釧路客貨車区の特徴としてウェバストがありますね。
ミキスト列車のルールで、客車は常に貨車より後に連結しなければならなかったため、冬期間、基本的にSG管が繋がらず、そのままでは凍えてしまいます。
そこで、灯油燃焼ボイラを取り付けて暖を取っていた。
そういうわけです。
ウェバストとは灯油暖房装置のことですね。
気動車にはエンジン冷却水を引き込んだ暖房方式が主流になりましたがそれ以前の車は基本的にウェバストであり気動車には結構メジャーな装備なのですが、客車では基本的に北海道東部・いわゆる道東地域に見られる特徴です。
改造が結構ラフなため、取り付け位置に差違が相当あり、更に模型部品でも客車用には必ずある角型の小型燃料タンクも模型化されていません。
いつか模型化すべく取材に行って来ました。
あくまでウェバスト改造の一例にしか過ぎません。
今回の取材車は、富内線富内駅に保存されているオハフ33-1568となります。
緩急車改造の1500番代ラストナンバーです。
もともとはオハ35-1053で、内地に居たものを昭和52年に北海道の転属。
オハ35-1502となって(何故か特別番号にならなかったはずの35系の変種番号として1501と1502だけ北海道改造番号を名乗ったらしい)、
更に僅か4年で緩急車改造。内地番号のオハフ33-1500番代(ややこしいけど・・・こっちの1500番代は「戦後型オハ35改造のオハフ33の番台とされていた)に組み入れられたもの。
らしいですよ。
廃車は昭和60年。
ドタバタの後半生だったようです
オハ35を北海道仕様に改造し、更に緩急車改造に際して道東の特徴の「横開きのただの窓サッシ」仕様、更にウェバスト取付。と、完全な「田舎もん」になった姿です。
トラやセキ、珍しい所では釧路に3両も相当後年まで残っていたワムフ100などと手と取り合ってきたであろう「辺境の客車」であります。
ご覧のとおり、戦後型オハ35系の特徴が生きており、一部で熱狂的?有名でった「スハ42で唯一別系列改造となった」スハフ42-523も台車以外は同一の特徴を持つものですね。
静岡で別の内容で有名だったスハフ42の軽量化実験車で何故か35系に編入されたオハフ33-630と真逆のものがあったのです。
テールライトの飛び出しが「あ、やっぱり・・・」でありまして、強引に真正面を向かせています。
折れ妻だからしょうがないですかね。
こっちは標準的です。
手すりの参考。
意外と数多く生えています。
台車はコロ軸のTR34
コロ軸のこれ様はオハ47に持ちいられていたコロ軸改造台車TR23Eがモデルでは著名ですが
違いはコロ軸の軸守の形が違うんです。
TR34は新製時からコロ軸なのでその辺りからくるものが所々異なります。
また、本体自体も上梁の肩部分が特に異なります。
どちらかと言うとサハ48の流電用などに付いていたTR36に似てるかな?
TR34の北海道仕様ですから、発電機アームと発電機がこのように別付けされています。
おっそらくかなり少数ですよね。
あと、北海道向け改造発電機の取付でも、オハ35系のほとんどのTR23やスロ54では台枠マウントのギア式発電機がほとんどですが、TR34は台車マウントが多いという・・・。
なぜこんな変な知識があるかというと、店始める前に作っていた
http://blog.goo.ne.jp/komume1973/e/73698ffa8bdbbace9491f4bec4de50de
この記事でエライ大ミスしたのです。
ウェバストはこれです。
HOではエコーやNではタヴァサからウェバストはあるのですが、どうもそれよりスッキリしたスリムなウェバストなんですよね。
これが2個付きます。
裏から見るとこうなります。
左右でダクトの大きさが異なります。
おそらく気動車用のそれと違うっぽい・・・
燃料タンクは1台搭載されます。
手前に伸びるのが燃料管。
ぐにゃりと曲がる燃料管。
燃料管は結構目立つ形で伸びています。
それは通し位置が低いから。
もちろん分岐して右に行くものと、奥に行くもの。
右下が燃料管。
水タンクの下辺ギリギリの低い場所を突っ走っています。
水タンクの這うように伸びる燃料管。
ズズイと伸びて電池箱裏辺りで急旋回の燃料管。
で、もう一個のウェバストにズボッと入っていく燃料管。
燃料管が這う感じ。
このように入っていく燃料管。
ちなみに、燃料管はよく見るとこのようによく目立つ。
しかももちろん右にから剥いて降りている。
「灯油だから流れ考えて当たり前なんだけど」
ああ、なんと普通に考えると当たり前な所作でした。
ただ、タンクからウェバストまでストレーナー(水分&ゴミ取りトラップ)がなかった。
コレは意外だった。
おそらく。
ウェバストのこの半円形部分がストレーナーかと。
あ、ガッチリ計測していますw
MIKUNI HEATER
メーカー見っけ。
http://www.mikuni.co.jp/product/heater.html
株式会社三國製作所のMY系統の製品に間違いないですね。
燃料タンクも汎用っぽいのです。
というか汎用でしょう。
ドコのメーカーかはまだ未定。
大きさも計測済みですよw
丁度200リットルクラス(198リットル)灯油タンクでした。
北海道個宅用でメジャーなものの半分の大きさですね。
これの半分。
200リットルだと普通家庭では半月分程度の灯油が入るものと思われます。
ブレーキ室。
窓が本当に住宅用でした。
メーカーが北海道に有るメーカーっぽいアルミサッシ。
オマケで解ったこと。
水タンク断面って、開けられたんですね。
掃除できたんですね。
ウェバストは
左がトイレ側。
台車のすぐそば。
奥に見えるのが燃料タンク。
もう一つはこの点対称の場所にあります。
もちろん。
コレに伴い、結構機器移動しているのです。
それでは、ズラッと連続写真を貼り付けます。
それで位置関係を確認してください。
こちら側面。
奥が便所です。
ウェバストは左から4個目の窓下あたりですね。
燃料タンクは右から3つ目と4つ目のマド柱下周辺ですね。
車体の劣化によるふくらみが非常に気になるところですが・・・。
こちらサイド。
このようになります。
つなみに同じく保存されているスハ45はウェバストがない車ですから、割りと北海道では最後まで急行運用などに多く使われていたものではないかな?
参考までこちらもサイドビューでした。
ドアが両方原形で特にこのスハのプレスドアは割と状態が良いドアでした。