南町の独り言

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気になる日中関係

2006-09-21 19:56:36 | Weblog

安倍総裁が誕生し気になることのひとつに日中問題がある。
最近の安倍発言で「1972年の日中国交回復に関する発言」が物議をかもしている。
当時中国側は損害賠償を放棄し、未来志向ということで日本との国交回復に応じた。
その時の彼等は1945年の蒋介石の見解、つまり中国に攻め込んだ日本軍の将兵も実は中国人と同じ戦争の被害者であり、本当の加害者は中央の軍部(A級戦犯者)だけだという考え方を引き継いだのである。
その延長線上で日本に対する損害補償を放棄したという理屈である。

ところがその後、靖国神社がA級戦犯を合祀し、そこを日本の総理大臣が参拝するとなると、中国が加害者と被害者と分けて、加害者10数名を罰することと引き換えに将兵を含む一般の日本人を許すとしたスタンスが根底から崩壊してしまう訳である。

そのことを知ってか知らずか、安倍総理は「そのような理解があったことを示す文書はない」と言い出して物議をかもしたのである。

安倍氏は、本筋からいえば靖国参拝問題ではなく、「法による裁き」ではなく戦勝国が敗戦国を裁くという異常な東京裁判のあり方に言及したいのだろう。
しかし、東京裁判の異常性を追及すれば米国との摩擦が起きるのでそれは出来ない。
とはいっても安倍氏の時代認識上あるいは岸信介の孫としても、A級戦犯を認めることはできないから、国内的には戦犯者ではないという理屈のみで、国際関係をも押し切ろうとする。
そうなると結局中国の世論は、「1945年に日本の将兵たちを許し、1972年に損害補償を放棄したのは間違い」だとなって、それこそ日中関係は修復不可能なところまで悪化してしまう恐れがある。

日本国内でも、父「田中角栄」が実現した日中国交正常化を冒涜するが如き安倍発言に、娘「田中真紀子」は素早く反応した。
安倍発言を舌ぽう鋭く非難したが、右翼らしき男に脅迫をされ冷や汗を流しているという。
さあ、安倍総裁の裁きやいかに、単純「純ちゃん」よりも歴史に詳しいだけに裁きは案外難しい。