「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ロシアから遠ざかるアルメニアと北朝鮮にすり寄るロシア(ナゴルノ・カラバフ紛争)<2023年8月

2023-09-10 12:36:46 | ロシアと周辺国

歴史上、近いアルメニアとアゼルバイジャンの紛争の種は、「ナゴルノ・カラバフ紛争」です。
しかし、元をたどればオスマントルコの時代から更に昔まで歴史は、延々と過去にさかのぼります。この地域は、歴史上大帝国が東西に往来する時の交通路に当たり、その時々で支配者が変わりますし、地域の勢力圏も変化します。

オスマントルコの時代には、主にロシア帝国とトルコの覇権争いの舞台になり、ここに欧米列強が利権を目的に参加します。両国とも旧ソ連時代にソ連領に組み込まれました。ソ連崩壊後、独立を果たします。ソ連時代に決められた国境線が、民族の居住地域と一致しなかったために領有権を争う地域が出来てしまいました。

簡単に言うと、これが「ナゴルノ・カラバフ紛争」です。話し合いで解決が付くはずもなく、武力紛争が断続的に起こります。

※一応、参考資料
2020年ナゴルノ・カラバフ紛争
https://ja.wikipedia.org/wiki/2020%E5%B9%B4%E3%83%8A%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%95%E7%B4%9B%E4%BA%89
ワールド
2022年9月14日6:39 午後Updated 1年前
アゼル・アルメニア、軍事衝突続く 死者105人 外交努力継続
https://jp.reuters.com/article/azerbaijan-armenia-idJPKBN2QF0SG
アルメニアとアゼルバイジャンの紛争、攻撃された双方の市民の思い
2020年10月14日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-54534282
【まるわかり】アゼルバイジャンとアルメニア、軍事衝突の理由は?
2020年09月29日
https://www.huffingtonpost.jp/entry/karabakh_jp_5f727ff7c5b6f622a0c3611e
アルメニアの歴史
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2
アゼルバイジャン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3
アルメニア人虐殺
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%82%A2%E4%BA%BA%E8%99%90%E6%AE%BA

これを全部、読む人は勉強熱心な人だと思います。
そうでない人のために、ごく簡単に以下を書きます。

アルツァフ共和国をめぐる紛争と合意
「2020年アゼルバイジャンが事実上勝利した。アルツァフ共和国は領土の大部分をアゼルバイジャンに返還し、実効支配地域は旧ナゴルノ・カラバフ自治州の領域のみとなったが、帰属の決定については将来に棚上げされた。」

最近の停戦は、ロシアが仲介し2021年に合意がありました。アルツァフ共和国にロシア軍が平和維持軍として駐留し、紛争を防止するのが眼目です。

ところが、ロシア軍がウクライナ軍事侵略後は、さっぱり仕事をしません。どうも争いが起きると、どこかに行ってしまうようです。要は、逃げちゃうんですね?まるで、ロシアが頼りにならなくなったために、アルメニアは半ばロシアを見限り・・・

ロシア軍事同盟に不満 支配地域喪失のアルメニア
2022年11月24日14時24分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022112400300&g=int
『アルメニア、米軍と演習へ』
Mark Trevelyan
2023年9月7日午前 7:51 GMT+92日前更新
https://jp.reuters.com/world/us/YX5U4OGJIVIRVIMVLXRODQGN7Y-2023-09-06/
『アルメニア首相夫人、キーウ訪問 対ロ関係の隙間風象徴か』
2023年09月07日16時09分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023090700857&g=int


アメリカを頼る姿勢を見せ始めました。元々アルメニアがアゼルバイジャンとの紛争でこれまで頼ってきたのは、ロシアです。他に頼る当てもありませんでしたし、歴史的な経緯もあります(=旧ソ連領)。元々アルメニアは、オスマントルコとの紛争の中でキリスト教に改宗してキリスト教国を頼ろうとしました。その縁でいわゆる西側諸国に支援されるケースが多いです。

そして大国の勢力関係を言えば、ロシアが駐留軍を派遣して平和維持をする以上、アメリカとフランスは、この地域から実質的に締め出されました。

アゼルバイジャンは、歴史的な経緯と宗教と人種から極めてトルコに近い国です。そもそもトルコであった方が、いいような国です。

この地域には、ロシアVSトルコVSアメリカ=フランスの勢力争いも絡みます。このうち、アメリカ=フランスはアルメニアと近い関係です。結果としてトルコとは反目します。NATO内でもここでは、対立します。その間隙をロシアが突いた部分もあります。

もし、アルメニアがアメリカを頼りアゼルバイジャンと何らかの本格的な和平合意が出来れば、この地域は紛争と言う意味で安定するでしょう。

そしてアゼルバイジャンもそうですがカスピ海の東の資源大国のカザフスタンの原油やガスが、カスピ海~アゼルバイジャン~アルメニア~トルコ~ヨーロッパへと送られるルトが安全になりますし、拡大します。

ロシアがこの地域に入り込んで勢力を保とうとするのは、これを妨害する狙いがあります。カザフスタンの資源の輸送は、ロシア経由でもできます。そしてカザフスタンに大きな影響力を行使できます。

アルメニアが、アメリカを頼ることにはこれほどに大きな地政学的な激変が起きます。

これもロシアのウクライナ軍事侵略が招いた一つの大きな影響です。アルメニア・アゼルバイジャンがアメリカとの関係を改善すると、その隣はジョージアです。ジョージアもロシアと隣接していてアメリカとの直接の交通路がありません。アメリカのジョージアへのアクセスが出来るようになります。ジョージア国民も(おそらく本当は政府も)ロシアの頸木から逃れる事を強く希望しています。

ヨーロッパでロシアの見方は、ベラルーシしかありません。ジョージアにもアメリカの影響力が及ぶとロシアは、西・南・北から完全にNATOに包囲されます。そうなればやがてトルコとNATOの影響力は、中央アジアにも広がると思います。

結果としてロシアは、北朝鮮にすり寄っています。他にすり寄れる国がないからです。

かつての超大国ロシアは、北朝鮮にすり寄るしかなくなりました。その落ちぶれ度合いに気が付かず、軍国ロシアを吠えまくっている今のロシア政府と一部のロシア人の頭は、かなりおかしいと言うべきでしょう。

アメリカの外交政策の基本は・・
「同盟国がなければ衰退する」
と、言うものです。我関せずで、わが道を勝手に進むならやがて同盟国を失い衰退し滅亡するのは、歴史の示すところです。

国際社会も町内会も同じです。
知り合いや困ったときに助けてくれる人がいなくなれば、普通に困るでしょう?

※「2020年ナゴルノ・カラバフ紛争」を地図で見てみると?
画像
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/99/Nagorno-Karabakh_war_map_%282020%29.svg/495px-Nagorno-Karabakh_war_map_%282020%29.svg.png
アルメニアの傀儡政権の「アルツァフ共和国」は、かなりの支配領域を失い、ほぼアゼルバイジャンに囲まれた飛び地のようになりました。
「アルツァフ共和国」とアルメニアを陸路で結ぶのは・・
「ラチン回廊 」だけです。ここをロシアが通行権を管理し飛び地の「アルツァフ共和国」とアルメニアとの交通路を確保しています。
ロシア軍がその任務をサボるとどうなるか?
「アルツァフ共和国」は、陸の孤島として外部との交通手段を失います。だから、アゼルバイジャンの市民団体を自称するグループが、その交通路をバリケードで塞いだりします。「アルツァフ共和国」はたちまち物不足に陥ります。そうやって干し上げるのがアゼルバイジャンの狙いです。
だから、ロシアの駐留軍が任務をサボるのは「アルツァフ共和国」にとって死活問題です。

ワールド
2023年2月1日4:08 午前7ヶ月前更新
アルメニア首相、プーチン氏にナゴルノ巡る危機打開を要請
https://jp.reuters.com/article/armenia-azerbaijan-russia-karabakh-idJPKBN2UA1VK

「そこまでは手が回らない」──旧ソ連の国々の紛争にはプーチンもお手上げ
2023年4月17日(月)11時17分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/04/post-101410.php

ナゴルノ係争地、緊張再燃 アゼルバイジャン活動家が道路封鎖
2022年12月27日 13:07 発信地:ラチン回廊/アゼルバイジャン [ アゼルバイジャン アルメニア ロシア・CIS ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3445083

アルメニア首相、ロシア主導軍事同盟を批判 防衛義務果たさず
2022年11月24日 10:16 発信地:エレバン/アルメニア [ アルメニア アゼルバイジャン ロシア ロシア・CIS ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3440193?cx_part=related_yahoo

日干しになる前にアメリカを頼って、何とか仲介してもらいたい訳です。「アルツァフ共和国」という国らしきものを作っては見たものの、結局アゼルバイジャンとの戦争を招き、頼りにしていたロシアはサッパリ頼りにならず支配領域を大きく削られ、「ラチン回廊 」の守備すら放棄するという現状では、アメリカを頼るしかありません。

何しろ戦う構図が・・
「アルメニアVSアゼルバイジャン=トルコ」ですからアルメニアに勝ち目は、ないわけです。ロシアが卑怯にも逃げ出せば、アゼルバイジャンに周囲を取り囲まれた「アルツァフ共和国」は、やがて日干しになるしかありません。

世界中、どこに行っても歴史と民族の関係する紛争は沢山あります。この地域は、両方独立国であるだけに解決しません。



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