初診は8年前で33歳。子宮内膜症とチョコレート嚢腫がありました。仕事柄イライラや憂鬱が強く、生理前には下腹や乳脹痛、腰痛持ちで寒がりに冷え性、排卵期の出血や高温期には足の付け根に痛み・・・と様々な不調がありました。基礎体温表にも内膜症の特徴がいくつも見られました。
ストレスを和らげ血行を改善し、元気な卵子を作るために腎を補う薬を飲んで頂き、数ヵ月で体調は改善しました。
その後内膜症と筋腫の手術、体外受精に挑戦したものの、5個いずれもが受精せず顕微授精(ICSI)を勧められました。そんな矢先に自然妊娠!無事元気な男児を出産しました。それから2年半後、二人目を希望して再度来店。産後は次の妊娠のためにも気血の消耗を防ぐ婦宝当帰膠を続けるようにお話していましたが、途中で止めていました。
その心配は現実となり、ひどく疲れやすく、月経量もおりものも少なく、内膜も薄いため「着床は難しい」と病院で言われるほどの気血不足に陥っていました。そこで婦宝当帰膠と腎(卵巣)を補う補腎薬を飲んで頂くとみるみる改善!良くなったのに安心したのか、漢方は4ヶ月で小休止。
次に来店したのは8か月後。その間ICSIに2度挑戦するも、分割異常で移殖できず、AMHも1まで低下していました。漢方を再開した翌月には何と自然妊娠しましたが、残念ながら稽留流産に。「身体づくりをするには時間が短すぎたのだから」と焦らず漢方を服用し、1年半後再度ICSIに挑戦。グレードのいい卵でしたが妊娠に至りませんでした。そこで転院し、最初のICSIでやっと妊娠!2度目の相談から3年が経ち40才になっていました。
産後も気血を補う“養生”の重要性と、一度体調を崩すと健康な卵子が出来るまでに時間がかかること。気持ちを切らさず粘り強く身体づくりに取り組む大切さがよくわかった症例でした。
薬剤師 夏苅和子
ながさきpress 2014年7月号