内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

ゴッホの書簡の筆跡の美しさに打たれる

2021-02-22 23:59:59 | 読游摘録

 昨日の記事で話題にしたゴッホ書簡全集をここ数日紐解きながら、この大判の書簡集に網羅されている現在特定されているすべてのゴッホ作品のうちの未見の作品のいくつかの素晴らしさに心打たれつつある一方、私が特に驚かされているのは、実寸大の写真版で収録されたゴッホの手紙の筆跡の美しさである。それは私のこれまでの想像を裏切るものだった。どちからと言えば荒々しい筆跡を勝手に想像していたのだが、実際のそれはまったく違っていた。眺めていると、ゴッホがその手紙を書いているときのペンの流麗かつ規則的な動きが感じられる。手書きの書簡のみが伝えることができるものがあることをそれらの写真版はあらためて納得させてくれる。
 例えば、書簡877番の写真版をご覧あれ。こちらのページの上部中央の Search に877と入力すれば当該書簡に移動する。ページ右側の書簡の写真版そのものあるいはその書簡の本文のなかほどのサムネイル表示[sketch A]をクリックすると、書簡の写真版が開く。その右上のプラスをクリックすると書簡が拡大される(この電子版書簡全集、ほんとうによくできている)。
 手紙は手書きが当たり前だった時代はそんなに昔のことではない。私自身、四半世紀前の留学当初は、日本の母や友人・知人への書簡はすべて手書きだった。受け取る手紙ももちろんそうであった。今、メールばかりを毎日書いていて、手書きの手紙を書く習慣はほぼ完全に失ってしまった。便利さと引き換えに何かとても大切なものを無くしてしまったに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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