日々相談をお受けする中で大切なことは、西洋・東洋療法の不妊治療の知識を身につけ、研鑽し続けることであると私たちは考えています。最近の勉強会の中から勉強してきたことをご紹介します。
【3月:卵巣機能不全の不妊治療】
不妊治療フリーペーパー「ジネコ」主催の勉強会に行ってきました。講師は早発卵巣機能不全(POF/POI)の第一人者、聖マリアンナ医大・石塚文平先生。POF/POIとは、40才未満で卵巣の機能が衰えFSH値30以上、無配卵、閉経状態を指します。国内の推定患者は10万人で、自己免疫や卵巣の手術歴などが原因の1つと考えられています。かつてはPOIに対する不妊治療は不可能だといわれていました。しかし、症例の0.3%は何もせずに自然排卵~妊娠に至る報告もあり、POIに対する独自の卵巣刺激法や、休眠状態の原始卵胞を育てる新しい治療法をご紹介くださいました。漢方による私たちの活動もよくご存じで、大変興味を持っていたとのこと。漢方で僅かに残っている卵の質を高め、西洋医学と手を取り合った治療が出来れば、患者さんにとっても福音になるはずです。西洋医の先生方と更に交流を深められることを期待しながら帰路につきました。
【4月:中医不妊症講座エキスパートコース】
今回はPOF/POIに対する中医学的対応と昨年秋の中国研修のまとめ、受精と精子の受精能に関して勉強してきました。精子は射精され、膣~卵管を遡上していく過程で“受精能”を獲得します。そこで大事なのが精子細胞膜のリン脂質に含まれるコレステロール量です。高いと受精能が下がることが報告されています。
女性側の頚管粘液や卵管液の量も受精能獲得に大きく関係しています。
排卵期のおりものはしっかりありますか?コレステロールが高くありませんか?
漢方での改善に大きく可能性を感じた勉強会でした。
日本不妊カウンセリング学会
認定カウンセラー
夏苅竜子
ながさきpress 2014年6月号