歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

ブラジルの「暴れる洗濯機」

2010-07-21 01:59:11 | 海外ものづくり事情
 ブラジルという国は、かつては外国産の工業製品に極端に高い関税を課して事実上輸入から締め出し、自国の工業を保護して育成するという輸入代替政策を取っていました。ブラジルが自国の航空機産業(エンブラエル社)を持ち、年間300万台近い自動車を生産する南米随一の工業国になったのは、この輸入代替政策のおかげとも言えます。しかし、何しろ外国製品との競争にさらされないために概して品質は世界水準に比べると低く、たいていの工業製品はとても輸出できるような代物ではありませんでした。
 90年代前半以降、ブラジルは自国市場を積極的に外資に開放することで80年代の経済の混乱と停滞から脱し、製造業も外資を導入することで輸出競争力を付けるようになった、と聞いたのですが、どうも依然としてブラジル製の工業製品の品質には難があるようです。特にブラジル製の白物家電には、現地にいらっしゃる日本人女性たちのブログを拝見したところ彼女たちはかなり苦労していることがうかがえます。

(以下引用)
そしてこれがうちの洗濯機。ちなみに2台目です。
一台目は洗濯層に穴が開いてるとかでお陀仏に。
修理できるのできないので2週間ぐらいかかり
その間手洗いを強いられるということに!あれは辛かった。
お友達にも結構洗濯機のトラブル聞きます。
ブラジルの洗濯機は古くなってガタがくると歩き出すって(苦笑)
轟音を轟かせながら移動を始めます(コワ!!!)
かなりの暴れん坊っぷりらしいよ。
やっぱり洗濯機だって日本のが最先端だと思うなぁ。
(引用終わり)

出所:http://feliz2005.exblog.jp/5069568/

 YouTubeで"Lavadora"(ポルトガル語で「洗濯機」)と入力して検索すると、いろいろな洗濯機の動作の模様を撮影した動画を見ることができます。なんでこんなにたくさん洗濯機の動画が投稿されているの?という疑問も沸きましたが、日本ではちょっとお目にかかれない挙動を示す洗濯機の動画が興味を引きました。



 どうやらまだ新品の洗濯機のようですが、脱水のときにたてる音と振動が半端ではありません。脱水後には洗濯機の位置が動いてますし・・・30年以上も前、私が子どもの頃に家で使っていた洗濯機も脱水のときに大きな音を立てて振動したものですが、さすがにここまでひどくはなかったと思います。問題はモーターなのかベアリングなのかはわかりませんが、とにかく日本の家電メーカーが現地で日本水準の洗濯機を作ればきっと売れるだろうな、と思いました。
 ちなみにこの動画に写っている洗濯機はBrastempというブラジルを代表する家電メーカーの製品です。Brastempはアメリカに本社を置く世界的な家電メーカーのWhirlpoolに買収された会社なので、技術も同社から導入していると思ったのですが、この様子だと技術移転は十分には行われていないようですね。

(以下蛇足)
 Whirlpoolについて調べてみようと思い、Googleで「Whirlpool」と入力して検索したら、トップに表示されるhttp://www.whirlpool.co.jp/が家電とは全く関係ない会社(秋葉原と関係が深いという意味では関係がなくもないか)のホームページなので笑ってしまいました。アメリカのWhirlpoolは抗議しないんですかね。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (デハボ1000)
2010-08-02 09:10:18
この形の振動だとモーターの不良というのもなくはないです(コイルの一部がショートしてるとか)が、洗濯槽の回転バランス取りの不適切ではと思います。大概板金で作りますが製造工程では回転バランスはとりきれません。普通は製造後に検査工程とバランス取りをする(ウエイトをくっつける事が多い)過程をいれますが、それがなく製造したものをそのまま組んでいる可能性があります。ベアリングの場合は国際流通品になってることもあり、まあありえないと思います。
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コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2010-08-02 23:37:45
こんばんは。専門家の方のご指摘は勉強になります。ありがとうございます。
>普通は製造後に検査工程とバランス取りをする(ウエイトをくっつける事が多い)過程をいれますが、それがなく製造したものをそのまま組んでいる可能性があります。
ずいぶんといい加減なものづくりをするんですね・・・
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Unknown (デハボ1000)
2010-08-04 17:45:05
>ずいぶんといい加減なものづくりをするんですね・・・
工程内検査というものは、現場検査技術者の養成がうまくいかない海外ではあまりないのです。アメリカでもラインオフしたものの検査はきっちりしますが、中間製品の段階での検査は不得意のようです。(つまりこのドラムが外注さんから買ったならバランスの検査をするが、Whirlpool社内で作ってるならアメリカ流儀であればこそ生じると思うのです)
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コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2010-08-05 00:58:00
こんばんは。
重ねてのご指摘ありがとうございます。
>工程内検査というものは、現場検査技術者の養成がうまくいかない海外ではあまりないのです。
工程内で品質を作りこむのは日本が得意とすることですね。アメリカとは発想が異なるのかもしれないですね。
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