火星ネズミ(2)

2015-07-14 22:27:42 | 童話
僕の一番のお気に入りは操縦室だ。

コンピュータ画面や計器がいっぱい並んでいる。
まだ全然分からないが、打上げまであと一年くらいかかるのではないかと思うので、その頃までには全て分かる予定だ。

『訓練開始!』
教官の大きな声が響いた。

僕は訓練装置の隙間から訓練の様子を見ている。

『ふぅ~ん、そうなんだ。ハッチを閉めるのは、そのボタンで、船内の気圧は、あのメーターで、炭酸ガス濃度は、こっちのメーターなのか。』

計器類の確認が終わったら
『Gをかけます。』
とのアナウンスがあり、徐々に僕の体が重くなってきて、ついに体が床に張り付いて動けなくなった。

『そうか、ロケットが打上げられる時に体にかかる重力なんだ。』

しばらくしてやっと歩けるようになった。
『ふぅ、大変なんだね。』