歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

名古屋の成形屋さんの嘆き

2009-10-15 23:03:30 | ものづくり・素形材
 シンガポール、タイ出張から帰ってきたばかりですが、今日は名古屋に出張でした。自動車部品の樹脂成形メーカーを訪問したのですが、なんとも気の滅入る話を聞いてしまいました。

 この成形屋さんも昨年秋のリーマンショックの影響をもろに被り、一時は売上が75%も減り、人員も半分に減らしたそうです。最近は自動車生産も上向いたことから、売上も前年比8割にまで回復したものの、社長は「人員を増やすつもりはない」と言います。理由は、昨今の自動車生産の回復は減税効果による一時的なものに過ぎず、来年3月以降は再び受注は大幅に減るだろうから、ということでした。

 名古屋の中小メーカーのご多分に漏れず、この成形屋さんも三河地方に本社を置く自動車メーカー関連の仕事をしています。それにしても酷いのは、大手自動車部品メーカーの無慈悲なコストダウン要請です。毎年4月、10月に半期ごとのコストダウン目標が示されるのですが、昨年10月に示されたコストダウン目標はなんと5%だったそうです。1%だったら協力するがさすがにこれは酷い、とクレームしたところ、大手メーカーから返ってきたのは「バカ野郎」という言葉で、ほとんど無理矢理に合意書に印鑑を押させられたということでした。

 若い二世の社長さんは「こんなことをいつまでもやっていたら日本には製造業は残りませんよ」と嘆息していました。セットメーカーの厳しいコストダウン要請が日本の製造業を鍛えてきたことは事実だとは思いますが、さすがに限度というものがあるのではないでしょうか。