国家元首・天皇と政府を認め、それを通じた間接統治型の占領方式をするというような、間接統治型の占領方式は当時では考えられないことでした。
日本は「鬼畜米英」と唱えて戦ってきたので、敗北すれば男性は去勢され女性は犯されると説かれていました。
私の年老いたお袋も、敗戦直後には親に言われて山へ逃げ込んだと話しています。
その「鬼畜」にどう対処するか、日本側は女性提供策を考えます。
敗者が征服者に女性を捧げる習慣も古来からありましたので、内務省は終戦直後の8月18日、はやばやと進駐軍慰安施設の設置を、全国の警察に通達します。
「特殊女性」を犠牲として、一般女性を守ろうとしたわけです。
一方の米軍はと見れば、日本人を異様に恐れていました。
ガダルカナル島攻撃に向かう米海兵隊に配られたパンフレットには次のように書かれていたといいます。
「日本兵は、世界で最も偉大なるジャングル戦士である。
葦のクキから空気を吸いながら、数マイルも潜水できる。
ハダシまたはゴム底の靴で、まったく音を立てずに忍び寄る。
サルと同程度に巧みに木に登り、しばしば幹に身体を縛りつけて射撃する。
ひどく悪賢いうえに禁欲主義者で、われわれよりはるかに遠くまで歩き、はるかに少なく食べ、はるかに多くの苦痛に耐える」
このパンフレットを読んだ隊員たちはいっせいに「奴らは人間じゃない、狼男だ」と叫んだと言います。
こうして「鬼畜」と「狼男」たちは占領地日本で顔を合わせます。
(つづく)