南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

「大地の咆哮」

2006-11-23 19:08:04 | 読書

末期がんを告げられた元・上海総領事の著書「大地の咆哮」を読む。
著者 杉本信行さんは、2年前に中国側からスパイ行為を強要され自殺した館員の上司でもある。
この本が出版されて間もなく杉本さんはお亡くなりになられた。
まるで自分の命を削って書き上げたような衝撃的な内容であった。

決して中国を批判するというスタンスではない。
外交官として中国に14年間以上暮らした経験から、杉本さんが実際にその目で見てきた中国社会の生々しい情報をまとめあげている。

私自身、日中国交回復直後に訪中した経験をもっているので、著者がはじめて行った舗装もなく無灯火の自動車が走る中国の姿を原点として認識している。
だから現在の中国の繁栄ぶりが信じられなかったが、この本を読んで中国の真の姿をようやく知ることができた。
繁栄の陰に隠れて、私達では見ることの出来ない深刻な様々な問題。
深刻な水不足、搾取される農民たち、底なし沼のような状態に陥っている不良債権問題・・・。
中国の体質を変えることは容易なことではない。
しかし中国の存在がこれほど大きくなってしまうと、中国の問題はもはや地球規模の問題になってしまう。
著者はこの点についても独自の提案をされている。
それこそが自己崩壊を未然に防ぎ、民主化を進めるチャンスであると力説する。
それは「バチカン」との国交正常化である。
ここから先は読んでからのお楽しみ・・・。