高知の自然・環境

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きのこ散歩道①エノキタケ

2009-01-31 | きのこ
冬のキノコ 

 キノコの季語は秋であり、紅葉狩りの散策中に群生のキノコに遭遇すると、一瞬足を止めて見とれてしまう。キノコは錦秋に趣を添え、より自然を実感する。秋に生えると思っている人が多いが、実際は年中どこかで見かけることができる。今回の主役エノキタケは一番寒い大寒の今時分でも生えている。

 特徴は傘が5センチ前後でが明るい茶色でぬめりがあり、柄が黒っぽくビロード状で欧米ではベルベットフット(ビロードの足)と呼ばれる。各種広葉樹の腐朽木に生えるが、高知市内では庭先のナンキンハゼの切り株などに発生する。市販されているエノキタケとは、外見上、月とすっぽんの差異があり、エノキタケとは思いもよらぬことはもちろんのこと、エノキタケですと言っても半信半疑の顔をしている。皆さんご存知の純白のエノキタケは、冬の鍋物には欠かせない人気者だが何故こうも違うのだろう?栽培の歴史は昭和20年代にさかのぼり、試行錯誤の末に60年代に、光を当てても白いままの革新的な新品種が開発され、さらに研究が重ねられて純白系の今に至っていると言うわけである。

 横田きのこ有限会社(高知市介良)が、このエノキタケを室戸海洋深層水で栽培することに成功した。高知いいもの、うまいもの展でも優秀賞を受賞し、栽培法の特許を取得した。さらに「極み逸品」の商標登録をして、三越本店や多くの量販店でも扱われる一級の栽培エノキタケだが、ご多聞にもれずこの商品も過当競争は激しい。他のエノキタケとの比較は、歯切れがよく甘みがあり日持ちする。従来の調理法の外、生のままハムや野菜などと一緒にドレッシングをかけて食べると、他のエノキタケとの違いがよく分かる。

 さて、野生エノキタケの味はどうだろう?鍋や汁物にはもちろんのこと、一押しは雑炊、滑らかな舌触りと旨みはナメコと双璧と言ったところだろうか。野生的な匂いや癖もなく、誰にも好まれる野性キノコの代表格と言える。きのこの少ない今の時季に黒っぽい柄のキノコを見つけたらエノキタケと思われるが、なお念のためしっかりと同定していただきたい。

 森ときのこを愛する会 島崎俊弘