高知の自然・環境

高知の豊かな自然を楽しみませんか!そして、環境を守りませんか。

きのこ散歩道⑩ ナメコ

2010-05-10 | きのこ
ぬめりの王様

 うなぎ、納豆、おくら、里芋、山芋、昆布など、ぬめりのある食べ物は日本人の食生活には欠かせない貴重な健康増進食品だが、ナメコなどぬめりの多いキノコもそのグループになる。ヌメリと名の付くキノコは20種近くあるが、ヌメリをアブラ(油)と表現したムラサキアブラシメギモドキといった長すぎる名前のキノコやヌナワタケのようにぬめりのある植物に見立てて、ヌナワ(ジュンサイ)の名を使ったものなどを加えるとかなりの数になる。その他、ぬめりがあっても名前に使ってないものも沢山あるので、ぬめりのあるキノコは数十種類になる。

 数多いキノコの中でもナメコは特に人気が高く、キノコ狩りで見つけた時には皆んなから思わず歓声が上がる。四国ではブナの枯れ木に発生するので標高1、000m以上の山でないと採れない。量販店で売っているのは菌生(おがくずを固めたもの)栽培だが、シイタケと同じようにほだ木栽培も可能で味はこちらが上位である。シイタケ栽培よりも簡単で、切り倒してすぐに植菌すると良い。各種広葉樹に森林組合などで扱っている種駒を春に植菌すれば、翌年の秋には発生する。

 登山途中でも見つけることがあるが、傘が開いたものはナメコと同定するには少し経験がいる。傘が開く前のくりくり坊主の時はゼラチン質の膜に覆われてヒダが保護されているが、この膜は傘が開くにつれて傘から離れて柄に付きツバとして残る。群生するので収穫量が多く仲間と山分けできるので有難いのだが、慣れない内は誰かに確認してもらうのが先決になる。

 傘が開く前の幼菌を使ったナメコ雑炊とナメコ山掛けうどんは絶品で病み付きになる。

 ナメコ雑炊・・・ご飯は洗ってざるで水切りをしておく。ナメコと具材(鶏か白身魚など)を薄口醤油のだし汁で煮る。火が通ったらご飯を入れネギかニラを散らす。

 ナメコ山掛けうどん・・・薄口醤油のだし汁でナメコをさっと煮る。どんぶりに入れたうどんに掛け、その上に下ろした長芋を掛け卵の黄身を乗せネギを散らす。

森ときのこを愛する会 島崎俊弘

 

島崎俊弘(森ときのこを愛する会会長) さんの記事

きのこ散歩道⑨ マツタケ④

2010-02-04 | きのこ
名人たち

 何事にも自称他称の名人がいる。全国で通用する公認の名人と言えば囲碁と将棋の名人である。すなわち、その道で技芸を極めた人を名人と呼ぶのだが、一般的には便宜上にも使われるので、釣り名人などはピンからキリまでと言うことになる。マツタケ探しもご多聞にもれず経験が少ないと容易ではないが、長年経験を積んできた人は名人芸と言うのか一家を成すものがある。タイプの違う3名を紹介しよう。

A氏・・・登山口の駐車場で見かけたその人は年の頃なら65歳あまりだろうか、蛇の道は蛇と言うのか、どうもマツタケ採りだなと直感した。遠慮がちに近寄り「マツタケですか?かまざったら見せてもらえませんか?」と控えめに言うと、黙ってあちこちのポケットから5本ほど取り出した。これがまた何とも立派なシロモノで、思わず感嘆の声を発すると、きわめてハスキーボイスで「車にまだある」とのたまう。ダンボール箱の中を覗くと大小30本もあろうかと思われるマツタケ、さすがに仰天した。丁度贈り物が必要だったので「売って貰えませんか?}と顔色を伺うと「1キロ3万円なら」と言う。手持ちは2万円、仲間は7千円しか持ってない。2万7千円で売ってもらうことになり、これぞと思う5本をより取りさせてもらうと、さらに2本追加したあと少考して小ぶりをもう一本、秤なしの目分量である。900gならピタリ賞だが、さて収支決算はと計ってみると920g、目分量も名人、恐れ入りました。

B氏・・・マツタケ山の登り口で、70過ぎくらいのおじさんが若者と一緒にベンチに腰をかけている。聞けば、歳をとったのでこの若者に場所と探し方を伝授するのだと言う。多くのマツタケ狩りたちはいそいそと登って行くのだが、悠揚迫らず泰然自若としておむすびを頬張っている。しばし探し方などの講釈をしてもらい、おまけに小ぶりのマツタケを一本貰った。お礼のしようもないのだが、手持ちのパンを差しあげると、何と、もう一本くれた。県外のことであり、二度と会うこともないであろう赤の他人に、採ったばかりのマツタケを気前よろしく惜しげもなくくれる人などめったにいるものではない。またまた、恐れ入りました。

C氏・・・マツタケを売っている店があると聞いて山登りの帰途に寄ってみた。雑貨店だが周囲にはあまり人家もなく、車での移動販売が主体らしき風情である。人の良さそうな中年のご夫婦で、発生条件や時季など親切に説明してくれる。二十年くらい前と比較すると発生量は十分の一ほどに激減したそうだが、人数が増えた上に気象の変化も影響していると言う。条件の良い場所なら、わずか50センチ四方に1キロものマツタケが束生するらしい。我々素人なら、シーズンオフに探索して傘を開いた物なら見つけられるでしょうか?と問うと、われ先にと土中の物まで根こそぎにする昨今、せめて名残のマツタケには子孫繁栄の胞子を落とさせてやりたいと説いた。いや、ごもっとも!

森ときのこを愛する会

島崎俊弘



島崎俊弘(森ときのこを愛する会会長) さんの記事

きのこ散歩道⑧ マツタケ④

2009-12-05 | きのこ
レシピ

 国民的大スターの香気の持ち主も外国では全く人気がなく、それどころか、欧米では「履き古したソックスのにおい」とも言われそっぽを向かれてしまう。娘が中学生の頃、「このにおい好きじゃない!」と言っていたが、今ではマツタケ大好き人間になった。日本人だけが生まれつきマツタケの香りが好きなわけではなく、どうも、周囲に感化されてしまうのだろう。栃木県では雑木林に生えるチチタケを異常なほど好む。味は良いのだがぼそぼそとした食感が気になり、他県ではさほどでもない。土地柄というのか、高知でイタドリ大好き人間が多いのにも似ている。

 代表的な食べ方は色々あるが、レシピは好みによって微妙に違う。その、いく例か取り上げてみよう。

焼きマツタケ・・・炭火焼の二杯酢が一般的だが、簡単なのはアルミホイルに包んでオーブントースターで塩焼きにするとマツタケ本来の味がよく分かる。

炊き込みご飯・・・醤油味の昆布だしでご飯を炊き、あらかじめ適当に裂いて塩をしておいたマツタケを炊き上がる5分前くらいに入れる。

リュウキュウ(ハスイモ)の酢物・・・旧十和村ではリュウキュウの酢物に焼いて裂いたマツタケを入れる。エッ?と言う向きも多いと思われるが、これが何とも絶妙の組み合わせになる。高価なだけに勇気がいるが、一際酒が美味くなる。

お茶漬け・・・裂いて塩をしておいたマツタケをご飯にのせ、熱々の塩味昆布だしをかけて蓋をして3分間。お酒の仕上げには最高!

マツタケ酒・・・一升瓶から2合を取り出し70度の熱燗にして焼いて裂いたマツタケを入れ、冷めたらもとの一升瓶に戻す。小ぶりでも良く、良等酒が高級酒に昇格、正月用にどうぞ。

 天然物では実現が難しいので輸入物でも十分です。12月でも手に入ります。

 森ときのこを愛する会 島崎俊弘



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きのこ散歩道⑦ マツタケその③

2009-11-02 | きのこ
さあ、マツタケ狩り

 かれこれ十数年にもなるだろうか、当時、一番見つけたかったキノコはホンシメジだった。なぜホンシメジかと言えば、マツタケより発生場所がはるかに少なかったからである。したがって、マツタケはいずれどこかで見つけるだろうから、まずホンシメジだった訳だ。やがて念願は成就して、いよいよ本命のマツタケの番が来た。

 もともと、高嶺の花になってしまったマツタケにはしらけ気味だったが、ある出来事がっきっかけで一目惚れとなったいきさつがある。仲間から無線が入り、登山途中で見つけたキノコを鑑てもらいたいと言う。数種類のキノコを鑑たあと、つまみ上げた最後の一本が「こりゃあマツタケじゃいか!」、「やっぱりそうかね」と、何ともドラマティックな一齣だった。おすそ分けをポリ袋に入れて冷蔵庫に保管したが、ポリ袋も冷蔵庫も意に介さぬがごとく台所はマツタケの香りが漂った。味がまたすばらしく、標高約1500Mがこの香りと味を育んだろうと感激したことだった。後日談だが、地元の人によれば、ここのマツタケは標高の高い岩場で採れるので肉質が締まって丹波産に匹敵するのだそうな。

 他人が見つけたマツタケには現地でも何度かお目にかかったが、いよいよ自分で見つける番が来た。ここはマツタケ山だが一部の場所を除いて特に制約のない山、子供4人を含む10人のキノコ狩りでついに感動の初対面が実現した。それも一挙に5本が円形に生えている信じがたいような目くるめく光景である。大人たちの異様な興奮をいち早く察知した子供たちは、自分の手で抜き取るマツタケを早々に決め、写真撮影の終了を今や遅しと待っていた。

 松葉を押し上げ堂々と姿を現したマツタケは、すぐに抜き取られる運命にあるのに悠揚迫らず実に貫禄がある。誇り高き香りの王様も気象事情なのか今年の発生は激減した。名人たちは地中の中の物まで目ざとく見つけるが、傘が開いて胞子を落とさなければ子孫は繁栄しない。聞けば、早く採らないと誰かに採られるからと言う。無論おっしゃる通りだが、何事も共存は難しい。

 森ときのこを愛する会 

 島崎俊弘 

 

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きのこ散歩道⑥ マツタケその②

2009-10-22 | きのこ
どこで、採れるの?

 キノコの生態を大きき分ければ2つに分類される。シイタケのように木から生えるグループとマツタケのように地面から生えるグループである。シイタケは木の中に菌糸を伸ばし、木の成分中で分解し難いリグニンやセルロースを養分として取り入れ、木を腐植させていく働きをしている。マツタケは菌糸を地中に伸ばし松の根に取り付いて、分解した有機物(リン酸など)や水分を根っこに供給している。光合成のできないマツタケは、代償として松の根っこから炭水化物を頂戴している仕組みになっていて、見事な共生関係にある訳だ。根の最先端部を根毛と言うが、菌糸はこれよりもはるかに細く、根毛が届かないような岩のわずかの隙間などにも伸びていく。さらに、数十センチ~数メートルも伸びるので、松の根は最大限に地中の養分を吸収できる仕組みになっているとも言えよう。

 マツタケを探すヒントは、前述の特徴を知っておくと少しは参考にはなるかもしれない。四国は急峻な山が多いが、この急傾斜をマツタケは好む。風がよく通る尾根筋は落ち葉も少なく、土地はやせている。(落ち葉でふかふかの肥沃な場所は、他の菌類たちが幅を利かしているのでひ弱なマツタケの居場所はない。)この尾根筋から数mくらい下がった所までの範囲を丹念に探しながら登っていくのが基本となる。

 スーパーで売っているような立派なマツタケが、ニョッキリと生えているのを想像すると感動のご対面の可能性は極めて薄い。激減したマツタケがこんな状態で見つかる場所は、電池で覗くような被さった岩の下か、何かの拍子でできた割れ目しかない。

 機会があれば、まずゆっくり、わずかに地上に頭を出して松ぼっくりにも似た地味なイメージを描いて探し始める。極度の集中力は永続きしないので、リラックスの集中力がお勧めで、「待て、而して希望せよ!」(モンテ・クリスト伯)の心境で・・・。

 森ときのこを愛する会 島崎俊弘



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きのこ散歩道⑤ マツタケその①

2009-10-09 | きのこ
秋のキノコ

 天高く馬肥ゆる・・・なんて言葉はとんと聞かなくなった。でも、食欲の秋は今も昔も同じ、テレビ番組では秋といわず年中これでもかと放送しているが、僕たちがイメージする食べ物とは少し違う気がする。秋といえば、柿、栗、さつま芋、はてはアケビなど野山の恵みがまず浮かんでくるが、昔も今も変わらぬ代表はやはりマツタケで異論がなかろう。

 松林の減少と共に激減したマツタケは、今や宝石並みの高嶺の花となり庶民には手が出ない。店頭に並ぶ輸入物は防腐剤等が最近特に気に懸かり何となく買い渋る。ならば自分で見つけたら、とは言っても簡単に見つかる筈がない。

 毎年5月に天草(熊本県)で採れるマツタケは100gが10万円で競り落とされる。100gが1000円の牛肉は高級なほうだが、その100倍だからもうこうなったらばかばかしい。とは言うものの、いったいどんな人が食べるのだろう?と助べえ勘ぐりのひとつもしたくなるのもまた人情というものか。

 激減したとは言え、県内でも発生場所は結構あるようだが、民有林に踏み入るのは当然ご法度はいうまでもない。では、公有林ならOKかと言えば正確には落ち葉の一枚も取ってはならないそうである。いや、世の中は難しい。

 長崎県で「西日本きのこ同好会」の交流会をしたときの話。長崎県ではマツタケが採れたことがないということになっているが、実際はそうではないらしい。ある人が普賢岳の近くの山でマツタケを見つけた。世間には奇特な人もいるようで、この代物を拾得物として交番に届け出たというのである。これだけでも話題性は十分だが、落ちがある。何と、こともあろうに落とし主が現れたというのである。新聞に掲載されたそうだが、呆気にとられて結末は聞き損ねた。

森ときのこを愛する会 

島崎俊弘

 

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きのこ散歩道④ウスキキヌガサタケ

2009-07-16 | きのこ
梅雨どきのキノコ

 キノコは秋のイメージだが、発生数から言えば梅雨どきも同じくらい生える。カビもキノコも同じ仲間だから、適度な温度と湿度になれば発生が活発化する。高温多湿の梅雨どきと、秋雨前線が大地を潤わした初秋はキノコにとって子孫繁栄の絶好機となる。

 ウスキキヌガサタケはこの湿度飽和状態が大好きな代表キノコで、条件が満たされると竹林、杉林で鮮やかなな黄色のマントを広げて遺憾なくプリマドンナを鼓舞する。色合いや姿など千差万別の数千のキノコを代表する女王は、まさに、このウスキキヌガサタケで異論がない。

 成長が早い植物にはタケノコなど色々あるが、肉眼で成長を確認することはむずかしい。キノコは植物ではなく菌界に分類されるが、このプリマドンナは網目のマントを広げていく瞬間を、この目で確認できる感動のキノコなのである。(「森ときのこを愛する会」のHPで検索すれば成長過程が見出しです。)頭部の中に折り畳んだマント(菌網)をパラボナアンテナのように広げていく様は、大自然が創造した類いまれなる傑作と言えよう。

 キノコ観察が木本や草本と異なるのは、食べられるか否かが興味の主眼となる。ウスキキヌガサタケを初めて見て食用を連想する人は、余程の食いしん坊か変人に値する。ところが、これが立派な食材で数年前から栽培を始めた農家がある。技術センターで、日本初の栽培成功がローカルテレビで放映されたので記憶に残っている方もいると思うが、量産と販路の糸口が見つかればキノコファンにとって何とも嬉しい。

 このキノコは絶滅危惧種に指定されているが、高知では珍しくはない。温暖系のキノコなので阪神以北では稀だが、今後は発生が予想される。いずれにしても、絶滅危惧種に指定されたまま食材として台所に登場すれば、何とも痛快である。高知ガンバレ!



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きのこ散歩道②ヒラタケ

2009-03-15 | きのこ
早春のキノコ
 週に2度ほど田舎(土佐町)に帰る。シイタケ、ナメコのホダ木栽培や少しの野菜作り、空き家の風通しのためである。昨日は雪がちらつき大変寒かったが、見回せば、あちこちと春の息吹がいっぱいで季節の移ろいの確かさを実感する。「チャッチャ」と鳴くのは鶯の地鳴きで、子供の頃は、これが鶯とは知らないから仲間同志ではチャッチャと呼んだ。こちらの春はもう少しかかりそうだ。

 春のキノコと言えば、ハルシメジ、シイタケ、キクラゲ、アミガサタケ、ショウロ、など一気に数が増えてくるが、今回はヒラタケにご登場願おう。一般的にはヒラタケと言ってもピンと来ない人が多いが、シメジと言ったらご存知だろうか?実はシメジと言うキノコは存在せず、必ず、○○シメジと頭に別の単語が付く。だから、一般的にシメジと言えば数多い種類を代表してホンシメジを指し、「匂いマツタケ味シメジ」はこのホンシメジのことである。量販店ではヒラタケと言っても知名度がないので、商魂たくましき業者が「シメジ」を拝借してヒラタケをすり替え、安全で美味しいイメージをインプットするべく売り出した訳で、まったく上手いところに目をつけたものである。

 ヒラタケは晩秋から冬を通して早春ごろまで発生し、人家近くの生活圏から深山まで広範囲に亘って見かけることができる。枯れ木や生木の腐朽部分に群生し、迫力満点である。土佐町のある寒村の氏神様のご神木に毎年大群生するが、数多く見かけた中でもここの群生はただ者ではない。成長すれば、数十キロに達し数百人分のキノコ鍋ができるだろうが、いやもうこうなると、むしろ食欲をそそらなくなってしまう。このエノキのご神木も、これだけヒラタケに愛されたら余命はもう残り少ないのじゃないかと、何だか可哀想になってくる。

 食べ方はシイタケとほぼ同じだが、大きく成長したものはステーキにするとよい。塩コショウをしてバターで炒める。お皿に盛って温めたドミクラスソースをかけ、パセリ、人参、じゃがいもなど添えれば豪華なヒラタケステーキの出来上がり、成長すると繊維質になりナイフ、フォークで食べるとき雰囲気がでる。なお、中毒例の多いツキヨタケに似ているのでくれぐれもご注意してください。

森ときのこを愛する会 島崎俊弘



島崎俊弘(森ときのこを愛する会会長) さんの記事

きのこ散歩道①エノキタケ

2009-01-31 | きのこ
冬のキノコ 

 キノコの季語は秋であり、紅葉狩りの散策中に群生のキノコに遭遇すると、一瞬足を止めて見とれてしまう。キノコは錦秋に趣を添え、より自然を実感する。秋に生えると思っている人が多いが、実際は年中どこかで見かけることができる。今回の主役エノキタケは一番寒い大寒の今時分でも生えている。

 特徴は傘が5センチ前後でが明るい茶色でぬめりがあり、柄が黒っぽくビロード状で欧米ではベルベットフット(ビロードの足)と呼ばれる。各種広葉樹の腐朽木に生えるが、高知市内では庭先のナンキンハゼの切り株などに発生する。市販されているエノキタケとは、外見上、月とすっぽんの差異があり、エノキタケとは思いもよらぬことはもちろんのこと、エノキタケですと言っても半信半疑の顔をしている。皆さんご存知の純白のエノキタケは、冬の鍋物には欠かせない人気者だが何故こうも違うのだろう?栽培の歴史は昭和20年代にさかのぼり、試行錯誤の末に60年代に、光を当てても白いままの革新的な新品種が開発され、さらに研究が重ねられて純白系の今に至っていると言うわけである。

 横田きのこ有限会社(高知市介良)が、このエノキタケを室戸海洋深層水で栽培することに成功した。高知いいもの、うまいもの展でも優秀賞を受賞し、栽培法の特許を取得した。さらに「極み逸品」の商標登録をして、三越本店や多くの量販店でも扱われる一級の栽培エノキタケだが、ご多聞にもれずこの商品も過当競争は激しい。他のエノキタケとの比較は、歯切れがよく甘みがあり日持ちする。従来の調理法の外、生のままハムや野菜などと一緒にドレッシングをかけて食べると、他のエノキタケとの違いがよく分かる。

 さて、野生エノキタケの味はどうだろう?鍋や汁物にはもちろんのこと、一押しは雑炊、滑らかな舌触りと旨みはナメコと双璧と言ったところだろうか。野生的な匂いや癖もなく、誰にも好まれる野性キノコの代表格と言える。きのこの少ない今の時季に黒っぽい柄のキノコを見つけたらエノキタケと思われるが、なお念のためしっかりと同定していただきたい。

 森ときのこを愛する会 島崎俊弘


きのこの魅力って?

2008-12-21 | きのこ
登山でピークを目指すとき色々なルートがあるように、キノコの楽しみ方も様々である。写真撮影や珍妙な形態のキノコなどに興味を示し始めるのは、入門してしばらくしてからであり、ほとんどの場合、まずは食べられるのか?美味しいのか?から始まる。キノコ観察が他の植物や昆虫などの観察と根本的に違うのは、自分で見つけたキノコは、まず、食べたいと言う欲求から始まることである。

 安芸市伊尾木のブナ林駒背越えに講師で参加したとき「このキノコは硬いので食べられません」と説明すると、「では、粉末にしたらどうですか?」と食い下がってきた人がいたが、さすがに、一瞬呆気にとられた。しかし、よく考えれば当然の疑問であり不思議はないのだが、食欲は愉快な発想につながるようだ。また、「このキノコは名前が分かりません」と言っても、「食べれますか?」とくる。名前が分からないのに食用か否かもあったものではないが、最初は素朴な疑問から始まるようだ。

 5、000種を超えると言われるキノコの中でも毒キノコは以外にすくないのだが、約三分の二は不明種であり、当然ながら食毒不明と言うことになる。毒キノコの区分でも、致命的なものから軽い下痢程度のものまで多種多様だが、毒成分が解明されていない物が多く、適切な治療法は見つかっていない。中には、中毒例が多く有名になったツキヨタケのように、制ガン作用があるのだがその成分そのものが毒成分のため治療に使えないというもどかしいキノコもある。

 さて、食用キノコの場合はどうだろう。毎年数名の人がキノコ中毒で死亡しているが、「フグは食べたし命は惜しし」ではないが、命を賭けてまで食べるほど美味しいキノコはある訳がない。いずれも、軽い気持ちで試食したり食用キノコと間違えて食べる訳だが、軽率だったでは済まされない。すなわち、食用価値から言えば「蓼食う虫も好きずき」ではないが、せいぜい30~50種くらいだろうか。次回からは、月一度くらい具体的にキノコを取り上げてその魅力を探ってみよう。

 平成20年も残り少なくなってきましたが、来年はなるだけ多くの明るいニュースが欲しいものです。まず、身近から始まればこれに越したことありません。「高知ファンクラブ」が大いに盛り上がるように願いつつ、来年もよろしくお願いします。

森ときのこを愛する会 島崎俊弘


森ときのこを愛する会

2008-11-29 | きのこ
平成8年10月15日に「森ときのこを愛する会」としてきのこ会が発足しました。当初はアマチュア無線仲間の十数名の予定でしたが、事前に行った小檜曽山でのキノコ狩りの様子が高知新聞に掲載されたため読者の参加者も加わり、いきなり約40名の大所帯での船出となりました。 

 いきさつは、二十数年前高知県では野生キノコに手を出す人はほとんどいなかったので、今から始めたらきっと独壇場だろう、よし独り占めにしてやろうとよこしまな発想がきっかけでした。図鑑を丸暗記してこれで完璧と決め込み、採って来たキノコを図鑑とにらめっこで絵合わせするのですが、これがさっぱり分からない。遅々として進まない知識にやきもきしながらも、ひとつ、またひとつと覚えていき食用なら当然ながら試食するのですが、なにしろうろ覚えでおっかなびっくりの試食は旨いどころか、翌日無事に目覚めるだろうかの心配が先にたち味見どころの騒ぎではないのです。

 こんな調子だから失敗談をひとつ・・・始めて間もない頃、筒上山の登山道で見つけたキノコをタマウラベニタケと同定して仲間3人で油炒めにして食べた。食後2時間くらいしてから、暑くもないのに首や脇の下にやたら汗をかき、唾がでる。あとの2人も同じ症状という、これはてっきりキノコ中毒と分かったが手の打ちようがない、これと言った処置もしなかったが10時間くらいで何とか治まり事なきを得ました。少し知識がついてきてから考えると、多分ムスカリンという自律神経に作用する毒成分のキノコだったと思われます。以来、約200種類くらいのキノコを食べましたが、これが教訓となったのか幸い中毒はこの一度だけでした。

 爾来、当初の目的とは裏腹に「きのこ会」を作ってみたらどうだろうの思いが芽生え、やがて機は熟して会が誕生しました。当初、仲間とのキノコ狩りはブナ林ばかりで、自分で採取した野趣溢れるキノコ鍋は不安も適度な香辛料になるのか、テンションが上がって誰しも「おいしい」の連発でした。

 喜色満面のイベントも回を重ねるとあるパターンが見えてきます。マンネリと高齢化です。絶品キノコ鍋もやがてマンネリ、わずか12年でも40~50代には「されど12年」なのです。かくいう僕も還暦を過ぎました。

 今、当会は中四国、九州を含め9県の「西日本きのこ同好会」に参加しています。毎年持ち回りで交流会を開催しています。他県は大変キノコの研究に熱心ですが、さすがの高知は「お酒」の研究?に熱心です。きのこ会が存続するには会員の特色が反映されるのも一法かと、登山会と寒ラン会もできました。

 年間行事は、観察会5回、定例会6回、きのこ祭り、春山登山、花登山、キャンプ、会報発行(現在32号)、など多分野に亘っています。会員は約70名(男女の比率7:3)、年会費は一家族3000円です。詳細は「森ときのこを愛する会」で検索して下さい。

 森ときのこを愛する会会長 島崎俊弘


これは何ですか?

2008-11-08 | きのこ

大野ヶ原のブナ保護林で見つけましたが?これは何のお呪い(おマジない)ですか?

山男でキノコ博士にも、聞きましたが判明せず!でした。

保護林の通路に2箇所、ミズナラの木に吊り下げてありました。間隔は約100m位です。

アルミホイルに包まれて、矢竹?が黒く焼いた様な状態でした。長さは20cm位です。

紐はポリ紐の様でした?

キノコ博士のブログはこちらhttp://blogs.yahoo.co.jp/dr_kinoko0522/11359136.html
悠々自適の彼は気の向いた時、年中を問わず御夫婦で、山歩きを楽しむ羨ましい限りで有る。

キノコについては、彼の足元にも及ばない。脱帽である!

キノコを調べたい&食or毒の判定は『キノコ博士!』にコメントをどうぞ!

優しく教授してくれますゾネ! 因みに彼の所在地は高知県佐川町です。



HN:デッサン大好き!


土佐の自然!

2008-11-05 | きのこ

ブナ針茸!

土佐の山中で発見、大量収穫、帰宅後に計量すると何と26Kgも有った。

拘りのブナ針茸、 詳しくはこちら http://kirin-foodresearch.jp/R&D/b_page_2.html
本物を私は毎日、三度の食事時に少量摂っている。それも一年中で有る。

先日、東北(ラーメンの町、喜多方市)地方に住む弟が、ブナ針茸を送ってくれのメールが有り、

約6Kgを宅配便で送って、大変喜んでくれた。 味と香りが良いとの返事有り。

場所は、秘密! 

キノコ は人間の体で良い効果を発揮するのは、万人の周知の事実で有る。

ブナ針茸は血圧に! 山伏茸は認知症の予防に!

何と言っても、キノコ類は怖い『癌』の予防薬です。

東北地方に旅をされた方は、ご存知でしょう。 キノコは引っ張り凧です!(チノコと発音?)

土佐でキノコと言えば、松茸に椎茸位? メジャーな食べ物では無い?

私の周りににキノコに関心の有る人は、佐川町の北添氏(キノコ博士)位です。

旬のキノコは、平茸、ウス平茸、ムキタケ他沢山沢山有る!

皆さんもキノコの講習に是非、参加をされ、毒キノコ&食キノコの区別を知り、健康維持をしましょう。

松茸も有るが、残念ながらこれだけは、場所は公表出来ないので有る!(勘弁!勘弁!)

スーパーで販売されているのもキノコですが!やはり自然発生のキノコには、味&香りが全然

違うので有る!雨上がりに山に入り椎茸を採取して、味噌汁の具にすると何と香りの良いこと!

土佐は自然が大変豊富です。カツオのタタキだけが土佐の名物では有りませんヨ!



HN:デッサン大好き!


ブナ針茸

2008-10-05 | きのこ

血圧の気になる方へ朗報です。詳しくはこちらへhttp://kirin-foodresearch.jp/R&D/b_page_2.html

実は以前、私も血圧が高かったのです。親譲りの遺伝で、健康診断で指摘を受けて降下薬を服用しておりましたが、(4年前に)みのもんたの

『思い切りテレビ』の番組中に血圧降下に、良いキノコを見てから欠かさず毎日のように摂っております。

昨日、深山(1500m程)の藪漕ぎを喘ぎ、喘ぎ、隅笹を掻き分けて、約5kg程を収穫して、天麩羅、すき焼きにして腹一杯食しました。

皆さんも是非試してみては、効果の程は期待絶大です。

スズメ蜂、マムシ、熊対策には充分注意をして実行の事!

私も後5~6回程、入山して冷凍保存をして置く予定です。

HN:デッサン大好き!