南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

らしさ・・・の源

2010-04-27 12:47:04 | Weblog
静岡市の「日本平動物園」がオープンさせた“猛獣館299”が大賑わいです。
足に“肉球”を持つ猛獣を集めたことから“299”と命名しましたが、動物たちの生息環境を再現して、眼前で迫力ある姿を監察できることが人気の秘密です。
このスタイルは北海道の「旭山動物園」の行動展示に学んだものです。

今でこそ日本一人気の高い「旭山動物園」ですが、一時は廃園の危機に陥っていました。
園の再生に悩む園長は、ある日飼育係員同士が「自分が担当している動物は、こんなところが凄い」と語り合うのを見て、その「動物たちの魅力をあまなく伝えられる」ような園にしようと考えます。
そしてスタッフみなを集めてアイデア出しを始めました。

スタッフたちの「動物たちの魅力を伝えたい」という思いから様々なアイデアが生まれました。
そしてそのアイデアを落とし込んだ14枚のスケッチを持って、園長は市長に向かって理想の動物園づくりを語りました。
その努力が実り、96年に予算をつけることが決定されました。

「動物のすごさ、美しさ、尊さを伝える」という信念から、飼育係員自身が自分の担当する動物についてお客さんの前で話そうという「ワンポイントガイド」も始まります。
そしてそれが積み重なって、動物たちの特徴的な行動を引き出せるような「行動展示」が生まれてきます。
これらの創意工夫はすべて“現場”から生み出されました。
しかも園にはお金がないから、できることはほぼ全て自分たちの手で行ないます。
例えば、動物を説明するパネルも手書きで作ったり、紙芝居やクイズ形式の説明など次々とハンドメイドで作り出しました。

「旭山動物園」の魅力は、単に行動展示だけではありません。
現場スタッフの一人一人に、来園者に対して、「動物のすごさ、美しさ、尊さ」を伝えることが自分たちの仕事である、という強烈な使命感があることが魅力の根源です。