内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

罪悪感にも似た慄きと禁断の実を齧る瞬間の恍惚と ― 『老生書籍購入狂騒録』(偽書)より

2020-07-04 23:59:59 | 読游摘録

 別に宣伝がしたいわけではないのですが、電子書籍を購入するときに頻繁に利用しているハイブリッド型総合書店 honto で、今月16日まで、平凡社の出版物(すべてではもちろありませんが)がなんと40%引きなのです。
 こうなると、私のような意志薄弱な人間はもうだめであります。この機会にすこしまとめて買わなければもったいないなあとたちまち思ってしまうのです。本屋さんにとって、私を書籍購入へと誘導すること、まことに赤子の手をひねるよりやさしい。
 何を購入したかというと、2018年から2019年にかけて平凡社ライブラリーとして刊行された『中世思想原典集成 精選』(上智大学中世史総研究所 編訳・監修 全7巻)のうちの第1巻から第6巻までです。第7巻『中世後期の神秘思想』は4月にすでに購入済みでした(そのときは25%引き。すごく損した気分)。
 電子書籍版の価格が税込みで1巻2,112円。6巻で12,672円。電子書籍にこんなにお金をかけるのは、それが研究上どうしても必要でなければ、私の場合、まずありえません。それが40%引きのおかげで6巻合わせて7,602円なのです。同シリーズの紙版は一冊2,640円ですから、それとの比較で言えば、52%引きです(もうだめ、抵抗できない)。
 というわけで、一瞬の躊躇いの後、ポチッと購入ボタンをクリックしてしまいました。その瞬間の、罪悪感にも似た慄き(別に悪いことはしていないし、消費者として出版業界に協力していると言ってもいいのに)と禁断の実を齧るときのような言語に絶する恍惚感(バカなの?)とは、それを一度味わってしまうと、もうその魔の手から逃げることはできません(麻薬か)。
 他ではなかなか読めない貴重な原典も数多く収録されていますから、ちょっと参照するためだけでも役に立ちます。私自身にとってはそれでこの購入を正当化(誰に対して?)するには十分です。それにしても、およそ私の専門(何?)からかけ離れたこれらの学術的な成果をなぜ買おうと思ったのでしょう。
 それについては明日の記事でお話しさせていただきます(別に聞きたくもないし、とか、おっしゃられぬように)。