南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

欲望のコントロール

2006-09-28 22:00:52 | Weblog

題名に惹かれて、1冊の本を読み終えた。
「ブッダはなぜ子を捨てたのか」著者は山折哲雄氏。
インドの王子でありながら、妻子を捨てて、一族を捨てて出家した人間ブッダの生涯を通して、仏教の教義に迫る1冊だ。
悟りを得るために家や妻子を捨てたブッダだが、得たものも大きいが、捨てたものの大きさも計り知れない。
人間は万能ではない、天は2物を与えずともいう。
だから何かを得るためには、別の何かを捨てなくてはならないのかも知れない。
組織のトップや政治家は、ある意味それを求められる。

面白かったくだりをほんの少々紹介しておく。

『ブッダは欲望のコントロール、欲望からの解放を説いている。
そして人間の本質的なあり方、生き方を「四諦」という考え方で秩序づけて説いた。
四諦とはすなわち苦・集・滅・道の四つの真理(原理)のことだ。
自己を捨てるための四つの原理といってもいい。
第1に人生は苦だ、という。
第2に、人生が苦であるのは、ものにこだわるからだ、執着・愛着を含めて欲望がつきないからだ、それを集という。したがって、
第3に、その一切の欲望を消滅させることが悟りの境地であるという。
第4に、苦の消滅に至るには、正しい生活=修行をおこなわなければならない、それを道という。』

一切の欲望を消滅させることなど普通の人間には到底出来そうにもない。
だから「四諦」では、正しい生活を送れという道が最後にきている。
著者はこう考えた。
『ブッダは欲望からの解放それ自体に最後の価値をおいてはいない。
そうではなくてむしろ、欲望からの解放に向かってかぎりない努力を傾注せよといっているのだ。』

私を含めて、私の回りはおよそ凡人だらけの仲間たち。
欲望のコントロールがうまく出来ずに失敗ばかりしている。
だから失敗をしても、その失敗を悔い改めて精進努力するならば、罪は許さずとも、人間だけはぜひとも許してあげていただきたい。