「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

南部ザポリージャ戦線の現状<ウクライナ紛争2023年10月

2023-10-11 19:49:07 | ウクライナ紛争

ウクライナ軍がロシアの第2防御ラインを突破しかけていると言うニュースもありましたが、現在のところそのような情報はありません。

ロシア軍もウクライナ軍が攻撃しているベルボベVerbove方面に精鋭の空挺師団を追加投入しています。中々難しい戦いが続いているようです。

もうすぐ晩秋で雨で地面がぬかるみ始めます。そうなると重軍用車両の行動は困難になります。

冬に持ち越しになりそうです。ウクライナ軍の見込みは、やや甘かったようです。当然ながらロシア軍は、現在第2防衛ラインが持ちこたえているうちに他の防衛網の強化をしています。

『 ロシア軍がザポリージャ戦線に追加要塞、「ぬかるみ期」控え徹底抗戦か…イギリス分析』
2023/10/07 10:28
https://www.yomiuri.co.jp/world/20231007-OYT1T50108/

南部戦線を見てもわかる通りロシア軍は、元々NATO軍との戦いで防衛戦を想定していたと思われます。NATO軍と互角に戦って勝てると思うほど愚かではないでしょう。
南部戦線での戦いがロシア軍の想定していた戦いだと思います。防御網の作り方も堅固で強力です。そして防御網に籠って塹壕戦を戦うロシア軍は強いです。攻撃に出るロシア軍の弱さと間抜けさとは、大違いです。

防御網に籠って防衛戦を戦う限りロシア軍は弱くも間抜けでもないと思います。

そして更に後方の防御網を強化しつつあると言うことは、ウクライナ軍がトクマクТокмакまで進出するのには、時間もかかるし困難も伴うと思います。

ウクライナ軍に勝つ見込みのなくなったロシア軍は、第二の作戦として徹底的な陣地戦で持久戦に持ち込むと思われます。これ以上の占領地の拡大は止めて、今の占領地を守り切る方向で作戦計画を立てていると思います。

ウクライナ軍がザポリージャ戦線の第2防衛ラインを突破できない以上、トクマクТокмакを奪還してメリトポリМелітопольを目指してロシア軍を南部と東部に分断するウクライナ軍の作戦は、不可能ではないにしてもかなりの時間と困難が伴うと思います。

多分、前線の全域において要塞化を進めると思います。ウクライナ軍は、投入できる武器・装備と兵力の主な部分を南部戦線に投入していると思います。

ロシア軍が持久戦に持ち込むことに成功して、その後どう推移するか?
これについては、また書きます。


ガザ地区に関する国連のグテレス事務総長の談話<2023年10月

2023-10-11 19:47:19 | アフリカと中東

イスラエルによるガザ完全包囲は「非常に遺憾」=国連事務総長
2023年10月10日午前 6:10 GMT+93時間前更新
https://jp.reuters.com/world/mideast/QOVOBZEZMNPB3I3RFV7T56M4LE-2023-10-09/

一方的な意見を見たり聞いたりしていると不思議に思うでしょう。しかし、これが現実です。
ハマスの無差別イスラエル襲撃は、もちろん悪いです。しかし、ハマスが暴挙を実行したのにはそれなりの背景があります。
『ハマスによる攻撃以前のガザの状況は「極めて悲惨」』だっただけでは、ありません。ヨルダン川西岸へのイスラエルの入植地拡大政策とそれを巡る紛争と入植者やイスラエル軍のほぼ惨殺と言っていいパレスチナ人への迫害行為があります。

全部ひっくるめて考えるなら・・・
『(ガザ地区への)医療機器や食料などの人道的支援物資と人材が必要で、救援と必要物資の現地入りを促進しなければならない』
と、言うことです。
中立的な国連のグテレス事務総長の談話に耳を傾けるべきだと思います。

ハマスの今回の暴挙が悪いことは誰にでも分かります。
しかし、イスラエルはその一部分だけを切り取ってハマスを極悪テロ組織と批判し、今後起こるであろう大規模な報復を正当化しようとしています。

パレスチナ問題に関しては、西ヨーロッパとアメリカ、それ以外の国々・特にアラブ圏の国々の認識は正反対です。

欧米の色眼鏡を通して見えてくる世界が歪められているケースは、これだけではありません。と言うより歪められていないケースの方が少ないかもしれません。

非常に簡単に矛盾を指摘すると、イスラエルが悪くなければロシアも悪くない事になります。

それが妥当なのかどうか?の問題を提起しています。
ロシアが悪いのであれば?

アフガン・イラク・リビア・シリア
全部そうです。破壊と殺戮に正義や妥当性があったのかどうか?

欧米が言うと?
「アラブの春」
現実は?
「アラブの地獄と大混乱」

立場を変えてみてみると、これほどに違います。

※別の発言
国連事務総長、ハマスに対し攻撃停止と人質解放を呼び掛け
2023.10.10 Tue posted at 10:43 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35210032.html


ロシアに痛いところを突かれたアメリカと冬戦争(フィンランドVSソ連)の故事<2023年10月

2023-10-11 19:43:40 | アフリカと中東

①ロシア、米国の「破壊的」対応を非難 イスラエル巡り
ロイター編集
2023年10月9日午後 11:35 GMT+931分前更新
https://jp.reuters.com/world/security/XNNINAZNUJJ75J56OOK2OZXIO4-2023-10-09/

②ロシアとアラブ連盟、中東の「流血阻止」で協力 ラブロフ外相
2023年10月9日 21:39 発信地:モスクワ/ロシア [ ロシア ロシア・CIS パレスチナ自治区 イスラエル 中東・北アフリカ ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3485410?cx_part=top_topstory&cx_position=2

ロシアのラブロフ外相は、①の声明を出す前にアラブ連盟のアハメド・アブルゲイト事務局長と会談して意見調整をしています。つまり①の声明は、ロシアとアラブ連盟の共同声明と言えます。ロシア単独ではない点が、ミソです。

そして声明の内容は、アメリカと西ヨーロッパ以外の地域の共通認識と言っていいと思います。つまり、アメリカと西ヨーロッパ以外の地域の国々は、この声明を妥当だと考えるし賛成しないまでも反対はしないでしょう。賛成する国もかなりあると思います。

イスラエルとパレスチナ問題に関しては、「アメリカと西ヨーロッパ」とそれ以外の地域の国々では、認識が正反対と言えるほど異なると言うことです。

そしてアメリカとNATOは、21世紀に入りイスラム諸国を荒らしまわった事実があります。「テロとの戦い」は自分たちの論理であり、全員の合意があるわけではありません。「テロとの戦い」で戦争や軍事力を用いた内政干渉を正当化してしまえば、大抵の紛争は正当化できると言うことです。

そうしないためには、公平性と妥当性が求められます。21世紀に入りアメリカとNATOが行った戦争や軍事介入に公平性と妥当性があったのかどうか・の問題です。

それを判断するのは、「アメリカとNATO」以外の国々です。

つまり、その部分をアメリカはロシアに「グサッと!」突かれてしまったわけです。

イスラエルがパレスチナにしていることは、ロシアがウクライナにしていることと、ほぼ同じです。軍事力が強い方が弱い方を侵略したり弾圧しています。

皮肉なことにイスラエルが正しいと言えば、ロシアも正しい事になってしまうわけです。イスラエルもロシアもやっている事は同じだからです。

だから国際関係においては、公平性と妥当性が必要になってくるわけです。それが、ないのを何というか?
『ダブル・スタンダード』

だからアメリカとNATOの認識と、それ以外の国々の認識が同じことについて違うか正反対になるケースが出てきてしまいます。

イスラエルとパレスチナの問題は、もろに正反対になるケースです。だから、いつまで経っても問題が解決しません。そうこうしているうちに今回のような大事件が起きてしまいます。

更に悪いことにこの問題は、アラブ世界・イスラム世界のど真ん中にあります。西欧の論理や価値観から一番、遠い地域です。ごり押しすれば、キリスト教VSイスラム教の現代版宗教戦争になります。

よくよく考えなければ、問題はいつまでも解決しないし時には大きな悲劇を引き起こし、それが延々と繰り返されるでしょう。どちらが、いい悪いは言いません。それを解決する意思があるか?ないか?の問題です。当事者同士では、解決不能です。だから周囲の人間が解決する方向に誘導しなければなりません。

(2)冬戦争(フィンランドVSソ連)の故事
『ゼレンスキー氏「イスラエルの自衛権に議論の余地なし」』
2023年10月8日 12:53 発信地:キーウ/ウクライナ [ ウクライナ ロシア・CIS イスラエル 中東・北アフリカ ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3485276

これでウクライナは、アラブ世界の支持をほぼ失ったと思います。アラブ世界全体の国の数とイスラエル1国とどちらの数が多いか、数えなくても分るでしょう。
発言するべきではありませんでしたし、発言するなら曖昧に正論を言うべきでした。イスラエルを支持してしまえば、アラブ世界を否定したのと同じです。つまりアラブ世界は、ウクライナ不支持に回ると言うことです。

ウクライナを見ていると欧米の方しか向いていません。ロシアと戦うのであれば、少なくとも世界の過半数の支持が必要だと思います。ウクライナの主張は、自己中心的な部分が最近、非常に目立つように見えます。それは、結果として支持者を減らすと思います。

ロシアにだって応援団は、います。北朝鮮とイランです。南アフリカも軍事援助はしませんがロシア支持です。ブラジルもロシア支持です。中国は最初からロシア寄りです。インドも一見中立のように見えますがやっていることはロシア支持です。冷静に見てみるとウクライナの応援団は、欧米だけです。第三世界が中立であったりロシア支持が多いのは、欧米に対する反感です。欧米にひどい目にあわされた国々は、中立かロシア支持でしょう。現状、ウクライナはロシアと欧米の代理戦争を戦っていると言えます。

ロシアと欧米以外の国々から見ると?
「好きにしたら・・・」
的な感覚だと思います。
つまり、欧米以外の国々が欧米ほどウクライナを支持する理由も必要もないわけです。ウクライナ程度のひどいことかもっとひどい事は、世界中に転がっています。
「シリアをどうしてくれるんだ!」
「アフガンをどうしてくれるんだ!」
何も言えないでしょう。
ウクライナだけ特別扱いにするなら?
それは?
『ダブル・スタンダード』

ウクライナ紛争を第三者的に見るなら、ヨーロッパの地域紛争です。もちろんロシアは極悪です。しかし紛争において極悪なのは、ロシアだけではありません。大抵強い方が極悪です。だから極悪と隣り合わせにある弱い国は、極悪と折り合う知恵を身に着けます。そうでない国は、やがては滅ぼされます。

冬戦争
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%AC%E6%88%A6%E4%BA%89
継続戦争
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%99%E7%B6%9A%E6%88%A6%E4%BA%89

第2次世界大戦中に発生したフィンランドとソ連の戦争です。この戦争においてフィンランドには、何の非もありません。ソ連がフィンランドを軍事占領するために一方的に仕掛けた戦争です。フィンランドにとっては、祖国防衛戦争です。
第2次世界大戦中でありフィンランドを支援する国はありませんでした。フィンランドは、冬戦争はほぼ独力で戦いました。ソ連の方も損害が大きすぎていったん停戦しました。
それが継続戦争として再発します。この時はフィンランドも単独で戦うことは不可能で、ナチスドイツと同盟して主に武器援助を受けて戦いました。そののちやっと国土を回復しました。フィンランドは、国境線からソ連領に侵入はしませんでした。国土を回復したところで止めました。

しかし、戦後ナチスドイツと同盟した罪を問われます。フィンランドは、ソ連に占領されていた国土を回復しただけで非はありません。

しかしソ連との講和には、もっとも豊かなフィンランド南部の土地を割譲させられました。フィンランドは、その極めて不利益で不合理な条件を飲んでロシア=連合国と講和しました。

今あるフィンランドは、その後のフィンランドです。戦後はフィンランドは中立国としてソ連に対しては無害であるしかありませんでした。一時期は、ソ連から天然ガスを買ってエネルギーを賄うしかありませんでした。抵抗など出来るはずもありません。

その後フィンランドは、自立への道を徐々に歩み始めます。ロシアのガスから自立することもその一つです。そのためにフィンランドが選択したのが原発の導入です。原発の電力が得られるようになって、やっとエネルギーではロシアから自立できました。
それはフィンランド国内のすべての部分に及んでいます。軍事力もそうです。徐々にフィンランドはソ連と戦えるだけの軍事力を整備していきます。

今では北欧の軍事大国です。ヨーロッパで現在最強の陸軍を保有していると思います。北欧限定なら間違いなく最強だと思います。

しかしロシアのウクライナ軍事侵略がフィンランド国民の考え方を一変させ、NATOに加盟申請して今はNATOの一員です。最強のNATOメンバー言ってもいいかもしれません。フィンランドは独力でもロシアと戦えるだけの軍事力は既に保有しています。しかし安全のためにNATO加盟の保険を掛けました。

これがフィンランドの歩んできた、ごく大雑把な第2次世界大戦からの歴史です。

今のウクライナにとって大いに参考になる部分と教訓にするべき部分があると思います。小国には小国の生き延びる知恵があります。知恵だけでは、ダメですけれどね?

(ウクライナには、知恵の部分が少し足りないように思います)


(イランVSアメリカとハマスの大規模イスラエル攻撃)因果は巡る、どこへゆく?<中東情勢2023年10月

2023-10-11 19:43:40 | アフリカと中東

何だか「後出しじゃんけん」みたいに情報が出てきます。なんで、それが先に分からなかったの?

イスラエル攻撃立案に関与か イラン精鋭部隊、ハマスと会合―8月以降2週間置きに・報道
2023年10月09日14時29分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023100900389&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit

当然ながら、ハマスの組織だった今回の大規模イスラエル攻撃は、イランの関与がなければ不可能です。これまでは、せいぜいハマスのイスラエル攻撃は、ロケット弾を何発かイスラエル領に撃ち込む程度でした。

今回、それとは全然異なるレベルの大規模攻撃を行いました。急にレベルが格段に進化しました。「後出しじゃんけん」の理由は隠せないから情報をリークしたと言うことです。

何故イランが、このような行動に出たか?
BBC
【解説】 イランのソレイマニ司令官殺害 なぜ今でこれからどうなるのか
2020年1月4日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-50991049

それに対する回答です。まだあります。
BBC
イラン政府、ウクライナ航空機を「人的ミス」で撃墜と認める
2020年1月11日
https://www.bbc.com/japanese/51075614

この事件には、国籍不明機が関与しています。
丁度、旅客機の飛行ルート付近を国籍不明機が飛行していました。イランの防空部隊は、国籍不明機を撃墜するためにミサイルを発射しました。国籍不明機は旅客機の陰に隠れました。そのためミサイルは旅客機に命中しました。

この国籍不明機はイラン領空から逃亡したため、国籍は不明のままです。しかし、国籍不明機をイラン領空に侵入させられる周辺諸国は限られています。消去法で犯人を割り出せば、どの国がやったのかはイランには明らかです。

つまり?
アメリカの外交上の大失敗に加えて、イランには?
思いっきり!!!
報復する明確な理由があります。

レバノンのヒズボラまで動員する以上は、イランにもそれなりの覚悟があるでしょう。

イランの重要人物を気軽に暗殺し、イランの空域で気軽に謀略を行いました。

更には、イラン全土で吹き荒れた反政府デモがあります。それに誰も関与していなかったのか?
イラン政府にもかなり高度な情報組織があります。関与があれば、探知しているでしょう。

簡単に言うと、アメリカとイスラエルは調子に乗ってやりすぎたということです。
イランは、復讐の機会を辛抱強く待っていたと思います。念入りに計画してです。

「機は熟した!」
そのように見えなくもありません。
相手を馬鹿にして好き勝手なことをやっていれば、やがては「みっちり!」、お返しが来ると言うことだと思います。しかも、最悪のタイミングです。

そのためにイランは、ドローン編隊を準備して戦争に備えています。イランのドローンは、ウクライナ紛争で効果は実証済みです。
戦争を拡大すれば、イランの無数のドローン編隊がアメリカ軍とイスラエルを襲撃すると思います。

戦争を拡大したならば、イランまで含めた大規模な局地戦が発生します。イランには、その準備があるでしょう。

イランもここまでやる以上は、覚悟を決めていると思います。アメリカとイスラエルの、覚悟や如何に❓

※一応?
ヘタレのアメリカ?
『米上院民主トップ、中国にイスラエル支持要請 ハマスの攻撃巡り』
2023年10月9日午後 3:57 GMT+917分前更新
https://jp.reuters.com/world/us/GJFXDAFXTJPWFHCIPPCCIPOTYE-2023-10-09/

これだけの大事件(ハマスの大規模イスラエル攻撃)を引き起こしておいて収取が付かなくなったので?
大・中国様に支持を求めたのでそうです。(大事件の原因を作ったのはアメリカです。その挙句に敵に助けを求めるのは、かなりおかしいいと言えます。大体、根性がないでしょう?支離滅裂❓)

何をやっているのやら❓

※関連日記
2023年10月9日 13:21
イスラエル・パレスチナ問題に見るアメリカ外交<2023年10月
https://smcb.jp/diaries/9147701
2023年10月8日 22:31
イスラエル攻撃についてのハマスの主張<2023年10月
https://smcb.jp/diaries/9147353
2023年10月8日 14:03
ハマスがイスラエルに大規模攻撃・その続報<2023年10月
https://smcb.jp/diaries/9147079
2023年10月8日 6:32
ハマスがイスラエルに大規模テロ攻撃の背景<2023年10月
https://smcb.jp/diaries/9146799


イスラエル・パレスチナ問題に見るアメリカ外交<2023年10月

2023-10-11 19:41:31 | アフリカと中東

ハマス、イスラエルとサウジの正常化阻止が狙いも=米国務長官
2023年10月9日午後 12:20 GMT+920分前更新
https://jp.reuters.com/world/us/KZLGORBOL5MB7PDCIPIGV2L5LE-2023-10-09/

1993年9月13日にイスラエルのラビン首相とPLO=パレスチナ解放機構のアラファト議長が、アメリカのホワイトハウスで、クリントン大統領立ち合いのもと、「パレスチナ暫定自治合意」に調印しました。その後、どちらかと言うとイスラエル側がそれを不満として合意を壊す方向で動いて、それがハマスなどパレスチナ過激派の反発を呼び再び対立が激化して今に至っています。

最悪の結果を招きました。
クリントン大統領の時代までは、アメリカ外交もまともだったと言えます。中立的な立場から和平への仲介の努力をしていたという意味でです。

その後、アメリカはイスラエルの過激化と歩調を合わせるかのようにイスラエル寄りと言うより支持の立場に立ち位置が変わりました。パレスチナを見捨てたと言えるでしょうね?
それがイスラエルのヨルダン川西岸の入植地拡大を黙認する結果になりました。パレスチナ側にすると自分たちの領土を、どんどん侵食されます。そしてイスラエルのパレスチナ過激派への対応も残酷で無関係なパレスチナ人まで平気で巻き込むような、ほぼ弾圧と迫害と言えるような状況にエスカレートしました。これを放置して黙認したのがアメリカ外交です。

クリントン大統領時代の「中立的な立場から和平への仲介の努力」の姿勢は、消え失せました。

そして今回、イスラエルとサウジの外交関係の樹立と言う政策をとりました。ほぼ、パレスチナを切り捨てたと言えます。

サウジは、中東の強国でありアラブの盟主を自任しています。つまりイスラエルと外交関係を樹立することは、パレスチナの切り捨てにアラブの盟主が賛成することを意味します。

だから実質的にイランがそれに猛反対してハマスに大量のミサイルを供与しました。それを、どう使うのかはハマスの判断です。
答えは、ハマスのイスラエル大規模攻撃でした。

アメリカが、サウジとイスラエルの外交関係の樹立を後押ししなければ、この戦争は起きなかったと思います。イランがハマスに大量のミサイルを供与することは、少なくともなかったと思います。

イスラエルとサウジの外交関係の樹立は、アラブ世界にとってこのような意味があります。それをアメリカは認識していなかったのであろうと思います。そのリアクションに対する配慮は、全然なかったことがアメリカの国務長官のコメントで分かります。更にそれを強引に推し進めるつもりのようです。

戦争の原因が、イスラエルとサウジの外交関係の樹立である以上、戦争の早期終結にはこれを凍結する必要があります。アメリカの考えは、戦争になったところでイスラエルが勝つから問題ないと言うことでしょう。

その結果、悲劇は拡大します。

そもそもサウジが、それを無視してアメリカに同調するかどうか?
同調すれば、サウジはアラブ世界から信用を失いアラブの盟主の立場も失うでしょう。そしてイランとの対立も再燃します。イエメンの収まりかけている内戦も再び激化します。イエメンのフーシ派(反政府勢力)は、サウジに対する直接の攻撃を始めると思います。

今となっては、サウジにとってはアメリカの政策に同調することは、「百害あって一利なし」の状況になりつつあります。

アメリカがイスラエルとサウジの外交関係の樹立を推し進めたところで、この状況の中でサウジが乗るとは思えません。

つまりアメリカ外交の敗北です。
これほどの戦争を引き起こすのであれば、最初からイスラエルとサウジの外交関係の樹立を進めるべきではなかったことになります。

アメリカが、なぜこのような外交を思いついたか?
中国の仲介でサウジとイランが外交関係を復活させました。それに対する対抗意識があったのであろうと思います。サウジを中国寄りにしたくない思惑もあるでしょう。

しかし、このような現実が起きた以上、サウジはアメリカとやや距離を置くと思います。

アメリカ外交は、何を生み出したのか?

クリントン元大統領とは、大違いなのは確かです。クリントン元大統領の時代までは、アメリカは世界のリーダーだったと思います。今は、リーダーで無いことを証明してしまいました。

※中東の地域社会の意見
トルコ大統領、仲介に意欲 イスラエル・パレスチナ衝突で
2023年10月9日午後 12:56 GMT+91時間前更新
https://jp.reuters.com/world/europe/5CO7QG7NFNO5ZOEH65YM3LQMPI-2023-10-09/

トルコのエルドアン大統領の見解が、大体一般的な考えだと思います。どっちがいいとも悪いとも言っていません。

◎紛争の拡大を避けること。
◎「2国家共存」の原則に立ち帰ること。
◎『衝突を激化させる行動をやめるよう双方に呼びかけ、イスラエルとパレスチナの対立が中東のあらゆる問題の根源にあると指摘。「持続的な地域の平和はパレスチナ・イスラエル問題の最終的な解決策を見いだすことによってのみ可能になる」』

つまり、このような事だと思います。
結局、誰が考えようとイスラエル・パレスチナ問題の解決には、これ以外方法がないと言うことです。そうでなければ永久に殺し合わなければ、なりません。

クリントン大統領時代の「パレスチナ暫定自治合意」が双方にとりメリットがあり正しいと言うことです。