内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

忘れられた詩人の甘酸っぱい言葉を噛みしめながら ― Raconte-moi. C’est vrai ? C’est vrai ?

2017-09-24 21:58:39 | 雑感

 ポール・ジェラルディ―(Paul Géraldy, 1885-1983)というフランス人詩人・劇作家をご存知だろうか。フランスでさえ、それほど知られてはいない。私自身、ほとんど彼について知るところはなかったし、今もほとんどない。今後、特に調べようという気もない。
 今から十数年前、その詩集 Toi et moi (1912) をプレゼントされたのがきっかけで、その詩集を読んでみた。男女の恋愛の機微をちょっと甘たっるい言葉で様々に表現していて、贈られた当時は、けっこう熱心に読んだ。贈ってくれた人の気持ちを代弁しているようなところがあったからだろう。
 しかし、それ以後、その詩集を贈られたことさえすっかり忘れてしまい、ずっと東京の元実家に置きっぱなしなっていた。それをこの夏の帰国の際に持ち帰った。特に愛着がある本ではもはやない。でも、当時のことを思い出すと、やっぱりちょっと懐かしい。多分、これからは一生手元に置いておくだろう。
 今日、その詩集を、その他の本を整理するついでにふと手に取り、適当に頁を開けてみたら、« Tristesse » という詩に行き当たった。好きなってしまった人の過去は、知りたくもない、でも、やはりどうしても気になるものだ。そんな誰にでもありうる気持ちがこの詩のテーマ。全部で三頁ほどの詩。その最初の一頁だけを原文で引く。フランス語の初歩を終えた人なら誰でも理解できるほど平易な言葉で綴られている。

TRISTESSE

Ton Passé !... Car tu as un Passé, toi aussi !
Un grand Passé, plein de bonheurs et plein de peines...
Dire que cette tête est pleine
de vielles joies, de vieux soucis,
d’ombres immenses ou petites,
de mille visions où je ne suis pour rien !
Redis-les-moi toutes ces choses cent fois dites.
Tes souvenirs, je ne les sais pas encor bien.
Ah ! derrière tes yeux, cette nuit, ce mystère !
Ainsi c’est vrai qu’il fut un temps où quelque part
tu gambadais dans la lumière
avec de longs cheveux épars,
comme sur ces photographies !
Raconte-moi. C’est vrai ? C’est vrai ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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