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ミステリ感想-『欺瞞の殺意』深木章子

2020年04月09日 | ミステリ感想
~あらすじ~
昭和41年、名うての弁護士・市議会議員として知られた当主が急逝し、婿養子が後を継いだばかりの楡家で毒殺事件が発生。すぐに犯人は逮捕され、解決されたかに見えた。
だがそれから40年余りの月日が流れ、仮釈放された男は、楡家の生き残りの女に手紙を送った。
男は言う。犯人は別にいると。


~感想~
いわゆる「毒入りチョコレート事件」の系譜で、不敵にもそのものずばりチョコレートによる毒殺まで起こる。そして書簡の交換による推理合戦が繰り広げられ、最後には……と、この形式で考えうる限りのトリック・プロットを全てぶち込んだような、すさまじく完成度の高い作品なのは間違いない。
また問題編の後に情報が小出しで追加されることもほとんどなく、必要な情報のほとんどがたった51ページで提出されるのも素晴らしい。

ある人物の掌の中で全てが転がされる、神算鬼謀っぷりが個人的な好みからはだいぶ外れてしまい、自分は十全には楽しめなかったが、はまる人にはとことんはまるだろう作品であり、今年のランキングを賑わせても全く不思議ではない。


20.4.4
評価:★★★ 6

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