北島邦彦の「すぎなみ未来BOX」

元杉並区議会議員(2007-2011)北島邦彦の活動日誌 e-mail kjmirai@jcom.home.ne.jp

『原水禁署名運動の誕生』(丸浜江里子)を読む

2011年09月10日 | 日記
『原水禁署名運動の誕生』(丸浜江里子)を読みました。ビキニ事件を契機とする杉並を軸にした原水禁署名運動のドキュメント的な記述を期待する向きは、アレッ!と感じることでしょう。杉並公民館-安井郁を中心にした原水禁署名運動を生み出した杉並の“風土”、それを戦中-戦後のパースペクティブのなかで社会学的に解明した論考というのが正解でしょう。私も知っている日本共産党の人たちがあれこれ登場して、おもしろい(?)ね。
この論考の中で興味深かったのは、「主婦の運動」として語られがちな原水禁署名運動ですが、労働組合による職場での署名の取り組みが強靱に行なわれていたということです。とりわけ国公労組の闘いが取りあげられていて、気象庁気象研究所・農林省蚕糸試験場・通産省機械研究所(これらの機関はすべて杉並から移転して今はありませんが)の労組がそうです。とりわけ気象研究所労組の闘いは秀逸で、いわゆるレッド・パージに対しても、3人だけを日本共産党員としてリストを提出して、その他の活動家を隠しておいた、その人たちが原水禁署名運動を担っていったというのです。日本共産党中央のGHQへの屈服に比べて、ないしは中央指令に背反して、現場の労働者はしたたかに闘い続けたのですね。

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