クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

彼岸花に彩られる羽生の神社は?

2020年10月04日 | 神社とお寺の部屋
羽生市上新郷にある浅間神社は、
陸の孤島のように鎮座しています。
田んぼが広がる中、ポツンと建っているからです。

実は、この神社は古墳の上に祀られています。
円墳で、さほどの大きさではありません。
上新郷には「百塚」という小字があるように、
かつて多くの古墳が存在していたのでしょう。
(拙著『歴史周訪ヒストリア』参照)

しかし、時代の流れとともに消滅し、
浅間神社が鎮座する古墳はその生き残りのようなものです。
なぜ残ったかというと、祟りを恐れたためと言われています。
すなわち、古墳を崩せば祟りが起きる。
そのため、あえて残したと言うより、手が付けられなかったというのが真相でしょう。

そんな浅間神社は、秋になると赤く染まります。
いえ、血ではありません。
満開に咲く彼岸花に彩られるからです。

上新郷の秋の風物詩と言ってもいい光景です。
遠くからでもその赤い花に気付くことができます。
管見ですが、羽生市内でこれほど彼岸花に彩られる場所はほとんどないでしょう。
観光地というわけではなく、人通りの激しい場所でもありません。
田んぼに囲まれた陸の孤島のような神社で、
ひっそりと咲く彼岸花。
今年も秋がやってきました。

ちなみに、人々が祟りを恐れたのは、古墳の上に神社が鎮座しているからです。
いわば宗教施設であり、神仏が存在する場所だからこそ、
心理的に手を付けることを避けたわけです。
そのため、実際に祟りが起こるわけではありません。
また、浅間神社が恐ろしい場所というわけではないのでご安心ください。

でも、そのような禁忌、忌まれるエピソードがあると、
彼岸花の鮮やかさがますます増すように感じるのはなぜなのでしょう。
何事にもスパイスがあると、さらに豊かにしてくれるものですね。


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