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小金沢ライブラリー

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ゲーム感想-『ネットハイ』

2017年02月18日 | ゲーム
~あらすじ~
法改正によりSNSのフォロワー数で国民全員にランキングを付けられるようになった日本。
非比谷の街に突如現れたMCを名乗る女は、フォロワーを奪い合うENJ(エンジョイ)バトルを提唱。
上位ランカー達によってフォロワーを全て奪われ、存在自体を抹消されたあの子を救うため、非リアでコミュ障の俺が立ち上がる。
意識高い系エリート、動画配信主、ボカロP、ギャルのカリスマ、そしてフォロワー数53億のKING。
リア充どものSNSや生活圏からゴシップを探り、正体を暴いて爆発炎上させろ!


~感想~
内容は上位ランカー達の「俺TUEEE」アピールを煽って失言を引き出し、証拠を突きつけ炎上させるという、要するに逆転裁判であり、完成されたシステムを換骨奪胎しているだけにそうそう外すことはない。
難易度は抑えめで悩む場面はほとんどなく、調査も一本道で簡単に証拠が集まるし、バトル前に相手の正体がわかることもしばしば。
そのうえヒロイン達とキャッキャウフフして得たスキルを使えば答えそのものを教えてくれる(スキル名は攻略サイト参照)ことすらある。
ストーリーは色々と説明不足で、終盤の展開も強引かつ呆気なく、逆転裁判と比べれば煽りに対する反応等のテキスト量も圧倒的に少ないし、せっかくのヒロイン達との交流も選択肢を間違えば、もう一度全く同じ話をして回答を選び直すだけと練りも不足気味。
また隙あらばネットスラングやそのパロディをぶち込んでくるのも、激しく人を選ぶだろう。

だが様々な完成度の低さや不満を補って余りある、この世界観とキャラの魅力は非常に素晴らしい。
対戦する上位ランカー達はいずれも、知られれば爆発炎上する正体を隠しており、それゆえに本当の自分をさらけ出せずに苦しんでいる。彼らを煽り、あらゆる汚い手管で地位とフォロワーを奪い取るが、それは本当の自分を取り戻させる解放に他ならないのだ。
主人公の名もなきただの「俺」は、勝つためには手段を選ばないが基本的には気の良い好漢で、彼の成長譚としての面白さも十分。
後半には設定からして匂わせていたディストピア展開に突入し、ラストバトルこそ呆気ないものの、エンディングは「あれ、これ1年早い君の名は。なんじゃね?」と思わせる素晴らしいものである。

またENJバトルも、暴くべき正体が存在しないボーカロイドや、すでに正体を知っている旧友、煽るだけでフォロワー(=HP)を減らされる53億の男など一見して勝ちようがない対戦相手を用意し工夫を凝らしており、難易度の低さはともかくとして、王道を行く物語と、意外な正体を暴く展開は単純明快ながら熱い。

攻略サイトが1つしか存在せず、ほとんど無名で続編は絶望的ながら、このまま埋もれてしまうには実に惜しい、もっと知られるべき佳作である。

余談だがエンディングテーマを歌うなど地下アイドルの仮面女子がタイアップし、端役の声も担当しているのだが「すごい棒読み」「大人の事情で出てる」「一人だけちょっと上手い」と正直に罵倒されていて笑った。


評価:★★★☆ 7
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