2023年11月09日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[みなと新聞ニュースレター ペルーのカタクチイワシ操業ストライキ早期終結を伝える]
本日2023年11月9日付みなと新聞ニュースレターはペルーのカタクチイワシ操業ストライキが早期に終結した旨を伝え、これまでの禁漁措置と今後の動向が与える国際市場への影響を次のとおりリポートしている。
【みなと新聞ニュースレター】 ストを受けて部分禁漁が大幅に緩和されたとみられる
ペルー北中部海域のアンチョビー(カタクチイワシ)漁で政府の未成魚混獲規制の今漁期限解除などを求め大手を中心とする魚粉生産企業の経営者や船主、漁業者の全面ストライキが早期に終結、商社筋によると、11月1日から日量3万〜5万トンの漁獲と好漁になっています。
未成魚の混獲率が下がったとみられます。 ペルーのアンチョビー漁は主要漁期である第1漁期(例年4〜8月)が異例の禁漁になったことに加え、10月26日から本格操業に入った第2漁期(例年11月〜翌年1月)でも12センチ以下の未成魚が中心のため部分禁漁が相次ぎ、このままでは経営が成り立たないとの危機感から、現地時間の30日未明にストライキに入っていましたが、早期着業に転じました。
ペルーの漁業者らは「海洋環境の変化とエルニーニョの影響で従来基準では未成魚にあたる12センチ以下の魚が多く産卵しており、成魚が小型化している」と主張、「海洋環境の変化に伴い成魚サイズが変化している。政府は12センチ以下の魚を未成魚とする従来の基準を見直すべき」と求めていました。一方、政府は未成魚のサイズの変更はない、漁獲枠も当初通りと発表しています。
アンチョビーは養魚用飼料用などの魚粉の原料となり、ペルー産は世界の魚粉生産の20%強を占める主要生産国。ペルー政府は第2漁期枠は前年同期枠比18%減の168万2000トンを発給し、26日午前0時から漁期入り。ペルーアンチョビーの漁期は2シーズン制。メインとなる今期第1漁期は枠発給後に資源状態の不透明感から異例の禁漁となり、試験操業での約18万2000トン(枠消化率20・5%)にとどまりました。
第2漁期で全枠を消化しても今年のペルーアンチョビー漁獲量は186万トンと前年の45%にとどまり、エルニーニョの影響で第2漁期枠の発給がなかった2014年の172万トンに並ぶ、9年ぶりの低水準となります。
ペルーの魚粉減産は魚粉価格上昇につながっています。
北海道機船漁業協同組合連合会によると、ロシア漁業のフィッシュミールの平均価格は、1〜2月がトン当たり9万1120ルーブルで前年同期を10%下回っていましたが、3月に急騰して10万6010ルーブルとなり、その後も上昇を続け、6月には12万3280ルーブルに。
7月にいったん上げ止まったものの8月にまた急騰、9月には過去最高値を更新し15万7760ルーブルに達しています。
ペルー第2漁期の禁漁の影響が大きく、フィッシュミール、オイルおよび関連製品などの水産原料産業を代表する国際魚粉魚油機構(IFFO)は、ペルーの今年1〜7月のフィッシュミール生産量が前年同期比で76%減少、この影響で、世界の魚粉・魚油製品の総生産量が31%減少しているとリポートしています。
ロシア漁業のフィッシュミール生産量は、主に中国の水産養殖向け飼料市場をターゲットとして近年拡大。
22年は前年を12%上回り、16万600トンに達しました。
23年1〜8月についても、11万6252トンで前年同期を4・8%上回っています。