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ゲーム感想-『ウィッチャー3』

2017年02月19日 | ゲーム
~あらすじ~
13世紀、白狼の異名を持つ伝説的なウィッチャーであるリヴィアのゲラルトは、世界に滅びをもたらすワイルドハントに記憶を奪われたものの、長い戦いの果てにようやく全ての記憶を取り戻す。
恋人の魔術師イェネファーと、娘同然に育ててきたシリを追い、彼は戦火の迫る北方諸国に舞い戻る。


~感想~
ようやくメインストーリーを終えたので、知ってる人には今さらだが「ウィッチャー3」の面白さを伝えたい。

PS4のオープンワールドRPGをやりたいと思い、当初はFF15を買う予定だったが、いろいろ調べたところ「ウィッチャー3」なるポーランド産のRPGが、僕のやりたいゲームと一致していることを知り、しかも折良くDLC全部入りの完全版がセール中だったため早速購入した。
これがもう本当にすごい。オリジナル版は一昨年の夏に発売されているので今さらな話だが、この超絶なすごさを少し語りたい。


1.圧倒的ボリューム
本編50時間、サブクエスト50時間、DLCクエスト50時間をうたっているらしいが、のんびりと観光しつつ進めているためもあり、およそ80時間ほどのプレイで本編は終わったものの、サブクエストはまだ半分は残り、DLCは全くの手付かずと宣伝に一切の偽りなし。最初の章でさえ町内くらい広いのに、次の章で市内に拡大し、同規模のマップがあと2つ(DLCを含めると3つ)あるという広大さで、マップ全体には数え切れないほどのイベント発生場所を示す「?」マークが散らばっている。
メインクエストだけでも数種類あるのに、現在のレベルでは歯が立たない推奨レベルのサブクエストがゴロゴロ出てきて、それらを進行中に何気なく立ち寄った街でさらに増えたり、クエスト扱いではないが選択や戦闘を強いられる小イベントも多数。

たいていは分解して合成材料にするか売り払うだけのガラクタだが、フィールドや町中では無尽蔵にアイテムが拾え、怪物や悪人は倒すと持ち物や錬金素材となる内蔵を落とす。世界観を広げたり攻略のヒントとなる文書も無数に手に入る。
フィールドは道から逸れるとあちこちに探索ポイントが存在し、野盗の群れや怪物が宝を守っているが、うかつに近づくとレベルがこちらの倍の魔物が群れをなして襲い掛かって来ることも。探索ポイントが無くてもなんらかの物語性をうかがわせる、廃墟や死体、アイテムが見つかりただうろつき回るだけでも楽しい。

重要人物のほぼ全てに紹介文があり、しかもストーリーの進行に合わせて内容が更新されていくのも驚きで、クエストもその成否や選択により説明が変化する。記述しているのは主人公ゲラルトの親友である詩人ダンディリオンで、ゲラルトからの伝聞という形式のため独自の解釈を加えたり、その時々のゲラルトの判断(もちろん選択肢によって変わる)へ皮肉交じりのコメントを寄せたりと、実に面白い。

ゲラルトを筆頭に声優陣は抜群の演技を見せ、モブの村人をはじめセリフは完全フルボイスで、翻訳も日本語的におかしなところの一切ない完璧に近いローカライズがなされている。
都市部には2000人と称する町人がひしめき、巡回する兵士や洗濯をする女、川に石を投げて遊ぶ子供、酔っ払って道端で寝る男などなど、彼らが何をしているかひと目でわかるのもすごい。


2.美麗なグラフィック
我々の世代はゲームの進化とともに人生を歩んできたため、グラフィックの進化に素直に感心できる世代なのではないかと思うが、PS3をスキップして(XBOX360は買ったが)味わうPS4の美麗さと来たら、もう感動ものである。
1年後に発売されたFF15をも上回る実写さながらの景色は、時間の経過とともに太陽が沈み月が輝き、雨や雪や嵐で刻々と色を変え、洋ゲーらしい濃い顔の面々の表情まで自然と変化し、イベントでは映画ばりのカメラワークで会話や戦闘を演出する。
会話の大半はその場で描画しているため、近くにいた動物や酔っぱらいが、深刻な相談を交わすゲラルトと依頼人の間に割り込んできたりするのも面白い。


3.クエスト
前述した通り膨大な数のサイドクエストがあるのだが、大半がお使いクエストにも関わらず様々な工夫が凝らされ飽きさせない。
最も多いのが行方不明者を探すクエストだが、襲撃現場を見つけ、周囲や被害者の状態から襲った魔物を推理し、魔物の足跡や匂いを追って潜伏場所を発見するまでの過程はミステリさながら。
ストーリーも味わい深く分岐も豊富で、手に入る文書や周囲の人物の会話から、事件に至るまでの背景が推察されるのも素晴らしい。
メインストーリーに関わらないサイドクエストといえば普通は面倒なものだが、本作では魔物を倒しても手に入る経験値は微々たるもので、クエスト報酬の経験値でレベルを上げるシステムということもあり、またメインにも引けを取らないクオリティの物語が描かれるため、むしろ本編を置き去りにしてサイドクエストばかり進めたくなる。
またメインストーリーの進行に応じて消えてしまうクエストも多々有り、それらの探索や分岐ルートのおかげで、二周目プレイもはかどることだろう。


4.UI
まずは良い所から。洋ゲーにありがちな不親切さは削られ、細かなところでは×ボタンと◯ボタンの入れ替え機能(洋ゲーでは基本的に日本と逆で×が決定、◯がキャンセル)に始まり、進行中のクエストやミニマップ、目的地への最短ルートは画面上に常に表示され、迷うことは少ない。
ファストトラベルはマップ上の至る所に設置されているが、一度は自力でたどり着かないと使用できないのも良いあんばいで、船での移動を強いられるマップでは金さえ払えばファストトラベルが一発で開放されるのも親切設計。船でしか行けないような島の外縁部や、高山の頂上等の骨の折れる場所には必ずと言っていいほどファストトラベルが置かれ、行き来が簡単なのもかゆい所に手が届く。
高速移動を可能とする馬はマップ上なら呼べばどこにでも現れ、セーブはいつでも可能で、設定すれば何もしなくても数分おきに、あるいはイベントが進行するたびにオートセーブされ、突然のバグにも安心。

悪い所を挙げれば開始時のロードの長さはしかたないとしても、死亡時のコンティニューも開始時と同等に2分ほどかかり、強敵と戦闘中には頻繁なロードを強いられる。
膨大なアイテムの管理も面倒で、頻繁に使うオイルや霊薬は色や形を覚えていなければ探すのも一苦労。
終わったクエストは完了フォルダにまとめて放り込まれ、拾った文書もただ保存されるだけのため、読みたい記事を探すのも大変で、せっかくのテキストの変化が活かされていない。

戦闘は弱攻撃と強攻撃、サイドステップと前転、5種類の印(魔法)と、矢や爆弾だけで(成長により特殊攻撃を選べるが)、たとえばボス戦で特定の部位を狙うとか、周囲のギミックを使い罠に仕掛けるとかいった要素はほぼ皆無で、いささか単調なところもあるが、魔物によって有効な印や爆弾があり、弱点を見抜けば有利に立ち回れるなど攻略しがいも有り、このあたりは一長一短か。


5.ストーリー展開
3種類のマルチエンディングの他に、36種類の状況の変化が用意されている。
プレイヤーの選択次第で重要人物の生死はおろか、世界情勢すら変わることがあり、一例を上げると、前半に登場するある一族が、普通に進めると一家離散してしまうところ、選択やクエストの進行順によっては生存させることも可能なのだが、本スレでは生存ルートに至ったプレイヤーが少なく、話が出た時もしばらくはデマ扱いされていたほどで、どの選択が変化に影響するかはいまだ完全には把握されていない。
伝説的なモンスタースレイヤーで、皮肉屋だが弱きを助け強きを挫くゲラルトの人物像は7割方できているものの、プレイヤーの選択に委ねられる面も多く、大抵の悪人に絡まれた時には「ムカつくから殺す」系の選択肢が現れるのも良い所。
自分の思うゲラルトに成り切ってこの世界で遊ぶ、まさにロールプレイングするのが吉と思われる。


自身30年のゲーマー人生でこの「ウィッチャー3」はダントツのランキング1位であり、現在の技術で作り得る最高峰のアクションRPGである。
もし興味があるならば、これ一作のためにPS4を買っても損はしないだろう。


評価:★★★★★★★★★★ 20
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