内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

集中講義第一日目 ― 猛暑再来、たった一人のための演習

2018-07-31 23:11:17 | 雑感

 猛暑が帰ってきました。「お帰りぃ~、元気だったぁ?」なんて誰が言うか。意地でも「暑いぃ~」とは言いません。涼しい顔して滝のような汗を流しながら、集中講義に行ってまいりました。今年は登録学生がたったの二名であることはすでにお知らせしましたね。この暑さですからね、その二名も行く気をなくして「や~めた」って放棄するかもしれない、つまり出席者零名の可能性も想定しつつ(その場合、給料はどうなるのだろうか?)、照りつける太陽の熱を心頭において滅却しつつ、キャパスへの坂道を登ったのであります。
 コピーを取るために教員控室には授業開始一時間半前に入り、コピーを取り終えてから、原書と訳書とを見比べながら最後の準備をいたしました。そして、授業開始の午後一時の二分前に演習室の前に立ちました。演習室の扉には外から中の様子が見えるように真ん中あたりに小さな長方形の窓があります。そこから一人座っている人の背中が見えます。「おお~、神は我を見捨てなかった」とはつぶやきませんでしたが、少しホッとして扉を開けました。その座っていた学生は大柄な男子学生でした。TAも来ていました。でも、彼女は博論の仕上げに入っている他大学の博士課程の学生でかつ別の大学で非常勤もしていますから、いわばこちら側の人間です。
 その男子学生にもう一人の登録学生について何か知っているかと聞くと、昨年度休学して今年度復学したようだが詳しいことは知らないとのことでした。つまり、今年の履修生は事実上たった一人ということです。彼には、五日間休まないよう懇願、いや、厳命しました。本人には言いませんでしたが、それだけで単位に値する、いや、Aをあげちゃってもいい、と思っています。
 というわけで、今年の演習は三人で行います。しかもTAは都合で中日第三日目を休みますから、その日はマン・ツー・マン演習です。これでも私に給与を払ってくれる大学に心より感謝いたします(これって、学生側からしたら、超ゼータクじゃね?)。
 もちろん、相手が一人だろうと私のテンションは下がりません(てか、それって暑さのせいじゃねえの?)。というわけで、昨年までと同様、演習初日の今日、私はしゃべりまくりました。休憩のチャイムも無視して話し続けていたら、TAが「先生、休憩を」とレフリーストップをかけたので、ようやく私の舌は動きを止めました。
 休憩後、また話し続けました。しかし、やはり相手が二人だけということで私も気が緩んできて、縦横無尽に脱線し始め、本線に戻るのが困難になってしまいました。そこでTAが気を利かせて、死刑制度を修士論文のテーマとしている男子学生に質問をしかけ、それをきっかけに彼もよく話し始め、おかげで大変興味深いを彼から聞くことができ、最後は私がその話をちゃんと演習テーマに繋いで(この辺がプロフェッショナルよね)、初日は時間となりました。
 今日の演習後から、彼には毎日ミニ・レポートの提出が課され、しかも明日からは毎日対象テキストの要旨報告、最終日には演習で学んだことと自分の研究テーマとをリンクさせたミニ発表も要求されます。彼に逃げ道はありません。残り四日間、ほとんど苦行に近い演習に耐えることが求められています。












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