歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

航空機とプリンタビジネス

2008-07-23 21:25:18 | ものづくり・素形材
 滋賀県草津市にある工作機械メーカーを訪問してきました。航空機ビジネスについて話をしている中で、面白いことを聞きました。

 メーカーにとって、航空機ビジネスのどこが魅力的なのでしょう。
 頭に思い描くのは、(1)国内の自動車生産が頭打ちとなろうとしている一方、航空機は次の製造業の柱になりうる産業として注目される、(2)なぜなら、航空機は付加価値が高く部品点数も多い上に、BRICsなど新興国の航空機需要も旺盛だから、というストーリーです。

 このストーリーはおそらく正しいのですが、工作機械メーカーの技術者の方は、もう1つの理由として航空機ビジネスとプリンタビジネスの類似性を指摘しました。

 航空機というものは言うまでもなく大変高額な商品です。たとえばボーイング747は1機あたり1億4000万ドルもします。しかし、航空機に用いられているテクノロジーなどを考えると、この値段は決して高くはないのです。
 ではどこで航空機メーカーは儲けるかというと、それはメンテナンスなのだそうです。航空機は飛ぶ度にメンテナンスを行い、頻繁に部品が交換されます。というより交換することが義務づけられます。このメンテナンス用の部品が儲けの源泉です。

 しかも航空機は大変寿命が長い商品であり、20年以上は使用されるので、長期間にわたってメーカーは安定的にメンテナンス部品で収入を得ることができるのです。自動車にせよ家電製品にせよ、商品サイクルが非常に短くなっている中で、これだけ長期間にわたってメンテナンス部品で儲けることができる商品は他に例がないでしょう。だから航空機ビジネスはメーカーにとって魅力的なのであり、本体ではなく補充用インクで儲けるプリンタビジネスと似ているのだそうです。

 なるほどこれは面白い話を聞きました。

 写真は帰りに立ち寄った京都駅の駅ビルの内部です。面白い建築だと思いました。時間も余ったのでちょっと古都を歩いてみようかと一瞬考えたのですが、あまりの暑さに断念して駅ビルの中をぶらぶらするだけに止めました。京都を歩くのであれば今の季節は外すのが賢明でしょうね。

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2 コメント

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コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2008-07-25 00:59:03
>必ずしも製造元がその市場をつかんでいるとは限らない。
航空機の場合、規制と管理が厳密であるため、自動車のようにサードパーティの部品を使ってメンテナンス、というわけにはいかないと思います。特殊な認証を取得しなければ、そもそも部品の供給が許されない業界のようです。
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Unknown (デハボ1000)
2008-07-25 00:16:23
法律でメンテナンス周期が設定されている業界(例:試験装置・工業用メーター)は、結構このリテール市場で食える場合が多いですが、必ずしも製造元がその市場をつかんでいるとは限らない。前項の工作機もそうですが、永遠保障で補修部品の確保もあるため、どうせ部品を作るなら図面を使ってもらい、製品にもしてもらって・・という考えもありまね。
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