内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

天運の一陽来復はまだ遥か彼方に

2020-12-21 21:04:36 | 雑感

 今日は冬至。一陽来復。武部良明の『四字漢語辞典』(角川ソフィア文庫 2020年 初版1990年)によると、「冬が去って春が来ること。陰が終わって、陽が戻ってくる、という。悪いことが終わり、よいことに向かう場合にも用いる」。『世界大百科事典』には、「春の到来や凶事が去って吉事がふたたびもどって来ることをいう。この冬至の日,旧中国では仕事を休み,徹夜したり赤豆の粥を作ったり酒宴を設けたりして,万物のよみがえりを祝った」とある。
 『四字漢語辞典』には、参考として、『易経』から「此ニ至リ、七爻シテ一陽来リ復ル、乃チ天運ノ自然ナリ」が引かれている。「七爻」というのがよくわからないが、爻とは、易の卦の基本になっている二本の棒のこと。易を構成するもっとも基本的な単位で,卦はこれを六本積み重ねたものである。この二本の棒は、それぞれ積極的なものと消極的なもの,男性的なものと女性的なものといった事物の対立する二面を象徴する。七爻とは、陽と陰とが交互に入れ替わり、陽にまた復すことを意味するのだろうか。
 現実には、春まだ遠く、凶事が遠のいたどころではない。イギリス、オランダ、イタリアでは新型コロナ変異種が確認され、その感染力はこれまでのウイルスの七割増しだとイギリスのジョンソン首相は記者会見で述べている。致死率や重症化の度合いには違いは見られないとのことだが、感染の危険は大幅に高まるわけだから、さらなる警戒が必要なのは言うまでもない。フランスは、今日から丸二日間、英国からの陸・海・空路による渡航を禁止する。この措置で貨物トラックも仏側に渡れなくなった。こんなことで済むとは思えない。フランスでも同様な変異種が確認されれば、またまた外出禁止令が発令されるかも知れない。
 天運の自然に身を委ねるしかない。