです。
この人にとって、芸能界引退は責任をとったことになっているのでしょうか。

今日のニュースでは、よしもとには300件以上の意見が寄せられたそうです。

案の定、「やめて当然」「吉本にも管理責任がある」といった批判は、
100件程度にとどまり、200件以上が「吉本は厳しすぎる」「彼に手紙を書きたい」といった、
引退を惜しみ、彼を激励する内容であったといいます。

テレビなどでも、特に若い人の間で、
「犯罪を犯したわけではない」「誰かに迷惑をかけたわけではない」といった理由で、
彼を擁護する意見が見られます。

犯罪でなくても、人に迷惑をかけなくても、
世の中には、やってはいけないことはたくさんあります。
むしろそういったことを多くの人々が守っているからこそ、
秩序ある社会が成り立っているともいえます。

「人に迷惑をかけなければ何をしてもいい」
そんな考え方の人たちのインタヴューを見るにつけ、情けなく感じます。


引退の本気度やいかに

2011-08-24 00:27:05 | 総務のお仕事(反社対応)
島田紳助が暴力団との親密な交際があったことを理由に、
芸能界からの引退を表明しました。

所属するよしもとクリエイティブ・エージェンシーは、
違法な行為や経済的利害関係があったわけではないが、
社会的影響力の高いタレントとして、許される行為ではないとコメントしています。

芸能界(人)と暴力団(員)との関係は、今に始まったことではありません。
しかし、いまや世の中は各自治体で暴力団排除条例などが施行され、
反社会的勢力と関係する企業は、民間同士であっても契約や取り引きを解消され、
業界からも淘汰される時代になっています。

そういう意味では、島田紳助はそういった時代の流れに、あまりにも鈍感であり、
また、よしもとクリエイティブ・エージェンシーはそういった社会情勢に敏感に反応し、
泪を呑んでドル箱の所属タレントを切ることで会社を守ったといえます。

よしもとクリエイティブ・エージェンシーは、
引退を慰留し、謹慎処分などで済ます手段もあったはずです。
それをせずに、素早く情報公開を行い、厳しい処分を決断したことは、
企業の危機管理としては、最良適切なものだと思います。

ただ、島田紳助は人気タレントであるだけに、
今回の引退に対する一般視聴者らの同情による反動が心配されます。

「法違反をしたわけではないのに、処分は厳しすぎる」
「この程度の交際なら、他の芸能人もみんなあるのではないか」
「芸能界には、暴力団ともっと親密な交際をしている者もいる」
「やめるほどのことではない」

このような島田紳助擁護論がわきあがり、
よしもとクリエイティブ・エージェンシーが悪者になる構図は避けねばなりません。
ましてや、そのような擁護の声に促されての芸能界復帰などもってのほかです。
そういった風潮は、世の中の暴排運動に逆行するものです。

遠からずわきあがるであろう擁護論に対し、
島田紳助がこれをきっぱりと否定し、拒絶することができるかどうか、
それが今回の彼の行動の本気度を示すことになるでしょう。

今回の記者会見が、島田紳助とよしもとにとって、
保身のための茶番劇ではないことを願いたいものです。



「迷惑料」と「解決金」

2011-05-28 23:59:59 | 総務のお仕事(反社対応)
「法律に『迷惑料』というものはありません」
以前、会社の顧問弁護士にそう言われたことがあります。

トラブルになった顧客と長い交渉の末、
相手方の言う、いわゆる「迷惑料」を支払うことで決着することになり、
示談書の文案を相談したときのことでした。

「こういう場合、 通常は『解決金』という言葉を使います」

その顧問弁護士が言うには、
「法的に支払わなければならないのは『損害賠償金』であって、
 『迷惑料』なるものは、法的には支払う義務はありません」
ということでした。

「それでも、相手にお金を支払って事を収めるのであれば、
 それは『解決金』や『和解金』ということになります」

つまり「迷惑料」なるものの請求権は、法的には存在しておらず、
あるのは、違法行為や故意・過失による不法行為で生じた損害に対する、
「賠償金」の請求権だけであるということです。

もちろん現実には、
生じた損害以上の金銭を支払って事を収めることは多々あります。
しかし、それは法律の世界では、当事者間の自由意思に基づくものであって、
乱暴な言い方をすれば、支払うも、支払わないも、本人の勝手ということになります。

辞書には、
「迷惑とは、ある行為がもとで、人が困ったり不快に感じたりすること」とあります。

最近は、テレビや新聞などのメディアが、
さも当たり前のように「迷惑料」という言葉を使うようになったせいか、
一般のクレームでも「迷惑料」を要求する人が増えました。

多くの人は「慰謝料」と同じ感覚で口にしているようなのですが、
本来、「慰謝料」とは「精神的な損害」に対する賠償金のことです。
法的な扱いも厳格で、単に困ったり不快に感じたりした程度、
すなわち迷惑を被った程度では請求できませんし、支払う義務も生じません。

この話しを弁護士から聞いて以来、
私の会社では、「迷惑料」という名目の金銭を支払ったことはありません。
また、法律で支払う義務のない金銭を支払うことは、
会計処理的にも疑義が生じます。

「『迷惑料』などというものはない」

このことをクレームを受ける側が厳格に扱わないと、
いつまでたっても悪質なクレームが減ることはありませんし、
悪質クレーマーの「強要」「脅迫」行為を生み出す温床となるのです。