“お種さんの資料館”は羽生市弥勒にある。
円照寺というお寺内にそれは建っている。
知る人ぞ知る資料館だろう。
羽生市民でも、その資料館を知っていて、
かつ実際に足を運んだ人はどのくらいいるだろうか……
我々一行は発戸を離れ、お種さん資料館へ。
田園風景や道端に咲く紫陽花を眺めながら弥勒へ向かった。
お種さんとは誰か?
小説『田舎教師』に登場する小料理屋の娘だ。
お種さんは次のように登場する。
この時、清三は其処に立っている娘の色白の顔を見た。
娘は携えて来た弁当を其処に置いて、急に明るくなった一室を眩しそうに見渡した。
(三章)
このあとすぐに、お種さんの人物描写になる。
「評判な美しさというほどでもない」と田山花袋は書く。
そう、とびきりの美人ではない。
が、お種さんは眉のところに人に好かれるような艶があったらしい。
また、ふっくらとした感じの娘だったのか、
頬や腕に豊かな肉付きが見えた、と花袋は描写している。
お種さんにも実在のモデルがいる。
それは“小川ネン”。
料理屋「小川屋」の娘であり、
小説に登場するように弥勒高等小学校へ弁当を届けていた。
お種さんは、『田舎教師』の内容に大きく関わってくるわけではない。
主人公に葛藤を与えるわけではないし、
教え子というわけでもない。
しかし、お種さんには妙な魅力がある。
小説にほんのわずかしか登場しないのに、
「お種さんの資料館」が建っているくらいだ。
田山花袋も彼女に好感を持っていたのだろう。
小説の終わりの方に、お種さんのその後について触れている(五十七章)。
ただ、これは史実とは異なるようだ。
生前のお種さんを知る人は、「とても優しいおばあちゃんだった」と言う。
お種さんを語るときの目は和やかだ。
優しく包み込むような人だったのかもしれない。
お種さん資料館は、その名のとおり小川ネンさんゆかりのものが展示されている。
展示点数が多いわけではない。
小さな一室であり、有志によって構成された展示といった感じ。
小川屋で使用されていたという食器なども展示されている。
最初に触れたが、お種さん資料館は公共施設というわけではない。
お寺の境内にある。
見学する際は、お寺のご迷惑にならないようにしましょう。
なお、小川ネンさんは同寺に眠っている。
円照寺というお寺内にそれは建っている。
知る人ぞ知る資料館だろう。
羽生市民でも、その資料館を知っていて、
かつ実際に足を運んだ人はどのくらいいるだろうか……
我々一行は発戸を離れ、お種さん資料館へ。
田園風景や道端に咲く紫陽花を眺めながら弥勒へ向かった。
お種さんとは誰か?
小説『田舎教師』に登場する小料理屋の娘だ。
お種さんは次のように登場する。
この時、清三は其処に立っている娘の色白の顔を見た。
娘は携えて来た弁当を其処に置いて、急に明るくなった一室を眩しそうに見渡した。
(三章)
このあとすぐに、お種さんの人物描写になる。
「評判な美しさというほどでもない」と田山花袋は書く。
そう、とびきりの美人ではない。
が、お種さんは眉のところに人に好かれるような艶があったらしい。
また、ふっくらとした感じの娘だったのか、
頬や腕に豊かな肉付きが見えた、と花袋は描写している。
お種さんにも実在のモデルがいる。
それは“小川ネン”。
料理屋「小川屋」の娘であり、
小説に登場するように弥勒高等小学校へ弁当を届けていた。
お種さんは、『田舎教師』の内容に大きく関わってくるわけではない。
主人公に葛藤を与えるわけではないし、
教え子というわけでもない。
しかし、お種さんには妙な魅力がある。
小説にほんのわずかしか登場しないのに、
「お種さんの資料館」が建っているくらいだ。
田山花袋も彼女に好感を持っていたのだろう。
小説の終わりの方に、お種さんのその後について触れている(五十七章)。
ただ、これは史実とは異なるようだ。
生前のお種さんを知る人は、「とても優しいおばあちゃんだった」と言う。
お種さんを語るときの目は和やかだ。
優しく包み込むような人だったのかもしれない。
お種さん資料館は、その名のとおり小川ネンさんゆかりのものが展示されている。
展示点数が多いわけではない。
小さな一室であり、有志によって構成された展示といった感じ。
小川屋で使用されていたという食器なども展示されている。
最初に触れたが、お種さん資料館は公共施設というわけではない。
お寺の境内にある。
見学する際は、お寺のご迷惑にならないようにしましょう。
なお、小川ネンさんは同寺に眠っている。