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ミステリ感想-『恋都の狐さん』北夏輝

2024年07月13日 | ミステリ感想
~あらすじ~
恋愛経験ゼロの私が古都奈良で出会った狐面の男。
彼に会ったその日から古都は恋都に変わってしまった。

2012年メフィスト賞

~感想~
自分にとって1ページたりとも面白い場面がなかった。直近2/3でこんなの引き当ててしまって悲しい。
何が面白くないってマジで何も起きないのだ。奈良の観光案内を除けば内容は完全なる無である。
何も起きないと言っても何かしら起こっているでしょうと思うだろうがマッジで何も起きないまま一冊が終わる。いやいやいくらなんでもメフィスト賞を取ってるんだからそんなわけがないと思われるだろうが、物語にマッッジで一切の起伏がない。平面である。尖ってないという意味では球体である。この世に存在しないはずの真球はここにあった。
もちろん仮にも一冊の本なので何も起きないわけではなく、「底が見えないほど深い池に数分沈んでしまい酒をお供えしたらぷかぷか浮いてきたけど膝にかすり傷を負っただけ」とかいう一切の理解を拒絶する事件が起こったりはする。起こるなそんな意味不明の事件。
会話も全く面白くなく、狐の理屈っぽい話は全部が全部どこかで聞いたことある内容に過ぎず、ヒロインのツッコミもいたって普通。そして狐が常に狐面を着けている理由、恋人ではない女が狐の世話を焼く理由などは作中で解かれるものの、試しに2~3考えてみるといいが、必ずその中に正解があると断言できるほどありきたりだった。
最後のヒロインの選択だけはちょっと珍しいがそれも「まず人の話を聞けコノヤロー!!」と罵りたくなる選択で、しかも続編が2冊出ていることからもやんぬるかなである。
メフィスト賞は編集者が一人でも気に入れば出版できると言われているが、きっとその該当作なんだろうなというのが偽らざる本音である。


24.7.13
評価:なし 0
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