涙味の焼き芋

今日は、隣町に住んでいる主婦友達が
遊びに来てくれました。
お互い名前で呼び合い、悩みや愚痴、どんなことでも話せる大の仲良し。
久々の我が家のリビングでの、楽しいおしゃべりタイムで、
唐突に、とてもショックな話を聞いてしまいました。

　「けいちゃんさ～、10年以上前、４人で長弓寺までウオーキング
したこと覚えてる？」
　「もちろん！忘れられんくらい、楽しかったもん♪」と即答する私。
続いて彼女の口から出た言葉に、絶句しました。

メンバーのＭさんが、今年５月にガンで亡くなったと。
　「嘘！だって、私つい最近、
ウオーキングしている彼女と、立ち話したよ」　思わず大声になる私。　
そういえば、ここ半年ほど見かけないため、ちょっぴり気になっていました。

美容と健康に気を使い、夕方一人で黙々とウオーキング。
病気一つしない人だったのに、
気づいたときには、もう手遅れだったそうです。

　「これから、ラジオか？頑張ってくるんやで」
　「今日はもう仕事、終わったんか？ご苦労さんやな」
私を見かけると、必ず声をかけてくれる彼女は、母と同じ年でした。

カイロ代わりに、焼き芋を握りながら帰宅する私を見つけて、
　「うちも焼き芋大好きや。今日のお昼も、焼き芋やったで」と、
家で美味しく『石焼芋』を作る方法を、教えてくれました。

その時彼女が被っていた、赤い毛糸の帽子が
可愛いくて似合っていたことを、よく覚えています。

今日、夕方の買物を終えたあと、
『安納芋』の焼き芋を買いました。
それを手に、家まで帰る途中、いつも彼女と出会った道にさしかかると。。。

林の向こうから、小柄な彼女が手を振りながら、
満面の笑みで近づいてくる気がしました。